映画に例えると、ゴジラ対ウルトラマン――。ゲーム業界で、決して交わらなかったライバル会社の看板ソフト
同士のコラボレーションが広がっている。若い人が減るなどの理由でゲーム市場が伸び悩み、大型のヒット作
が生まれにくい各社の懐事情が背景にある。
話題づくりに加え、それぞれの固定ファンを巻き込んだ購入者の広がりを各社とも期待する。
http://www.asahicom.jp/showbiz/manga/images/OSK201008090188.jpg カプコンは7月下旬、自社の格闘ゲームシリーズ「ストリートファイター」と、バンダイナムコゲームスの「鉄拳」
のキャラクターが対決するゲームの開発を両社で始めると発表した。両社がそれぞれ、相手のキャラクター
登場する格闘ゲームを開発・発売する計画だ。
ストリートファイターは1980年代に発売され、「インベーダーブームの再来」とされる社会現象を巻き起こした
人気ソフト。シリーズ累計販売は2900万本に達する。鉄拳も累計3900万本が売れ、格闘ゲーム人気を
二分するライバルとして長年販売を競ってきた。ただ両シリーズとも販売のピークは90年代。
近年はゲーム画面が高精細化し開発費用が10億円以上かかる場合もあるにもかかわらず、新作がヒットに
つながっていない。バンダイナムコは「最近は格闘ゲーム全体に勢いがない。コラボが市場を盛り上げる
きっかけになれば」(広報課)と説明する。
シリーズ累計2900万本が売れたコナミのアクションゲーム「メタルギアソリッド」が今春に出した最新作には、
2008年に発売され中高生から20代を中心に400万本超のヒットとなったカプコンの狩猟ゲーム
「モンスターハンターポータブル2ndG」に登場したドラゴンなどが敵役で出現。ゲームの雰囲気が異なる
両作品のコラボにファンは驚いたという。
両社が狙うのは、互いのゲームのファン層の獲得だ。コナミは「メタルギアは購入者の年齢層が高い。
若いモンスターハンターのユーザーに関心を持ってもらえる効果は大きい」、カプコンは「海外で売れる
メタルギアに登場することで、販路を広げるきっかけにしたい」ともくろむ。
ゲームでのコラボの先駆けは任天堂の「マリオ」とセガの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が共演するセガの
「マリオ&ソニックATオリンピック」。セガが任天堂のマリオに「出演依頼」し、07年に北京五輪、09年に
バンクーバー五輪を舞台にしたソフト発売が実現した。セガが苦手とするファミリー層へのアピール力は
大きく、各社がコラボに取り組むきっかけになったとされる。
ゲーム誌編集のエンターブレインの浜村弘一社長は「Wiiやプレイステーション3など新型ゲーム機の
発売ラッシュから4年たち、市場が低迷期にあるのも一因」と話す。他社のリソースを活用することで
開発費や広告費を抑えながら熱心なファンからライトユーザーまで効率的にアピールする狙いがあるといい、
「驚きのコラボは今後も増える」とみる。
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