『劇場版 空の境界』『化物語』『俺妹』――ヒット作の陰に(も日向にも)この人あり。
アニメを中心とした映像作品の製作・販売大手アニプレックスの宣伝プロデューサー
「ゆま」こと、高橋祐馬氏だ。
■ テレビアニメというマラソン
―― “テレビに頼らない”という意識って、持たれていたりしますか? つまり、これまでは
テレビで流すこと自体が最大の宣伝だった。ところが(私の考えでは)2005年前後からちょっと
潮目が変わったのではと。アニメをテレビで普通に流しても、録画データさえ手許にあれば、
パッケージを買う動機はかなり弱くなる。ですから“宣伝がコンテンツ”という考えにはすごく、
なるほど感がありました。
ゆま 「私見ではありますが、テレビアニメはなくならないと思っています。100年、200年経てば
わからないですが、ここ5年、10年で家庭からテレビが消えることは、おそらくないかなと。
テレビの影響力は、4マスのほかの媒体同様、昔と比べて多少下がっているとしても、
依然強いメディアであることに変わりはないと思っています。
けれども、テレビで流すことが、唯一無二の最大の宣伝という時代はもう……。今はお客さんが
飽きちゃう。番組が始まる5分前にはトイレを済ませて、みたいな時代でもありませんし。
そもそも毎週テレビ番組を見るという行為を、1クール13本完走することがまず大変ですよね。
テレビで流れるという、ある種の普遍性は確実にあります。ですが、単純にテレビで流して
いるだけでは、お客さんの気持ちが続かない。1クールに数本は見られますが、全部見続けるのは
無理ですし、多くの作品は気持ちがどっかで切れちゃう」
―― 「完走」と仰いましたが、最近「BDマラソン」という表現をよく目にします。パッケージの
定期購入行為をマラソンだと捉えると、宣伝は、一生懸命走っているランナー(お客さん)を
応援すべく、沿道で旗を振ったり、給水所を作ったりする行為に近いのかもしれません。
苦しいこともあるマラソン大会を楽しいお祭りとして盛り上げて、マラソン=祭りへの参加だと
思ってもらうための仕掛け作りといいますか。
ゆま 「まさに、盛り上がってる感であったりとか、『会社として力入れてます!』という
こちらの思いが、ネットを介して良くも悪くも伝わっちゃう時代かなという気はしています。
そういう意味では仰った通り、僕のやっていることは想いを伝える旗振りなのかもしれませんね」
ASCII.jp(一部抜粋)
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