東京・西武池袋線の東久留米駅北口駅舎が、駅増築工事により取り壊される。
1980年代の人気漫画「めぞん一刻」に出てくる時計坂駅のモデルと言われ、
約60年にわたり利用されてきた。名残を惜しむ同市浅間町のホームページ製作業、
半谷(はんがい)さつきさんが駅舎のデザイン画を刷り込んだエコバッグを作り、販売している。
現在の東久留米駅には、東西両口から階段などで上る橋上駅舎と、上りホームの
北端にある北口駅舎があり、北口の改札からは階段なしで直接上りホームに入れる
ようになっている。
西武鉄道の計画では、橋上駅舎を北側に建て増しし、中に物販・飲食のテナントなどを
入れる。09年3月に着工、10年3月完成の予定。北口改札は来年秋ごろに閉鎖され、
駅舎も取り壊される見込み。
北口駅舎は1949(昭和24)年の建築。木造平屋の小さな建物だ。
94年に東西両口と橋上駅舎ができるまでは唯一の出入り口で、市内各方面に向かう
バスも北口から出ていた。高橋留美子さん作のラブコメディー漫画「めぞん一刻」にそっくりの
駅舎が出てくることでファンには知られているという。
東久留米に40年以上住む半谷さんが取り壊しの話を聞いたのは、昨年のこと。
写真を撮って、自宅のパソコンで絵を作った。「ぼろいけどかわいい。なくなると聞いて悲しかった」
小中学校の同級生で、北口駅前で食料品店を営む竹内信雄さんに見せたところ、
気に入ってくれた。竹内さんは駅前商店会の会長。今年8月の商店街の夏祭りでは、
この絵を刷り込んだTシャツを100枚以上作り、商店主らがそれを着て参加した。
秋になって、半谷さんは買い物用のエコバッグを自費製作した。東久留米を示す文字は
入れず、黒地に白で駅舎の絵だけを描いたシンプルなデザイン。竹内さんの店「たけうち」で
1枚1050円、限定200枚で売り始めた。たけうちでは同じ絵をラベルに印刷したビールや
日本酒も販売している。
北口駅舎と改札がなくなれば、北口の商店街の客足に影響が予想される。
「ピンチをチャンスにできないか」と竹内さん。「ほかにも駅舎の絵を生かしてくれる店が出てきて、
商店街のシンボルになればいい」と話している。
ソース:
http://www.asahi.com/culture/update/1114/TKY200811140035.html