米国のコミックス出版大手のマーベル・エンタテインメント(Marvel Entertainment, Inc.)は、
11月4日に2008年第3四半期(1月〜9月)の決算発表を行った。決算期間中に劇場映画『アイアンマン』
や『インクレディブル・ハルク』の大ヒットがあったことから、好調な決算を期待されていた。
公表された数字はこうした期待通りのもので、第3四半期までで売上高は昨年の3億7650万ドルから
4億5190万ドルに急伸した。また営業利益も2億2280万ドルから2億6090万ドルまで増加した。
また純利益は1億4250万ドル(前年1億1210万ドル)である。
業績に貢献したのはやはり映画製作事業である。昨年までは支出だけが計上されていたが、
今期は第3四半期までで売上高で1億1910万ドル、営業利益で4060万ドルを稼ぎ出した。
売上高は全体の1/4を占め、マーベルの基幹事業であるコミックス出版事業を
売上高と営業利益の両方で上回った。
映画事業から収入は、興行収入のほか、『アイアンマン』や『インクレディブル・ハルク』
のDVDの海外でのプレセールスの売上も加わっている。
しかし、映画事業が好調な一方で、コミックス出版を行う出版事業と
そのキャラクターライセンスを管理するライセンス事業は前年同期でいずれも減収減益となった。
ライセンス事業は、昨年大きかった『スパイダーマン』のライセンスが半減したことが大きかった。
『スパイダーマン3』の効果が薄れたためである。
同事業の売上高は2億3750万ドル(前年2億6750万ドル)、
営業利益は2億540万ドル(同2億800万ドル)である。
出版事業では伝統的なコミックス出版が好調だった一方で、
豪華本など利益率の高い書籍の売上が減少した。このため売上高は第3四半期では
3%の減少だったが、営業利益の下げ幅がより大きく15%の減少となった。
これは第3四半期まで9ヶ月の決算でも同様だった。
第3四半期までの売上高は9230万ドル(前年9540万ドル)、
営業利益は3430万ドル(同4130万ドル)である。
マーベルは今期の映画事業の成功により、自社製作の映画事業をさらに積極的に進める。
既に2010年5月7日には、『アイアンマン2』が、同年6月16日には『Thor』の劇場公開が
予定されている。さらに2011年5月6日に『The First Avenger: Captain America』、
同年6月15日には、『The Avengers』の劇場公開がラインナップにあがる。
『アイアンマン2』が公開される2010年には、日本国内ではマッドハウス制作の
アニメ版『アイアンマン』がアニマックスで放映される予定となっている。
日本のファンにとっても、今後の『アイアンマン』の動向は気になるところである。
しかし、一方で、これまでソニー・ピクチャーズが製作してきた『スパイダーマン』の
第4作目については、今決算では触れられていない。大ヒット作として
続編への期待も高いだけに、こちらのも気になるところだ。
マーベル・エンタテインメント(Marvel Entertainment, Inc.)
http://www.marvel.com/ animeanime.jp
http://animeanime.jp/biz/archives/2008/11/post_485.html