http://ashi-koko.com/jake/jake.jpg 古くは「鳥獣戯画」にも見られる擬人化。
動物などを人になぞらえる表現はミッキーマウスやアンパンマンでもおなじみだが、最近奇妙な展開をみせている。
人の姿をしているのが町だったり、国だったり、地下鉄の駅だったり。
えっ、炭まで? ついていけません!
倉吉幸太、東郷圭一郎、泊美智留、羽合・フランセスカ・侑次。
県中部の地域を擬人化したイケメン(男前)4人が登場するドラマをCDに収めた「明日も湯梨浜(ココ)で。」。
湯梨浜町から事業委託を受けた市民団体「ロハス東郷」(古川哲次代表)が東郷湖のPR目的で作った。
都会へのあこがれが捨てられない倉吉が仲間と過ごしながら徐々に故郷の良さに気づく物語。
倉吉はスイカ農家の跡取り、梨農家の東郷はスポーツが盛んな土地柄から屈強な体に設定された。
泊が変人なのは骨が出土したわけでもないのに、地元に「恐竜公園」がある不思議から。
羽合がロシア人とのハーフなのは「日本のハワイ」の割に冬の寒さが厳しいためだ。
ロハス東郷は東京・吉祥寺の商店街が活性化策でドラマCDを作ったのを参考に、若い女性狙いで主人公を二枚目の男性とし、土地柄を性格に盛り込むことを企画。
声の出演にはアニメ「スラムダンク」で知られる人気声優緑川光さんらを起用した。
千枚を作成し4月から県内の書店や東京のアニメ専門店で販売を始め、これまでに500枚を売った。
買ってくれるのは10〜30代の女性が多い。東京都の女性(21)は「行きたくなったので旅行を計画中」。
県内の購入者からも「東郷湖と燕趙園(えんちょうえん)しか知らなかったが、勉強になった」との声が届いた。
古川代表は「継続して町をアピールしないと意味がない」と言い、二十世紀梨を擬人化した第2弾を計画中だ。
◇
近頃、漫画やアニメを中心に従来と違った擬人化がブームだ。
京都国際マンガミュージアム(京都市中京区)研究員の伊藤遊さん(36)は
「今はやっている擬人化はモデルとしている物の形を残さず、完全に人間化しているのが特徴」とみる。
「擬人化は本来、日本の文化に古くから根付いているもの」と伊藤さん。
元祖は「唐傘おばけ」などの妖怪という。
現代でもアンパンマンのように動物や物が人間のごとく振る舞う表現は親しまれている。
ただこれまでは動物や物の原形を残したが、最近は形をとどめず人そのもの。
この擬人化でヒットしたのが「ヘタリア Axis powers」だ。
米国在住の日本人漫画家がネット上で公開する4コマ漫画が人気を集め、アニメや映画にもなった。
陽気な優男「イタリア」、厳格で屈強な「ドイツ」、正義感が強く仕切りたがる「アメリカ」、まじめな「日本」といった様々な国を戯画化したキャラクターが登場。
第2次世界大戦などの歴史を絡めたコメディーとして描かれている。
伊藤さんは「モデルから写し取られているのは町や国などが持つ特徴や歴史、取り巻く関係性。
それらを人の姿をしたキャラクターの性格や他のキャラクターとの関係として描き、読者が面白いと感じている」と分析する。
モデルとなっている町や国について、作品を通して学べるのも魅力の一つだ。
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伊藤さんによると、新たな擬人化の芽吹きは2004年ごろ。
ネット上に出現した炭を美少女にした「びんちょうタン」が発端という。
びんちょうタンは03年、ゲームソフト会社「アルケミスト」(東京)のイラストレーター江草天仁さんが「さん」「ちゃん」の代わりに「たん」とつけるダジャレ感覚で描いたキャラクター。
同社のホームページに載せると人気が出て漫画になった。
翌年には紀州備長炭の産地、和歌山県みなべ町のみなべ川森林組合のマスコットキャラクターに採用された。
炭の形をしたキャラクターを想像していた組合は美少女に驚いたものの、「漫画で備長炭の効能が描かれていてPRになる」と起用した。
アニメのDVDが発売される記念に炭焼きや苗木を植える体験ツアーを催すと50人分の予約が数分で埋まった。
今も20代のファンを中心に週末や連休にみなべ町を訪れる人の姿が途絶えない。
(
>>2につづく)
朝日新聞
http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000001009300001 「明日も湯梨浜(ココ)で」
http://ashi-koko.com/ (
>>1のつづき)
最近人気なのは東京の地下鉄の駅をイケメンに擬人化した「ミラクル☆トレイン」。
キャラクターの性格と物語に駅や周辺の街の特徴、歴史といった雑学を盛り込む。
情報技術(IT)関連の企業に勤める女性4人が作った「ミラクル☆トレイン製作プロジェクト」が手がける。
1人が鉄道マニアで「毎日利用する駅をもっと身近に」と駅の擬人化を提案したのがきっかけだ。
ネット上で漫画や小説を掲載し始め、制作会社の目に留まって09年にアニメ化された。
放映前に東京都営地下鉄大江戸線の車両に等身大のキャラクターのステッカーが張られた。
ファンの9割が女性で中高生から40代まで幅広い。ファン同士が駅を巡るツアーを組んで遊んでいる。
プロジェクト宣伝担当の木立己百花さんは
「イケメンにエスコートされながら駅の知識を学べることが女性に受けているのでは」と話す。