子供向けのアニメーション専門チャンネルであるニコロデオン(Nickelodeon)は、米国の人気アニメーション
『忍者タートルズ: Teenage Mutant Ninja Turtles』の世界ライセンスを獲得したことを明らかにした。
この権利には映像、放送だけでなく、商品化権も含まれる。
これまで『忍者タートルズ』の権利はミラージュ・グループ(The Mirage Group)とキャラクター会社の
4キッズ エンタテインメント(4Kids Entertainment)が保有していた。ニコロデオンは投資金額およそ
6000万ドルで、両社より『忍者タートルズ』を手に入れた。日本円にしておよそ55億円にも上る金額だが、
ニコロデオンは『忍者タートルズ』のブランドは過去25年間テレビ、映画、ゲームなどで高い人気を
誇ってきたとして、今回の成果を強調している。
そのうえでニコロデオンは、今後新しいCGアニメーションのテレビシリーズを製作し、自局で2012年から
放映する。現在の2DアニメーションシリーズはThe CWの「TheCW4Kids」で放映されているが、
これが移動するかたちである。
これは同じバイアコムグループの大手映画会社パラマウントが、2012年公開に向けて新しい劇場映画を
製作していることにも呼応したものである。バイアコムはグループ全体で、『忍者タートルズ』
に取り組むことになる。
ニコロデオンは、巨大メディアグループ バイアコムの系列のテレビ放送会社MTVの子供向け
チャンネル部門である。ニコロデオンは複数の子供向けチャンネルを保有するが、
この分野ではウォルト・ディズニーと並ぶ2強となっている。
今回は米国の男児向けのブランドとして根強い人気のあるキャラクターを手に入れることで、
自社の番組とライセンス事業を強化する。突然変異で忍者となった亀たちが、巨大メディアを助太刀する。
一方で、『忍者タートルズ』のブランドを手放した4キッズの動きも注目されている。経営不振が続く同社は、
この夏に新たな経営戦略を構築すると発表したばかりだ。今回の『忍者タートルズ』の売却もそうした
事業再構築の一環とみられる。
同社は既に2006年に『ポケットモンスター』の権利も失っており、現在の有力タイトルは
日本のキャラクター『遊戯王』、子供向けの人形『キャベツ人形(Cabbage Patch Kids』、
自社のトレーデイングカードゲーム『Chaotic』となる。
4キッズが運営するThe CWの「TheCW4Kids」は、現在では地上波ネット局最後の大型アニメーション放送枠
として土曜日朝に放映されている。現在にここで放映される2D版『忍者タートルズ』は2010年8月31日
まで放映されるが、その後はニコロデオンでの放送に移るとみられる。
また、同社は現在の最有力タイトル『遊☆戯☆王』シリーズや『Chaotic』シリーズを、
カートゥーンネットでも放映している。こうしたことから考えると、近い将来に米国の
地上波テレビから児童向けのアニメーション放送枠が事実上なくなる可能性が高くなった。
一方で、今回『忍者タートルズ』を獲得したニコロデオンや、ディズニーXD、
カートゥーンネットワークの子ども向けの専門チャンネルのこの分野で重要性は最早定着したと見ていいだろう。
ニコロデオン (米国)
http://www.nick.com/ 『忍者タートルズ: Teenage Mutant Ninja Turtles』 公式サイト
http://www.ninjaturtles.com/ 4キッズ エンタテインメント(4Kids Entertainment)
http://www.4kidsentertainment.com/# animeanime.biz
http://www.animeanime.biz/society/2009102302/