「コマ撮りアニメーション」を、地元ゆかりのプロの監督が子どもたちに教えるワークショップが今月から、
さくら市の氏家公民館で始まる。受講生が1年かけて作品を撮り、国際映画祭にも出品しようとの試みだ。
講師となる監督は「栃木で環境を考える作品が撮れたら」と意気込む。
コマ撮りアニメは、「パペットアニメ」「クレイアニメ」などとも呼ばれる。人形(パペット)や粘土(クレイ)などを
少しずつ動かしながら写真撮影し、動画として再構成する表現技法。1秒15〜30コマの撮影は、
1秒分を撮るのに半日、5分撮るのに4週間かかることもあるという。
氏家公民館は約5年前から「学校や社会に受け入れられない子どもたちに表現活動を教え、
生きがいを提供したい」と、ギター演奏や映画撮影の連続講座を開いてきた。今年は「地元の“本物”を
呼ばない手はない」と、横田光隆さん(35)に依頼した。
横田さんはサンリオのキャラクターの店頭プロモーションビデオや、NHK「ティーチ」などの作品を手がける。
2年前、妻の親族が住んでいた矢板市内の古民家と蔵をスタジオに改造し、活動の拠点としてきたが、
東日本大震災でスタジオが全壊。東京で制作を続けながら、被災した矢板を活気づけるプロジェクトを企画、
開催している。
東京芸術大の同窓生で俳優の伊勢谷友介さんと環境保護活動にも取り組む横田さんは、ワークショップで
取り組む作品について「震災以降の環境を、子どもの観点で公表できる場を造れたらいい」と話す。
栃木と東京を往復しながら、福島第一原発に近い栃木で、環境についての議論が少ないことが
気にかかるという。「大人たちが大人の事情で沈黙しているから、子どもは自由にものを言えないのでは。
次世代の意見表明の場を作り、世間に訴える力のある作品を作りたい」という。
講座は小学6年から22歳以下までが対象で4日開講。来年3月まで月1回、絵コンテや人形の
作り方などを学び、同4月以降は本格的な集団制作に取りかかる予定。材料代、受講料など7回分2千円。
●ソース:asahi.com 2011年09月01日
http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000001109010001