【アニメ】プロデューサーさんっ、必見ですよ!TVアニメ『アイドルマスター』第1話放送の反響を追う――こんなアイドル達が観たかった!

このエントリーをはてなブックマークに追加
299なまえないよぉ〜
では原作信者の俺が絶賛気味の感想を。
キモ熱っ苦しい長文なので、華麗に読み飛ばしてくれ。

さて、第1話の何が良かったかって、とにかく『地味』、徹底して地味であること。
原作ゲームの「アイドルマスター」は育成ゲームなので、基本的にデビューしたての新人を、
トップアイドルに育て上げるのが目的なのだな。
なので、ゲームでも下積み時代はけっこう物悲しい。路上でゲリラライブやったり、老人ホーム
慰問したり、他の人気アイドルの前座を務めたり…。

驚くべき事に、アニメはこの辺りの、哀愁あふれるアイドルの姿をバカっ正直に描写してしまった。
象徴的なのは春香と千早。春香はレコードショップの軒先でCDを手売するが、足を止める人は少ない。
千早は人気ロックバンドの前座を勤めるものの、あからさまにそっぽを向かれ、本命バンドの熱狂的な
ライブを、暗い舞台袖からまぶしそうに見つめる…。
他にもあずさがオーディションに落選してたり(たぶん響と貴音も落ちてるはずである)、
夢と目標はあっても届かないもどかしさがきちんと描かれてる。

だがそれでも彼女らはあきらめない。2時間かけて通勤し、ハードなスケジュールをこなして
また2時間の帰途につく春香は、それでも「憧れなんです」と目を輝かせる、その一途さ、まぶしさ。
そしてエンディングのダンスシーンは観客のいないレッスンスタジオで、しかし彼女らの
パフォーマンスは既に完成の域に近づき、卵の中から羽を伸ばす日を今かとばかりに待っている。
そんな彼女らを、応援したくならないはずがあろうか。

そして、ここで物語は急転する。密着取材していたカメラマンが、実は新任プロデューサー
だと言うのである。
実はストーリー上、このギミックはあまり意味がない。別にカメラマンとPが別人であっても
物語にはあまり影響はない。
ではなぜこの演出なのか――それはつまり、ファインダー越しに彼女らを見つめるしかなかった
視聴者を、画面のあちら側に引っ張り入れる行為に他ならないのだ。
言うまでもなく「アイドルマスター」において、プロデューサーはプレイヤーキャラクター、唯一
その行動に介入できる特別なキャラクターである。その彼を画面のあちら側に現出させるに
あたって、スタッフが最大限の注意を払った事が見て取れる。
765プロというパズルにはめる最後のピースが揃った事で、物語はどう動き出していくのか…
というところで次回への引き。およそ完璧な流れと言っていい。

原作ファンへの細かいくすぐり、小ネタも多い。真の愛読書「月刊LaLaLa」、春香のCDのジャケット絵、
小鳥の着メロ、オーディション審査員のポーズ…スタッフの愛が伝わってくるようである。
(それだけに律子の免許は残念。ちゃんとBDでは直してくれよー)

とにかく、スタッフはとことん真面目に「アイドルマスターのアニメ版」を作ろうとしている。
この先どう転ぶかは分からないものの、その姿勢をまずは応援したい。