北米のマンガ情報の有力ブログであるMANGA BLOGによれば、講談社はTokyopopとの北米での
マンガ翻訳出版のライセンス契約を全て終了した。MANGA BLOGは、Tokyopopからの公式発表
と共に伝えている。
Tokyopopによれば、講談社は『ちょびっツ』などCLAMP作品、『ラブひな』、『頭文字D』など同社が
Tokyopopと契約していた全ての作品の翻訳出版ライセンス契約を更新しない決定をした。
Tokyopopは今後、既刊の増刷だけでなく、現在刊行中の作品についても続刊の発売を行えなくなる。
そして講談社の決定の理由については、明らかでないとしている。
講談社は昨年12月に、既にTokyopopのドイツ法人がヨーロッパで展開していた『Beck』や
『School Rumble』などのマンガ翻訳出版ライセンスの契約更新を行っていない。このため今回の
北米での決定も、契約終了を待った規定路線とみられる。今回の北米での契約終了で、講談社と
Tokyopopのビジネス関係はヨーロッパに続いて、北米でも途切れる。
講談社は昨年、北米市場で自社による翻訳出版・販売を発表している。しかし、一方で依然、
デル・レイやダークホースといった中堅出版社とのライセンス契約は、新規も含めて続いている。
このため今回の決定は、講談社の北米市場直接進出のためというよりも、取引会社の絞込みが
大きな理由とみられる。
また講談社の決定は、Tokyopopにとっては厳しいものになる。日本マンガの北米普及に大きな
役割を果たしてきたTokyopopは、かつては北米の日本マンガ市場で過半数を超えるシェアを
獲得していた。
しかし、2005年に小プロ(USA)とVIZ.LLCが合併し、VIZメディア誕生する頃からその勢いに翳りが
見え始めた。VIZメディアが小学館と集英社の翻訳出版を独占するようになり、市場での勢いを
増す一方で、講談社も人気タイトルについては、デル・レイにライセンスを販売するようになった。
こうした出版社以外のタイトルでも、出版社とライセンサーが固定化する傾向が強まっている。
人気作品のライセンス獲得競争は激化している。
このためTokyopopは、初期に契約した作品の続巻発売を大きな収益源としていた。
しかし、Tokyopopが発売する大ベストセラー『フルーツバスケット』は、今年最終巻を迎えている。
さらに、初期に契約した人気タイトルには講談社からのものが多く、今回その全てを失うことで
同社の翻訳出版事業は大きく後退することになる。
今後は、現在Tokyopop独自のビジネスである米国の人気映画をフィルムブック風に編集する
シネ・ブックの収益や、同社が大きな力を入れるマンガの映像化などのメディア事業での収益化が
鍵になる。さらに、現在は、大きくビジネスを縮小している米国産マンガの展開がどうなるかも注目となる。
Tokyopop
http://www.tokyopop.com/ 講談社
http://www.kodansha.co.jp/ アニメ!アニメ!
http://animeanime.jp/news/archives/2009/09/_tokyopop.html