【アニメ】工業製品に「まさか」を生ませる方法 「CANAAN」安藤真裕監督インタビュー2
1 :
あやめφ ★:
―― たくさんの娯楽に囲まれている今のユーザーは、どんな物語を提供してくれるのか、
この番組を見続けて満足できるかどうかを早く知りたがる。だから、「すぐに答えが欲しい」という
クールな割り切りがある。
それに対して、安藤監督は、「過剰」さを追求することで、作品と制作現場のエネルギーを
上げたいということでした。「過剰」さを出すことで、ユーザーが気になるフックを増やし、
「つぎにどうなるかわからない」という引き込み方をした、と。
安藤 「不確定な要素」は意図的にでも入れたいなと思っていたんですね。
―― 不確定な要素?
安藤 「ライブ感」ともいうんでしょうか。
音楽のライブでもそうですよね。その場の不確定な要素が入ることで初めて出る面白さがある。
実写映画もそう。役者さんの表情や芝居とかの不確定要素が入り込んで、「まさかこうなるとは」
という予想外のものが生まれる。
「CANAAN」にもそうした不確定要素が入って、少しでもお客さんが引っ掛かりを持ってくれたら
いいなと。
―― しかし、アニメはライブじゃありませんよね。不確定、ということと結びつきにくくないですか。
安藤 工業製品のように、指示したもの、仕様通りのものを完成させることをゴールに
するんじゃなくて、人間の持つ“熱”が入って、偶発的な思いも寄らなかったものが生まれてきて
欲しいなと。
フィルムの中に何かを宿すような、作り手の過剰な思い、それは、スタッフひとりひとりが
持っている「個性」ですよね。
■ ゴールにたどり着けることの確信あってこそ
―― 監督がおっしゃる「個性」は、スタッフ一人ひとりが持つプラスαの部分、「工夫」「アイディア」
というところでもありますよね。今、決まった仕事をきちんとこなしていても、その先の展開に
行き詰まるということが多くあります。社員の個性を引き出して新しいものを生み出したい
というのは、どんな職種にも当てはまるかも知れません。魅力的な商品を作るために、
「個性」をどのように引きだそうと?
安藤 アニメーションの中で個性という「不確定さ」、ライブ感を発揮してもらうには、
クリアしなければいけないことが幾つかあるんです。
日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100323/213554/ 続き
>>2-6 関連スレ
【アニメ】「見続けるかどうか、第1回で決められるようにして欲しい」のが、今のお客さん 「CANAAN」安藤真裕監督インタビュー
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1269576823/
2 :
あやめφ ★:2010/04/02(金) 12:51:49 ID:???
まずひとつには、TVシリーズという、ロングランな期間の作品作りの中で、物語が拡散して
しまわないようにすること。
普通の企業で言うと、商品コンセプトにあたるんでしょうけれども。
「どんな話なのか」「どんなテーマを持たせるか」。ここだけは軸をしっかりさせていないと、
各スタッフが個性を出したときに、とっちらかって、ひとつの作品として何が言いたいのか
よく分からないということになってしまうんです。
だからまず軸を作る。ゴールにたどり着くことを確信できた上で、ライブ感に振っていく。
―― その「軸」はどのようにして作られたのですが?
安藤 「CANAAN」全体の世界観や大枠のところは僕が決めたんですが、各話のストーリーに
ついては、シリーズ構成(各話のシナリオを監修する仕事)の岡田麿里さんが作ってくれています。
彼女がシナリオを担当してくれることが、軸作りには欠かせなかったですね。
―― シナリオというのは、登場人物のセリフとともに物語の筋を作っていく、演出や作画より
前段階に入る、物語の骨子ですよね。
安藤 そうです。最初に僕の中で、岡田さんに決めた理由というのがあったんです。キャラクターが
女性なので、女性の繊細な心理が書ける人にしたい。一方で、ストーリー運びとか物語づくりには
俯瞰的な視点が欲しい。岡田さんは、異なる資質の両方をうまく持ち合わせている方なんですね。
そして、シナリオに腕力がある。
―― 腕力?
