【映画】「ムント」シリーズ劇場公開

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16なまえないよぉ〜
 見てくれ。遠い過去の天上の過ちの歴史。長い、孤独な心の記憶を。
 今お前が見ているものは、この星の遥かな過去。天上がまだ存在しない太古の世界。
 数千年続く文明が栄えるこの星に、どこからか現れ降り立った者たちがいた。
 人の思念の波動、万能の力、アクトを操る者たちだ。
 「アクト……?」
 人の思いや願い、夢、それらを生む心。彼らはその心の波動、アクトを力にも物質にも変換できた。
 それはまさに、神の力にも等しい万能の力だった。だがこの者たちがアクトを手にしてはならなかった。
 彼らはその力に溺れ、知恵を無くし、心を失っていった。
 この星で無慈悲に振るわれたその力は、恐ろしい速さでアクトを生む者たち、人類を根絶やしにした。
 数千年続いた文明は数日で地上から姿を消し去った。
 それでも彼らの愚行は止まず、時空を隔てた壁を破るために星の姿まで変えていった。
 「星の姿……」
 失われた万能の力、アクトが異空より循環してきていた。
 それに気づいた彼らが、時空を渡るために星の波動に干渉し、その姿を歪め、
 そこから生まれる力を以って時空を破ったのだ。侵略と略奪があらゆる時空で繰り広げられた。
 星々の思いや願い、夢が、瞬く間に枯れていった。あらゆる星が、時空が、心が、闇に沈んだ。
 そして、長い無法の後、異空から奪った無限のアクトで、彼らはこの空に新しい世界を創造した。
 それがこの天上世界。全ての時空を支配する全能の者たちが住まう空。
 彼らは自らを「天上人」と呼び、力を生む心の波動を「アクト」と呼んだ。
 そうだ、俺様の生きるこの世界は、心を略奪し星々を食らって生まれた忌むべき世界。
 この汚れた空で全能の支配者となった彼らは、享楽の限りを尽くし、快楽を全てを貪り、
 やがて、その全てに倦んでいった。そんな世界の末路は定まっている。
 流されるまま天上は廃頽にまみれ、堕落を極め、枯れ落ちるのを待つだけの世界と成り果てた。
17なまえないよぉ〜:2009/03/10(火) 14:40:16 ID:2S7WMKSj
 一方で、その時を待ち続けていた者たちがいた。
 奪われた未来を取り戻すため、心を食らわれ続けてもなお、明日を夢見て地上に生きた者たち。
 アクト供給生命体として産み出された末に、望まぬ形ゆえ捨て去られた人類だ。
 下界に廃棄されても彼らは生きることを諦めなかった。
 長い忍耐の末に、待ち望んだ機を得て天上を襲った。その力は天上人を圧倒するものだった。
 天上の王は選択を迫られた。戦って滅びるか、アクトの供給源である世界との繋がりを絶つか。
 彼は時空を閉じた。全ての柱を下界へ落とし、天上を汚した地上の世界の者たちを焼き尽くし、
 全ての絆を断ち切って地上との繋がりを絶ったのだ。「災厄の日」と呼ばれる出来事だ。
 その後、天上人は時空への干渉を一切禁忌とし、この扉に番人を置いた。
 呪いの契約に支配されたこの番人は、あらゆる関係から切り離され、王を凌ぐ力が与えられた。
 あらゆる関わりの外に置かれたこの魔人は、代々局外者と呼ばれ、全ての時代で疎まれ続けた。
 だが、天上人が自らを守るため設けたその番人と扉が、いつしか天上を救う道の妨げとなっていた。
 天上に残された道はただ一つ。遠い過去にこの空をめぐっていたアクトの循環を呼び戻すこと。
 それを阻んでいるのが局外者自身。それを悟ったガスは宿命に逆らい天井を去った。
 奴が残した力で繋いだあの光の絆、俺たちはこれからあそこへ戻り、俺様とお前の世界を繋ぐ。
 それが出来れば二つの世界の「心の循環を取り戻せる」。
 悪しき世界だがこの天上を落としたくはない。
 「ムント、アクトの、心の循環を復活させることって本当に正しいことなの?」
 過去に犯した過ちを消し去ることは出来ない。
\だが俺たちはその罪を償い、新しい未来を切り開くことができるはずだ。   /
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