【コラム】「ガンダム」「エヴァ」「ドラクエ」のヒットが示す、団塊ジュニアマーケットの可能性と今後の成長

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1あやめφ ★
最近、「機動戦士ガンダム」や「新世紀エヴァンゲリオン」といった過去のアニメ作品の
人気が盛り上がりつつある。また、「ドラゴンクエストIX」が発売され、好調に推移している
もようだ。こうした過去のコンテンツや過去から継続しているコンテンツの人気が高まっている
背景について、人口ピラミッドとの関係で考えてみたい。

■ 放映開始30周年を記念して盛り上がる「機動戦士ガンダム」

7月11日からアニメ「機動戦士ガンダム」放映開始30周年記念して、全高18mの等身大
「RX-78-2 ガンダム」が東京お台場の潮風公園に設立されている。

バンダイナムコグループ全体でも30周年を盛り上げる企画が多数発表されている。
さらに冬から「機動戦士ガンダム UC ユニコーン」のアニメを放映開始する方針だ。

■ メディアミックス展開が本格化「新世紀エヴァンゲリオン」

映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」が公開されてから17日間で興行収入20億円を突破。
また、日本テレビで6月29日から14年前のオリジナルTVシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」の
再放送が行われている。こうした人気化する前においても、パチンコやパチスロでは
ヒットしていたが、メディアミックス展開が本格化して、それがさらに人気を押し上げている。
こうした人気は商品展開にもつながっている。

■ 「かつて遊んだ人」が買ったDS向け「ドラゴンクエスト\ 星空の守り人」

スクウェア・エニックスは、7月11日に発売したDS向け「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の
国内における出荷本数が300万本を突破したと発表。発売時の購入者は以前に「ドラクエ」で
遊んだことがある30歳以上のユーザーとみられる。また、DS向けということもあり、
女性ユーザーの比率は従来のシリーズ以上に高いと推測される。マルチプレイの面白さが
理解されるようになれば、これまでの販売本数を超えることも予想される。

■ 人口ピラミッドを考慮した開発だけでは、成長力は鈍化する

これらのコンテンツを支えているのは、過去からのファンであり、年齢層としては30歳前後と
考えられる。もちろん、アニメを視聴し、ゲームを楽しむ文化が昔の30歳にはなかったが、
現在ではそれが一般化しているということがあるのだろう。しかし、子供層からかつての
「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」のような社会現象化するようなヒットが生じづらくなっている
とみられる。

この背景には、少子化という点が影響しているという仮説が成立するのではないだろうか。
団塊ジュニア層の200万人と比較すると、現在の10歳前後は120万人程度と6割程度の水準だ。
その前後を考慮すると、その差は200万人程度となろう。

ビジネスの側面からすると、団塊ジュニア層に人気化するようなコンテンツの方がヒットした
場合の売上高の水準は現在の10歳前後よりも高くなる。逆に、10歳前後をターゲットにした
場合、上限値は以前よりも低下していることから、リスクが高いともいえる。

こうした人口水準を背景に、団塊ジュニア層に人気化するコンテンツに対しては、積極的な
投資が可能になる。さらに、すでにコアファン層が確立されていれば、ある一定水準の
売上高が確保されることから、投資回収のリスクは低減するとみられる。

今後も人口ピラミッドを考慮すれば、こうした傾向は継続すると予想される。しかし、過去の
コンテンツには数に限りがある。エンタテインメント産業にとっての真の成長は新しいヒットの
創出であり、この点を各企業が求めていかなければ、その企業にとっても潜在的な成長力は
鈍化することになるだろう。過去のコンテンツのヒットで得たキャッシュを次の新しい
ヒットのために投資して、新しいヒットを創出することを期待したい。

MONEYzine(一部略)
http://moneyzine.jp/article/detail/163758