'70年代後半にアメリカで人気を博していた往年の名機“Atari 2600”。
そのゲームの多くは、今日もPCのエミュレータでプレイできるが、
たとえゲームそのものを再現できても、私たちは'70年代当時と
まったく同じ体験ができていたわけではなかったようだ。
そのことを証明したのは、ゲームデザイナー/批評家のIan Bogost氏。
彼は、「ゲームをするうえで、昔のテレビモニタが果たしていた役割は大きい」
との持論をかかげ、ジョージア工科大学でコンピュータサイエンスを専攻する
学生たちとともに、エミュレータ上で“ブラウン管の画質を再現する”
という面白い試みに取り組んだ。
Bogost氏がとくに着目したのは、ブラウン管ならではの画質や、
残像、色のにじみ、ノイズなど。これらをエミュレータ上で再現することで、
'70年代のテレビゲームが持っていた独特の雰囲気を見事に再現することに成功した。
上記リンクの本人サイトでは、エフェクトをかける前後の比較画像が
数点掲載されているので、ぜひチェックしてみてほしい。
当時を知る人は「ああ、昔はたしかにこうだった」と懐かしく思うはずだ。
つまり、'70年代のゲームになじんだ人々の脳裏には、
画面全体をうっすらと走るノイズや、自機/敵機のスプライトの残像、
色のにじみで美しく表現される夕焼けなどの記憶も、
しっかり焼きついていたというわけ。これに比べると、従来のエミュレータ画面は、
たしかに画像は鮮明でドットの輪郭線までくっきり見えるのだが、
そのためにかえって平板に見えてしまう。
Bogost氏は、この“ブラウン管エフェクト”をエミュレータソフトの
追加機能にしたいと働きかけているところ。また、ブラウン管時代の
別のゲーム機についても、エミュレータに同様の機能を搭載すべきと考えているそうだ。
ジーパラドットコム
http://www.gpara.com/kaigainews/eanda/2009042801/ Ian Bogost - A Television Simulator
http://www.bogost.com/games/a_television_simulator.shtml