俳優の奥田瑛二(58)とエッセイストの安藤和津さん(61)の長女、安藤モモ子さん(26)が
監督デビューすることが9日、分かった。漫画家・桜沢エリカさんのコミックを原作にした
「カケラ」(2009年公開予定)で、2人の女性の微妙な恋愛関係を描く。安藤監督は
英ロンドン大を次席で卒業し、奥田作品でもスタッフとして活躍してきた才女。4月の完成を
目指しており「5月のカンヌ映画祭出品を目指したい」と意気込んでいる。
映画一家の奥田家から新しい才能が飛び出す。安藤監督は高1から英国留学。高校は
ケンブリッジで過ごし、ロンドン大を次席で卒業、ニューヨーク大でも監督コースを学ぶ一方、
奥田監督のデビュー作「少女」(01年)からスタッフとして参加してきた。
オスカー受賞作「おくりびと」と同じくモントリオール世界映画祭グランプリを受賞した
奥田監督の「長い散歩」(06年)では語学力を駆使してコーディネートもこなしている。
「もともとはアーティストになりたかった。父の作品に参加し、映画には芸術のすべてが
詰まっていることに気づかされ、映画をやるしかないと思った」と安藤監督は話す。
デビュー作「カケラ」は桜沢エリカさんのコミック「LOVE VIBES」(祥伝社)が原作。
不誠実な恋人を持つ大学生、はる(満島ひかり)と義肢装具を作るメディカルアーティスト、
リコ(中村映里子)の物語。すきまを埋めるカケラを探し求める女性同士の愛憎、葛藤を描く。
企画は当初、製作会社から依頼を受けて始まったが、諸事情により中断。奥田の製作会社
「ゼロ・ピクチュアズ」が製作を引き受けた。キャストには幼少からよく知っている、
かたせ梨乃、津川雅彦らが名を連ねた。
「自分は奥田組で育ってきたわけですし、一番良さを分かっている。スタッフからは
『奥田監督より頑固だ』と言われましたよ」と苦笑い。
島根・石見銀山にある義肢装具を作る会社「中村ブレイス」にも取材し、脚本にも挑戦。
音楽には米ロックバンド「スマッシング・パンプキンズ」の元ギタリスト、ジェームス・イハ(39)に依頼した。
「初監督しかできないことをしたかった。もう全力投球です」と安藤監督。撮影は昨秋に終わり、
現在、4月の完成に向け、編集中。5月のカンヌ国際映画祭出品を目指している。
スポーツ報知
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20090310-OHT1T00044.htm