安藤 いくつかのシーンの選択として、こっちの方が正解なんじゃないの? という隙を見せない。
そして、各話それぞれの演出や作画、声の担当の人が個性を発揮して“暴れて”も、必ず
みんなが納得するところに、物語の軌道をぐるーっとしながらも(ハンドルを握って、車の
横滑りを止める動作をしながら)収めてくれるだろうなと。
言い換えると、「ちゃんと終わる」仕組みを作った上でないと、「商品」をつくるときに
冒険なんて怖くてできないですよ。
僕が監督を引き受けるときの条件として、シナリオを岡田さん、作画を関口可奈味さんが
メインでやってくれるというのが最初にあったんですね。
―― それがあってこそ、みんなが「個性」を発揮できると。
■ システムに拠った作りで「感情」を入れるには
安藤 そうですね。個性を発揮できる環境作りをしていくわけです。
環境というのは、物語というソフトと、工程というハードの両面ですね。クリアしなければならない
課題のもうひとつというのは、アニメーション制作現場の中の話なんですけれども。
アニメーションというのは、工程上、制約が多いメディアなんです。1本のアニメーションを
作るには、膨大な工程があって、それぞれのセクション中に、ひとりひとりのスタッフがいる。
1本のアニメーションを作るには、大勢の人間が関わって連携しなければいけないんです。
だから、「個性」といったって、それぞれのスタッフが好きなことを好きなようにやってしまうと、
各シーンでの動きがバラバラになったりと、作品として成立しない。
ある面では非常にシステマティックで、統制をとらなくてはいけないメディアではあるんです。
3 :
あやめφ ★:2010/04/02(金) 12:51:58 ID:???
そこに不確定の要素を入れたいと思ったのなら、どのあたりまで入れられるか、「許容範囲」を
見極めるのが難しいんですね。
アニメーションの工程が持つ制約の中で、どうやってスタッフに「個性を」発揮してもらって、
ライブ感をフィルムにうまく定着させるが勝負所だなと。
―― 具体例をあげていただくことはできますか。
安藤 僕がまず考えるのが「作画」のことなんですね。
アニメには様々なパートがあるんですが、僕がアニメーターという作画の出身だからかも
しれませんが、手描きの作画には「不確定」な要素が入り込みやすいと思っているんです。
今はアニメもかなりデジタル化されて3D映像が当たり前になって、3Dの時代だとも言われて
いるんですけど、その一方で、「手描きの絵」というところにもこだわっていきたいなと。
コンピュータの絵でも、扱う人によってもちろん個性は出ます。個性という中でも、どうなるか
わからない不確定な要素が入る……ということであれば手描きですね。
人が描くという「感情のブレ」が入ってしまうところが、手描きの魅力かなと。僕自身、そこに
魅入られて、この業界に入ってきたところがあるのでこだわっていきたいんですね。
―― 絵に「感情のブレ」が出るんですか。
安藤 それはもう、すごく出ますよ。
作品に対して気持ちが入っているのか、物語とかキャラクターに感情移入しているのか、
そういうのが絵に出るんです。
たとえば、キャラクターの怒っている表情を描くとして、単に「記号」として怒っているように
描くことはできる。まゆを吊り上げるとか眉間に皺を寄せればね。でも、「記号」で描いた
絵はわかってしまいます。あ、気持ちが入ってないなと。
絵を描くには技術も必要なんですけど、その上で、技術を超えたところの表現ではあるんです。
気持ちの入り方というのは。すごく高い技術を持った人でも、この場面は気持ちがぐーっと
入っているな、指示したものよりうんといいな、というものが出る時があって。技術を越えた
ところに「感情のブレ」として、はみ出てくるものがある。
そういう意味で、気持ちが強く入ったときに出る「感情のブレ」で、ライブ感というのは
出せるのかなとは感じているんですね。
■ 「自分の評価」だけでなく、「他人の評価」も取り入れる
―― システムの中に、ライブ感という「計算外」を計算ずくで作り出せたらということですね。
それは社員一人ひとりが、制約の多い仕事の中でいかに個性を発揮できるような場づくりを
するかということですよね。非常に興味深いところです。
個性を乗せた上で、統一の取れた作品にするには、許容の幅が必要ということでしたね。
4 :
あやめφ ★:2010/04/02(金) 12:52:07 ID:???
