もしも東京が巨大が地震に襲われたら? いつ起こっても不思議ではない危機を、幼い姉と弟が生き抜いていく
物語が「東京マグニチュード8.0」というアニメーションになった。放送スタートは7月9日深夜
(24時45分から)の「ノイタミナ」枠。初のテレビシリーズ監督にオリジナルストーリーで挑戦すること
になった橘正紀(たちばな・まさき)さん(33)は、危機の中から人とのつながりの大切さを感じさせ、
「離れた家族に連絡したくなるようような作品にしたい」と意気込む。
「難しいと思いましたね」。
「ハチミツとクローバー」や「のだめカンタービレ」といった、大人の女性層に向けたアニメ作品を放送して、
深夜にもかかわらず5%台の高視聴率をたたき出しているノイタミナ。そこで、巨大な地震がお台場で起こる
ストーリーのアニメを流したいという話が、アニメ制作会社に持ち込まれた。
■現実と地続きの話
ロボットは出しても良いのかと聞くと、ロボットは避けてほしいとのこと。「お台場という地名が出てきた
以上は、現実と地続きの話になって、うそがつきにくい。リアルさが重要になってくるが、
やりすぎると絵作りができなくなる。悩みました」
実は災害時には、現場からあまり動かない方がよい。中学1年生の姉と、小学3年生の弟をメーンに
据えることで、「家族にはやく会いたいという思いから、家に向かって動き出してしまうストーリー」
が浮かんできた。
「今の大人たちは、子供のころにいろいろな人に頼って生きていたのに、大人になってそのことを忘れて、
無感動になってしまっています」。進学や就職でひとり暮らしを始めると、自分のことで精いっぱいで、
親からの電話もうっとうしく思いがちになる。
反抗期で、家族から見捨てられているような気分にさいなまれていた子供が、大災害の中で家族の大切さに
気づく。そんなストーリーを描くことで「もう一度、家族のことを考えてくれるきっかけになれば」
という思いを、今回のアニメにこめた。
8.0のマグニチュードは、日本では誰も経験したことがない規模。だから「何が起こるか誰も分からない」。
お台場から主人公が家へと向かう道を歩き、写真を撮り、建物が崩れたらどうなるのかを想像して絵に描いた。
■行政の対応も取材
自衛隊や消防庁の対応も取材した。少しだけ未来の話となるため、超音波を使って生存者を発見する装置が、
ラジコンやロボットに乗っている」ようなシーンを考えた。研究者や官公庁にも取材して、
大震災にどう対応するかを拾い上げた。
「神戸や中国の四川を見た人は、トイレが大変だと言います。調べたら、芝公園にマンホールトイレ
というものがありました」。災害時には上にテントをはって個室を作る。震災をしのぐ知恵が、
アニメには詰められている。
危険や不便さへの対応だけでなく、人の焦りや迷いがもたらす危機にも触れる「東京マグニチュード8.0」。
ぎすぎすとした空気の中で、自分勝手になりがちな現代人が、取り戻すべき心の温かさも教えてくれる。
そんなアニメになりそうだ。
>>2へ続く
MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/090707/gam0907071544000-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/photos/entertainments/game/090707/gam0907071544000-p1.jpg