【アニメ】プロデューサーさんっ、必見ですよ!TVアニメ『アイドルマスター』第1話放送の反響を追う――こんなアイドル達が観たかった!
では原作信者の俺が絶賛気味の感想を。
キモ熱っ苦しい長文なので、華麗に読み飛ばしてくれ。
さて、第1話の何が良かったかって、とにかく『地味』、徹底して地味であること。
原作ゲームの「アイドルマスター」は育成ゲームなので、基本的にデビューしたての新人を、
トップアイドルに育て上げるのが目的なのだな。
なので、ゲームでも下積み時代はけっこう物悲しい。路上でゲリラライブやったり、老人ホーム
慰問したり、他の人気アイドルの前座を務めたり…。
驚くべき事に、アニメはこの辺りの、哀愁あふれるアイドルの姿をバカっ正直に描写してしまった。
象徴的なのは春香と千早。春香はレコードショップの軒先でCDを手売するが、足を止める人は少ない。
千早は人気ロックバンドの前座を勤めるものの、あからさまにそっぽを向かれ、本命バンドの熱狂的な
ライブを、暗い舞台袖からまぶしそうに見つめる…。
他にもあずさがオーディションに落選してたり(たぶん響と貴音も落ちてるはずである)、
夢と目標はあっても届かないもどかしさがきちんと描かれてる。
だがそれでも彼女らはあきらめない。2時間かけて通勤し、ハードなスケジュールをこなして
また2時間の帰途につく春香は、それでも「憧れなんです」と目を輝かせる、その一途さ、まぶしさ。
そしてエンディングのダンスシーンは観客のいないレッスンスタジオで、しかし彼女らの
パフォーマンスは既に完成の域に近づき、卵の中から羽を伸ばす日を今かとばかりに待っている。
そんな彼女らを、応援したくならないはずがあろうか。
そして、ここで物語は急転する。密着取材していたカメラマンが、実は新任プロデューサー
だと言うのである。
実はストーリー上、このギミックはあまり意味がない。別にカメラマンとPが別人であっても
物語にはあまり影響はない。
ではなぜこの演出なのか――それはつまり、ファインダー越しに彼女らを見つめるしかなかった
視聴者を、画面のあちら側に引っ張り入れる行為に他ならないのだ。
言うまでもなく「アイドルマスター」において、プロデューサーはプレイヤーキャラクター、唯一
その行動に介入できる特別なキャラクターである。その彼を画面のあちら側に現出させるに
あたって、スタッフが最大限の注意を払った事が見て取れる。
765プロというパズルにはめる最後のピースが揃った事で、物語はどう動き出していくのか…
というところで次回への引き。およそ完璧な流れと言っていい。
原作ファンへの細かいくすぐり、小ネタも多い。真の愛読書「月刊LaLaLa」、春香のCDのジャケット絵、
小鳥の着メロ、オーディション審査員のポーズ…スタッフの愛が伝わってくるようである。
(それだけに律子の免許は残念。ちゃんとBDでは直してくれよー)
とにかく、スタッフはとことん真面目に「アイドルマスターのアニメ版」を作ろうとしている。
この先どう転ぶかは分からないものの、その姿勢をまずは応援したい。