安藤 そうですね。でもどのあたりまで許容するかって、本当に難しい。
「思い」だけで突っ走られると、その部分だけ作品の中で浮いてしまって、うまくいかないときもある。
うまくいくときとそうでないときの見極めができれば、もっと楽にできるんでしょうけど、
わからないから、わからないままやっているところもあります。僕自身いつも悩むところでは
あるんです。
ただ、「CANAAN」を作っていて面白いと思ったのは、僕が「どうかな」と思った箇所でも、
取り入れてみると、意外とうまくいったということがあったんです。
集団作業の中で指示をしていると、時々、ちょっと僕のイメージとは違うものが上がってきたり
するんですよ。
たとえば、「CANAAN」でも、主人公のマリアが写真を見ているシーンがあるんですが、
カメラが引くと、彼女は腕をぷらぷらさせているんですよね。写真を見ながら。
この腕のぷらぷらが、僕が見たときには、「よくわからないな」と思ったんです。写真を見ている
だけなのに、絵コンテでも要求もしてないし、この腕の揺れは余分じゃないのかな? って。
―― それは、原画さんが意識的にそういう動きを付けてきたわけですね。
安藤 そうですね。作画の人が出してきた“遊び”の部分です。
チェックしている僕自身は、その時点では、面白いからこれ採用!とは思わなくて、どうかなと
首をかしげながらも、これはこれでアリか、ぐらいに思ってOKを出した。
そうしたらプロデューサーの永谷(敬之)さんが、「マリアの腕が揺れるシーンで心をつかまれた」
って言ってきたんですよ。マリアというキャラクターの持つ落ち着きのなさみたいなのが
よく出ている、と。
―― 確かにマリアというキャラクターは、いつもはしゃいでいて、楽しいことを探している
女の子だという印象があって、落ち着きなく腕をゆらしているシーンには彼女らしさが
よく出ていたと、お話を聞いて今、思い出しました。
安藤 そうなんですよね。いや、僕もできるだけキャラクターの個性を出そうとは思ったんですけど、
たまたまマリアの腕のシーンについては、あまりピンとこなかったんですよね。
僕が思いも付かないシーンに心つかまれた人がいた。それを聞いたとき、ああ、なるほどと思って。
監督である僕だけのイメージ通りにきちっと統制するよりも、そういうちょっとしたブレがあることが、
観る側の人にとっては、そのキャラクターを愛するきっかけになったりもするんだなあと。
―― はみ出したところが逆に心をつかんだりするんですね。
安藤 そうですね。「CANAAN」にも、各話ごとに違う作画スタッフ、演出スタッフがいて、
キャラクターの解釈をそれぞれにしてくれているんですね。彼らそれぞれのイメージで
作り上げたものが、キャラクターに対しての色付けになっていく。
そこは、僕1人で作っているのとは違う、集団作業の面白さだなと思うんですよ。
「いろいろな人がいて、いろいろな視点がある」ということ、それも不確定要素だなと。
最初に僕は、お客さんがクールになっていて、何が喜ばれるのかわからない時代だと
お話ししたんですけど……
5 :
あやめφ ★:2010/04/02(金) 12:52:16 ID:???
―― だからこそ、お客さんが引っ掛かりを持つフックをできるだけ増やしていこう、とお話に
なっていましたね。
安藤 ええ。そして、僕が気付かないところに心をつかまれる人がいる。だから、フックというのは、
僕だけでも、プロデューサーだけでも、ひとりではわからないものなんですよね。
「これは果たして面白いのか?」。個人だけで評価しているのでは、分からないのかもしれない。
「自分の評価」だけでなく、「他人の評価」も取り入れることが、フックの多さにつながって
いくんだなと思います。
■ ハンドリングが「効かない」ことを楽しめなければ
―― 作画、キャラクターの性格付けなど、フックの要素が出てきました。
安藤 計算ずくで計算外を、というやり方は、毎回毎回がトライアル、挑戦にならざるを得ない。
内心、ここまではじけても本当にいいのかな、とか思ってやっていた部分があるんです。
キャラクターの激しい感情の出し方とかも、役者さんの力によるところも大きいんですけど。
作っていく中でキャラクターが走りだしていって物語が膨らんでいく。ほぼオリジナル作品なので、
どこにどう着地するのかちょっと見えないところがあって。テレビを見ている視聴者と同じように、
僕もシナリオをどきどきしながら読んでいた部分がありました。それもまたライブ感の魅力だと
思うんですけど。
―― その「どきどき」って、わくわく半分冷や冷や半分、ではなかったですか。
原作付きのアニメーションではなく、オリジナルの物語で過剰さを追求して、個人の思いという
不確定要素を最大限に入れ込む。それによって、物語としての軌道が外れて、修正が
きかなくなったらどうしようとは思いませんでしたか。
安藤 といいますか、ちょっとハンドリングが利かないところがテレビの面白さじゃないですか。
―― ハンドリングが利かなくていいんですか?
