漫画を原作とした舞台が人気を集めている。中でも大ヒットしているのが「テニスの王子様」。
『週刊ジャンプ』に連載された許斐剛原作のヒット漫画をミュージカル化した。これまで
62万人を動員、若手男優の登竜門としても注目の舞台となっている。大ヒットの秘密は何か?
仕掛け人の一人、エグゼクティブプロデューサー、ネルケプランングの松田誠社長に聞いた。
ミュージカル「テニスの王子様」(上島雪夫演出)は2003年初演。テニス場面の多い漫画を
どう舞台化するか懸念もあったが、松田社長が演出を依頼した上島氏はダンサーで振付家。
漫画を読み「動きが踊っているようだ」と、音と光とダンスでテニス場面や漫画ならでは動きを
演出したという。
松田社長は「初演は60%ぐらいしか売れていませんでした。ところが初日の1幕が終わった休憩に、
女の子たちが携帯で興奮して話していた。その様子を見て成功を確信しました」と振り返る。
その後、口コミで話題が広がり、千秋楽には満席となった。
「テニスの王子様」は青春学園テニス部を中心に、多彩なキャラクターがテニスの大会を通して
成長していく姿が描かれる。舞台化成功の要因を松田社長は「原作に力があることが一番。
生き生きとしたキャラクター、決めぜりふ、そして女性がすてきだと思う男性が戦う姿」と説明する。
出演者は若い男優だけ。出演者の年齢が上がると卒業し、新キャストに入れ替わる。
このシステムが、若い女性ファンの心理もくすぐり、ファンはブレーク前の才能を見つけ出し、
出演者の成長を見守るようになった。全国ツアー中のミュージカル「テニスの王子様
The Treasure Match−四天宝寺 feat.氷帝」では約12万人を動員する見込みだ。
松田社長は俳優から舞台制作者に転身。マーベラスエンターテイメントの片岡義郎取締役と
漫画やアニメの舞台化をスタートする。第一弾がSMAP主演の「聖闘士星矢」(1991年)だった。
94年、ネルケプランニングを設立した。今年は初の韓国、台湾公演も行い、大盛況だった。
松田社長は「常にディズニーランドを意識し、『勝てるのか?』と自問しています。『テニスの
王子様』の入場料も5600円のまま。この作品で初めてミュージカルを見たという人が次に
観にいくのは劇団四季。その次に四季から戻ってきて見るコンテンツをどう作るかが今の課題です。
世界へ日本の作品を発信するのが夢」と意欲的だ。
FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE
http://www.business-i.jp/news/culture-page/news/200812220034a.nwc ミュージカル・テニスの王子様
http://www.tennimu.com/