仏Gameloftは、クオリティの高いモバイルゲームを提供することで知られる、世界有数の
モバイルゲーム企業である。最近はiPhoneでもヒットを飛ばしつつ、あらゆるダウンロード
ゲームビジネスに展開するというスタンスで規模を拡大している。
その日本支社であるゲームロフト株式会社は、日本展開の窓口となるだけでなく、独自に
開発チームを持ち、日本向けのモバイルゲームを開発、配信している。欧米のタイトルに
ついても、日本向けのタイトルを選別した上で、ビジュアルに手を加えるなど、しっかりした
ローカライズを行なっている。
コンシューマゲーム業界では、日本で苦戦した外資系のゲーム会社は枚挙に暇がない。
果たしてゲームロフト日本支社は、どうやって日本のモバイルゲーム市場に食い込んだのか。
代表取締役を務めるアレクシー・グレゾヴィアック氏に、同社の取り組みを伺った。
■ 日本支社は、日本のユーザーが欲しているゲームを提供する
――タイトルの選択においては、フランスの本社から「これは人気があるから出してくれ」と
いう要求があるのか、あるいは日本支社から「これを日本で提供したい」と要望を出すのか、
どちらの方法になるのでしょうか?
グレゾヴィアック氏 :日本で出すゲームは日本で決めているので、フランスで売れたかどうかや、
欧米でどういう状況なのかは見ていません。ゲーム自体を見て、日本の市場に向いていそうな
ものを出すようにしています。そもそも全てのタイトルは日本と欧州でほぼ同じタイミングで
出ているので、海外でヒットしているかどうかはタイミング的にも見ることはないですね。
――“日本のユーザーに合っている”という基準にはどういうものがありますか?
グレゾヴィアック氏 :基本的には、分析と経験だと思います。他社様がどういったタイトルを
出しているかも分析しますし、自社で出すゲームのクオリティもよく分析をして、経験上から
決めています。あとプラットフォームを問わず、自分自身ができる限りゲームをすることが、
ユーザーの視点に立つという意味で非常に大事だと思っています。もう10年以上も日本に
いますので、自然に「このグラフィックスは日本では受けない」とか「このゲームプレイは受ける」と
感じられるようになりました。
■ 日本の開発チームは、徹底的に日本向けのタイトルを作る
――日本と欧米のタイトルはかなり違った色があると思います。ゲームロフトの日本チームの
開発においては、日本の独自色をどういうところで出していこうと考えていますか?
グレゾヴィアック氏 :やはり日本人のスタッフを抱えているというのが重要です。例えば
「モンスタークロニクル」は、日本向けの本格的RPGとして、プレイ時間は30時間以上、
クエストも50以上出しています。オンライン対戦の対応や、グラフィックス、ストーリーといった
ところも、日本のスタッフによって実現したゲームです。そういったものを徐々に増やしてきています。
――日本で作られたタイトルは、海外でも配信されているのですか?
グレゾヴィアック氏 :それには文化的に非常に難しい側面もあります。「サラリーマンの逆襲」
といったタイトルは日本ではヒットしたのですが、果たしてそのコンセプトが海外で通用するかと
いうと、ちょっと難しいところがあります。「メイド喫茶をつくろう」なども非常にコアなもので、
文化的に難しいでしょう。逆にRPGなどのタイトルであれば、ゲームとして可能性はあるかと
思います。今はその検討段階です。
GAME Watch(一部略)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/20090520_169660.html