10月22日に日本の知的財産戦略の検討を行う知的財産戦略本部の第5回コンテンツ・日本
ブランド専門調査会が東京・虎の門で開催された。コンテンツ・日本ブランド専門調査会は、
日本のエンタテイメントコンテンツや食、ファッションといった様々な分野のブランド価値の向上と
海外ビジネス振興を主な議題とする。
これまでにもアニメやマンガ、ゲームなども大きく取り上げられている。こうした産業に対する
行政の政策方針にも大きな影響を与える場である。22日には、特に海外から見た日本の
イメージやブランド力、さらにそのブランド力の拡大戦略が議論された。
この中で、フジテレビ相談役の村上光一氏が、番組放送局の立場から日本の放送コンテンツの
海外展開に関する幾つかの興味深い提案を行った。
「コンテンツビジネスの海外展開に向けた支援策案」と題されたこの提案は、日本のコンテンツを
海外に展開するために必要な3つの支援、すなわち環境整備に対する支援、販売活動に対する
支援、コンテンツ制作に対する支援からなる。
この筆頭にあげられた環境整備については、問題を特に2点に絞っている。ひとつめは、諸外国で
海外からのテレビ番組の輸入規制を行っている国に対する制限の緩和や撤廃を政府が各国に
対して働きかけるべきとするものである。
制限を設けている具体的な国として韓国、中国、EUが挙げられている。
2点目は、国外の海賊版と動画共有サイトの違法配信の対策である。村上氏は海賊版ソフトや
動画共有サイトでの違法配信が蔓延している国では、コンテンツの海外展開は困難とし、官民
挙げて対象国に違法状態の解消を要請する必要があるとしている。
違法配信や海賊版の問題は、これまでも度々政府関連の会議では話題とされて来ている。
しかし、特に違法配信に関しては決定的に有効手段がないこともあり、その対策は遅々として
進んでいないのが現状である。
今回の提案では具体的な方法として、流通経路の特定や市場での販売状況等の情報提供や
法制度、施策の整備、運用を挙げている。さらに侵害状態の調査やサポートに対する経費の助成、
海賊版、違法配信等の紛争解決のサポートと経費に言及した。対策行動に対する具体的な支援と
そうした活動に対する財政支出に触れていることが特長になっている。
このほか販売活動に対する支援では、海外の番組見本市出展に対する支援、コンテンツ制作に
対する支援では国際共同制作とクリエイターの育成の必要性を訴えた。
提言はテレビ番組全般についてのものである。しかし、現在、日本から海外に輸出されている
テレビ番組の相当部分がアニメである。このことを考えれば、今回の提案はアニメ業界からも
無視出来ないものであろう。
アニメ!アニメ!
http://animeanime.jp/biz/archives/2008/10/post_471.html 知的財産戦略本部 コンテンツ・日本ブランド専門調査会 議事次第(第5回)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_brand/dai5/gijisidai.html