ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)は、ゲームソフト会社
グローバル・A・エンタテインメント(GAE)の保有ゲームソフト6作品の著作権を流動化し、
信託設定を行う。ゲーム著作権を流動化することで、GAEの資金調達の拡大を目指す。
JDC信託は、アニメやゲーム、映画などのコンテンツ・知的財産に特化した非銀行系で
初の信託会社である。これまでも数多くのコンテンツ関連信託の組成や、新たな資金調達の
試みを行っている。最近では、6月28日に劇場公開し注目を浴びている日米合作アニメ
『ストレイト・ジャケット』のプロジェクトにも参加している。
GAEは東京に本社がある中堅のゲームソフトで、ビッグヒットでなく、安定的なミドルヒットを狙う
戦略を持っている。ニッチ(隙間)市場に特化したゲームソフトを開発する。
今回著作権を流動化するのは、既に発売されている「コスメちっく☆パラダイス〜メイクのキセキ〜」、
「世界はあたしでまわってる」、「トレインマスター」、「ものしり江戸名人」、「ものしり幕末王」
(以上ニンテンドーDS向け)「零式艦上戦闘機 弐」(PSP向け)、それに7月10日に発売予定の
ニンテンドーDS向けソフト「コスメちっく☆パラダイス〜メイクのキセキ〜」である。
6作品の評価額はおよそ1億円、GAEが著作権をJDC信託に信託設定する。信託受益権は
利益が優先的に配分される優先受益権95%とそうでない5%の劣後受益権に分割される。
JDC信託が優先受益権を一般事業会社や機関投資家に販売し、GAEはこれにより資金調達を行う。
GAEは劣後受益権を保持する。ゲームから得られた販売収益は、優先受益者に優先受益権120%まで
優先的に分配される。その後は劣後受益者であるGAEに分配され、収益が拡大すれば
GAEの収益取り分も拡大する。信託期間は約3年間となる。
映画やアニメ、ゲームは開発当初の投資資金が大きい。しかし、一方で資金の回収は作品リリース後、
販売が一巡してからになるのが一般的である。このため初期投資の回収に時間がかかる。
これに対して大手制作会社では、手元流動資金を多めに残し自己資金で製作投資を行うか、
自社の信用で銀行借入を行うなどで対応している。
しかし、歴史が浅く、自己資金が限られている新興のコンテンツ制作企業や中堅以下の企業にとっては、
こうした資金調達の壁は厚い。今回の著作権流動化は、こうした問題を解決する方法のひとつとなる。
既に所有する著作権や今後製作する作品の著作権を利用した資金調達は、これまでも提案されることはあった。
しかし、必ずしも広く普及しているわけではない。
そうしたなかで、今回の信託設定を利用したゲーム著作権の流動化は、資金調達の多様化を通じた
コンテンツ産業の発展にも寄与するものとも言えるだろう。JDC信託は今回の案件を機に、
著作権流動化を利用した信託設定を拡大したいとしている。
また、ゲームだけでなく、映画やアニメでも複数の流動化案件を現在、計画中であるとしている。
ジャパン・デジタル・コンテンツ信託
http://www.jdc.jp/ グローバル・A・エンタテインメント
http://www.gae.co.jp/ animeanime.jp
http://animeanime.jp/biz/archives/2008/07/jdc_gae6.html