アメリカで大きな論議を呼んだ“著作権保護法案”については、これまで何度も紹介してきたが、そ
れにしてもこの法案、ゲーム業界にはどんな影響を及ぼしうるのだろう。
もっと言うと、このニュースをなぜジーパラでも報じてきたのか?
Gamasutraのコラム記事によれば、答えは簡単。法律が施行されたら、
エンターテイメントの中でもゲームが受ける影響は最も大きいのだ。
“著作権保護”を目的に、アメリカ映画協会やレコード協会の支持を受けて作られた
「Stop Online Piracy Act(SOPA:オンライン海賊行為防止法案)」と
「Protect Intellectual Property Act(PIPA:IP保護法案)」。
著作権侵害をする海外サイトへのアクセスブロックや、資金カットを司法長官の命令により
強制できるだけでなく、民間組織が裁判所命令を取り付けて、同じように資金カットや
広告カットを強制することも可能な法案だ。
さらに、著作権侵害コンテンツをストリーミング配信した者にも処罰が適用できる。
しかし、問題とされるサイトや著作権侵害の定義があいまいで、リンクを張ったサイトも
リンクの削除や閉鎖を強制される可能性があるため、ネットの自由やイノベーションを
破壊するものとして、反対の声が急速に高まった。18日(水)にWikipediaなどが決行した
“ブラックアウト”はメディアの注目を集め、議会での審議はとうとう延期されたが、
廃案になったわけではなく、支持する議員は今も多い。可決される可能性はまだ残っているし、
たとえ廃案になっても似たような法案はこのあとも出てくるだろう。
とくにゲームは、ファンコミュニティやプロモーション、デジタル配信などで、
インターネットに多くを依存しているため、SOPA/PIPAは直接の脅威となりうる。
例えば、以下のような影響が考えられるだろう。
・ファンコミュニティサイト。ファンの作成した動画などのコンテンツが著作権侵害とみなされたら、
サイト全体が閉鎖される恐れがある。
・大手パブリッシャに依存しない小規模スタジオが、開発資金を募ることのできる
スタートアップ支援サービス(KickStarterなど)。たった1つのプロジェクトが
侵害行為を疑われただけで、サービス全体が閉鎖される恐れがある。
・SteamやImpulseなどのデジタル配信サービスも同様。
・オンラインゲームやそのコミュニティサイトも同様。
・それどころか、一般にゲームそのものに脅威をが及ぶ。記述された理由以外の動機で
法律を悪用し、知的財産権の主張を盾に、ゲーム内容を規制しようとする動きが
出てくるかもしれない。
というわけで、ゲームも他人ごとではすまない、いやそれどころか、悪法によるダメージが
最も大きいかもしれない。オープンで自由なインターネットをありがたく思っているからこそ、
多くの開発者やメディア、ゲーマーたちが抗議の声を強く発したのだ。
ジーパラドットコム
http://www.gpara.com/kaigainews/eanda/2012012501/index.php