シンガポールのメディアコングロマリットのメディアコープ(MediaCorp)は、
同国最大の日本アニメ流通企業Odexと提携して、
日本アニメのテレビ放送とオンライン配信事業を開始すると発表した。
アニメ番組はメディアコープの運営するアートセントラルチャンネル(Arts Central channel)
で放映される。また、オンライン配信はあらたに「AnimeTrix」と名付けたサービスを開始し、
メディアコープのオンデマンド配信のポータルサイトMOBTVで提供される。
メディアコープは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、映画からネットまで、
幅広いメディアを統括する同国のメディアコングロマット企業である。
アートセントラルチャンネルは、同社のグループ企業メディアコープ12が運営する専門チャンネルである。
一方、Odexは、シンガポールとマレーシア、インドネシア、フィリピン、ブルネイの
東南アジア各国で日本アニメ扱う最大の企業である。
同社の名前は、2007年にアニメ番組のネットからの違法ダウンロードに関する事件でよく知られている。
この事件でOdexは、アニメ番組違法ダウンローダーを法的に訴える動きをみせ、
ネットからの違法ダウンロード対策を目指した。
メディアコープによれば、アートセントラルチャンネルは世界で初めて
日本のアニメを日本の放送と同じ週に放送する。日本と時差のない放映で視聴者のニーズに応える。
同局は、水曜日から金曜日までの11時から12時までを日本アニメの時間に割当ている。
現在は、『ネオアンジェリーク Abyss』、『テレビアニメ: ゼロの使い魔〜三美姫の輪舞〜』、
『D.Gray-man』と最新のアニメ番組を放映している。
また、AnimeTrixは、テレビ東京やNHKグループ、メディアファクトリー等から作品の供給を受ける。
この中には上記3作品のほか、『ヤマトナデシコ七変化』、『東京魔人學園剣風帖 龍龍』、
『瀬戸の花嫁』、『どーもくん』などが含まれる。
MOBTVでのAnimeTrixのサービスは7月21日に既に開始しており、
月10ドル、3ヶ月27ドルで利用が可能になっている。
7月21日に行われたメディアコープとOdexの調印式には、日本からバンダイチャンネル、テレビ東京、
サンライズ、MICO(国際メディアコーポレーション)の代表も出席をした。
シンガポール側だけなく、日本の関係者からも、今回のプロジェクトへ期待が持たれている様子が伺われる。
OdexはMOBTVがアニメ番組を視聴者に届ける最も有効な手段になり、
シンガポールにおける合法的なアニメ視聴を推し進める大きな一歩になるとしている。
現在、インターネット上に溢れる日本アニメの海賊版ファイルが、
海外の日本アニメのビジネスを阻害しているとされる。
一方で、海賊版ファイルの対策には、法的な手段だけでなく、違法行為を生み出す日本との放映時差などの解消や
オンラインを利用した手軽な視聴方法の提供が必要と指摘されている。
今回のメディアコープとOdexの試みは、まさにこれに応えるものとなっている。
特にテレビでの日本と時差のない放映は大きな注目となる。
これまでにも、オンラインを利用した同時リリースの試みはいくつか行われている。
しかし、テレビを利用した試みは初めてとなる。
こうした試みが、海外で縮小しているとされるアニメ映像ビジネスにどういった影響をあたえるのか、
シンガポール以外の国にも広がるのかも注目される。
メディアコープ(MediaCorp)
http://www.mediacorp.sg/ animeanime.jp
http://animeanime.jp/biz/archives/2008/07/post_406.html