萬鉄五郎記念美術館(花巻市東和町土沢)と石神の丘美術館(岩手町五日市)の2会場で開かれている
「マンガ百花繚乱(りょうらん)−いわての漫画家50の表現−展」は、地域とマンガを考察する展覧会だ。
本県出身の作家の多さを知るとともに、題材としての岩手を楽しむことができる。
両美術館合わせて53人、748点を展示。本県出身者を中心に、ゆかりの作家、本県を舞台にした作品を紹介している。
両会場に作品が展示されている作家もある。
萬鉄五郎記念美術館は「世代別マンガの楽しみ」をテーマに35人、415点。
岩手の作家の作品を一堂に集めて展覧する狙いだ。「少年」「少女」「大人」の3コーナーに分けて展示している。
シュールな内容で人気を確立している吉田戦車(奥州市出身)の作品「ぷりぷり県」では人事部長が岩手出身という設定で、
わんこそばや宮沢賢治が登場する。
本県作家の多彩さを知ることもできる。東大受験をテーマに話題を呼んだ「ドラゴン桜」の三田紀房(のりふさ)(北上市出身)、
人気コミックに連載された「壁ぎわ税務官」の佐藤智一(ともかず)(一関市出身)、人気アニメ「ポケットモンスター」の穴久保幸作ら。
本県在住で活躍する作家として「ときめきトゥナイト」の池野恋(花巻市)、「主婦のトモ」のそのだつくしらが紹介されている。
石神の丘美術館は、「マンガにみる『岩手』」(14人、153点)と「個性派マンガ」(14人、180点)の2部構成。
「マンガにみる『岩手』」は、本県の自然や歴史などを題材にした作品群。
五十嵐大介の「リトル・フォレスト」は農村の暮らしをほのぼのと描いている。
埼玉県出身で、盛岡市と奥州市衣川区に移り住んだ時期がある。マンガは衣川の生活をモチーフに、
雪を利用した野菜保存や納豆作り、地域でのもちつきなどを取り上げている。
えみしの英雄が題材の「阿弖流為(あてるい)」は、池田文春(ふみはる)(奥州市江刺区在住)の作品。
会場には種山ケ原の場面が飾られている。三陸大津波を描写した「はまぎく」は佐香厚子(盛岡市在住)作。
「個性派マンガ」では、伝説の雑誌「ガロ」が興味深い。吉田光彦(盛岡市出身)の「殴者(ボクサー)」、
鴨沢祐仁(ゆうじ)(北上市出身、故人)の「クシー君の夜の散歩」などは昭和の薫りが漂う。
現在画家として活躍する藤井勉(滝沢村在住)は奇怪、シュールな感覚の「秋にはふたありで」などを掲載している。
石神の丘美術館の斎藤桃子学芸員は「バラエティーに富んだ内容。マンガによって岩手の再発見にもなっている。
自身のマンガ体験と照らし合わせて楽しんでほしい」と解説する。
同展は9月6日まで。萬鉄五郎記念美術館は一般500円、高校生・学生400円、小中学生150円。月曜休館。
石神の丘美術館は一般300円、高校生・学生200円、中学生以下無料。無休。(文中・作家の敬称略)
(2009/08/06)
マンガで岩手再発見 岩手町、花巻市で展覧会
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090806_11 萬鉄五郎記念美術館(よろずてつごろう きねんびじゅつかん)
http://www.city.hanamaki.iwate.jp/sightseeing/yorozu/index.html 岩手町立石神の丘美術館
http://museum.ishigami-iwate.jp/top%20right%20count.htm 岩手出身の人物(マンガ家)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E6%89%8B%E7%9C%8C%E5%87%BA%E8%BA%AB%E3%81%AE%E4%BA%BA%E7%89%A9%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E6.BC.AB.E7.94.BB.E5.AE.B6