漫画界の巨匠、手塚治虫さん(一九二八−八九年)の没後二十年を迎える二月九日を前に、
貴重な直筆サインやアニメの原画など計約二百点を展示する私設資料室が二十七日、
藤岡市にオープンした。「昭和」をテーマに漫画関連などの資料約八万二千点を持つ
県内有数のコレクターで、建築士の山口由紀夫さん(55)が同市藤岡の自宅に開設。
山口さんは「癒やしの空間を提供したい」と意気込んでいる。
山口さんは子どものころから漫画好きで、手塚さんのような漫画家になるのが夢だった。
高校生からアニメや映画なども含めて収集を始め、若いころは東京・神田の古本屋街に
通って買い集めた。
中でも自慢は八一年に手塚さんから直接もらったイラスト入りサイン。サインされた本は
持ち帰ったが、舞い上がってハードカバーを置き忘れ、名刺を渡された手塚さんが
後日送ってくれたという。
展示品は、手塚さんのほかのサイン二点、「鉄腕アトム」や「火の鳥」の原画約五十枚、
「ブラック・ジャック」が連載された当時の雑誌など。約五百点ある手塚さん関連の
コレクションから選び、手塚さんがテーマの年譜も制作。手塚さんと交友があった編集者、
故大伴昌司さんの関連品も含めて常設展示する。昭和にちなんだテレビや時計など
計約五百点は、三月初旬ごろまで企画展示する。
山口さんは「本のカバーを受け取った時、手塚さんの人間性に深く感銘した。手塚作品の
魅力である人間のさが、自然への真摯な受け止め方を伝えたい」と来場を呼び掛けている。
入場料は三百円で、小学生以下は二百円。事前予約制。
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20090128/CK2009012802000142.html http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20090128/images/PK2009012802100028_size0.jpg