安藤 そうそう。そういう意味では僕はそんなに統制を取っているわけじゃない。
逆にそれが「CANAAN」という作品の面白いところかなと思ったんですよね。
ゴールはどこか分からないまま、1クールでだーっと突っ切って。
制作途中では、どっちに行くのかなと思いながらも、安心していたところはあるんです。
岡田さんが書くストーリーを信じる。そこを軸にして、軸さえブレないようにしておけば大丈夫だ、と。
―― 他人の個性やエネルギーといった、自分以外のものを信じることが、「不確定要素」を
入れる鍵のような気がしてきました。
安藤 それこそ、「次にどうなるかわからない」ことからくる、わくわく感ですよ。
それを監督の僕自身が持ちたいと思っているのかもしれません(笑)。
このプロジェクトは全部俺がハンドリングできるんだとか、軌道がぶれる要素は追い出して
しまえ、というふうにやっていると、商品としての面白味がなくなってしまうんじゃないかなと。
―― お聞きしていると、監督が狙ったのは、ご自身がおもしろがれるようなものを生み出す
「スタッフ」をつくろう、ということのようにも思えますね。
6 :
あやめφ ★:2010/04/02(金) 12:52:22 ID:???
■ スタッフに、「こなし仕事」以上の喜びを持ってもらうには?
―― そのスタッフの皆さんのマネジメントについてうかがいたいです。
どんな仕事でも、大前提として「商品が売れなくても、その仕事をこなしたらお金がもらえる」
というのはアニメーションの現場でも同じですよね。
安藤 はい。リテーク(やり直し)は出るでしょうが、「こなし仕事」としてやっても、それはそれで
済んでしまいます。もし、作っているスタッフの気持ちが入らなかったら、ギャラがもらえる
ということだけがモチベーションになってしまった可能性はあります。
―― ややもすると、「こなし仕事」にされてしまう可能性もあると。
日本の企業や現場に「余分な労力は払いたくない」という気分が蔓延している中、スタッフの方が
「感情のブレ」を出すところまで、過剰に思いを入れてくれる理由はどこにあるのでしょうか。
安藤 気持ちが入るのは、きっと、そこに純粋な「仕事をすることの喜び」があるからですよね。
そこは、いくらこちらが「やれ!」って強制してもね。喜びは生まれないですよね。
―― スタッフの側からすると、「いかに自分の仕事を、喜びのない“こなし仕事”にしない
ようにするか」、ということでもあると思います。個人的にも、とても興味深いです。次回は、
個々人のエネルギーは、どのような環境にしたら高められるのかをおうかがいします。
(次回に続く)
7 :
なまえないよぉ〜:2010/04/02(金) 12:54:32 ID:Sd3suln4
いや、全話観たけど真面目にOPフィルムしか見所が無かった気がするんすけど
8 :
なまえないよぉ〜:2010/04/02(金) 12:55:08 ID:kF1Eh2LY
長い
9 :
なまえないよぉ〜:2010/04/02(金) 12:55:17 ID:fvL/1o9T
中田氏すればいいんじゃないでしょうか
10 :
なまえないよぉ〜:2010/04/02(金) 12:55:39 ID:YHJp42H/
だからヂア(笑)カナン(笑)の時点でどれだけ偉そうなこと言っても説得力ないって
売れ行き見て口をきけよ
売れなかったからこそ、長々と言い訳が必要なのだ
監督ぶっちゃけいいですか。
CANAANつまんなかったです
お前らほんとに何も考えないのな
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(試写会場にて製作委員会調べ)
BD縞々
まで読んだ
ライブ感とか言われると白倉しか思い浮かばない
売れなくても評価は良い作品、ならまだしもこのアニメはな