今年10月から講談社は、北米でのマンガ出版をいよいよスタートさせた。同社の米国現地法人である
講談社USA(KODANSHA USA)と講談社USAパブリッシング(KODANSHA USA PUBLISHING)は、
大友克洋さんの『AKIRA』、士郎正宗さんの『攻殻機動隊』をこの10月に発売した。
大友克洋さん、士郎正宗さんは、米国ではマンガファンだけでなく、アニメファン、SFファン、
映画ファンなどに広く人気がある。講談社は日本を代表するマンガ家で、北米マンガ出版事業の
スタートを切った。いずれの作品もこれまでに北米の他の出版社から発売され人気を得てきたが、
今回は講談社が直接現地で発売を手掛ける。
また、米国の出版業界情報のPublishers Weeklyによれば、講談社の英語版マンガ単行本は
「講談社コミックス(Kodansha Comics)」のレーベルで講談社USAパブリッシングが発行、
ランダムハウスが流通を受託する。ランダムハウスは米国最大の出版社で、
講談社とビジネスのつながりが深い会社として知られている。
講談社は現在、このランダムハウスのマンガ出版子会社デル・レイをはじめ複数の現地出版社に
自社のマンガ作品の翻訳出版ライセンスを供与している。これについてPublishers Weeklyは、
講談社USAパブリッシングからのコメントとして、講談社コミックスでの直接出版と
翻訳出版ライセンスは並行して続けられると伝えている。
講談社がマンガ出版で北米市場に直接進出するとの方針は、昨年夏に日本のメディアなどで伝えられた。
その後は出版社から公式のリリースがされておらず、事業展開に関しての詳しい内容は知られていなかった。
このためこの10月の「講談社コミックス」による『AKIRA』、『攻殻機動隊』の発売もやや突然で、
ファンからはサプライズと受け止められている。また、北米ビジネスのスタートアップ段階
ということもあってか、アニメやマンガの翻訳出版ビジネスに必須とされるレーベルの公式サイトが
存在しないなど、プロモーション計画の遅れが目立っている。今後、さらなる新刊の発売に合わせた、
「講談社コミックス」レーベルの認知度アップのためのマーケティング活動が期待されている。
Publishers Weekly
http://www.publishersweekly.com/ Kodansha Sets Up to Publish Manga in U.S.
http://www.publishersweekly.com/article/CA6700176.html animeanime.biz
http://www.animeanime.biz/all/2009110201/