北米で日本のマンガなどの出版を行う大手企業Tokyopopが、大規模な会社再編を行う。
会社は出版事業部門と映画・デジタル部門のふたつの会社TokyopopとTokyopop Mediaに分割され、
また組織の再編に伴い39人の従業員をレイオフした。
さらに、現在、年間500タイトルほどの新刊マンガの出版点数を半分以下に減らす方針だとされる。
北米のマンガ市場全体の成長は続いているが、成長産業だけに競争も激化している。
事業のスリム化で競争を勝ち抜く方針とみられる。
日本にある東京本社は、現在のTokyopopがホールディングカンパニーとして存続し、
新たにTokyopopメディアが設立される。ロサンゼルスにあるTokyopopは、マンガを中心とする
出版事業を引き続き担当する。また今回新たに設立されたTokyopop メディアが、
映画とデジタルメディア関連事業を行う。さらに北米の2社をTokyopop グループが統括する。
Tokyopop グループのCEO(最高経営責任者)とチーフ・クリエイティブ・オフィサーは、
旧TokyopopのCEOであるスチュアート・リビー氏が就任した。
また、社長とCOO(最高執行責任者)は、ジョン・パーカー氏である。
Tokyopopによれば今回の事業再編は、出版事業の再編成とマンガと映画のデジタル分野での
競争力を高めるためのものだという。また、従業員のレイオフについては事業の集中化のためとしている。
また、アニメニューズネットワークの報道によると、Tokyopopは年に470冊発売していた新刊出版点数を
225冊から240冊まで削減する。これは業界の喰い合いを避けるためのものである。
近年、北米のマンガ業界では、市場の成長を上回る新刊出版数の増加が業界の健全性を
損なうのでないかと指摘されていた。
Tokyopopの事業再編は好調とされる北米マンガビジネスでの厳しい競争を示している。
特に現在は、日本の有力企業の人気作品のライセンスが特定の企業に固定化する傾向が強まり、
ライセンス獲得競争が激しくなっている。
米国のマンガ出版業界は、メジャーなタイトルを大量に売る大手企業と
より専門的、マニア向けの作品に特化した中堅以下の企業に二極分化しつつある。
こうしたなかかつて業界最大のシェアを誇っていたTokyopopは、
両者の狭間まで事業のあらたな方向性が取りにくくなっている。
これまでTokyopopは、OELと名付けた日本人以外のクリエイターによるマンガスタイルに
活路を見出そうとしてきた。しかし、書店販売では、日本のマンガと米国のコミックス作家による
グラフィックノベルが共に成長しており、書店の書棚を奪い合うかたちになっているという。
ここでも日本マンガでもなく、米国コミックスでもないTokyopopのOELは、不安定な位置にあるとみられる。
今回、同社は従来のマンガ出版事業を再活性化させる一方で、映画とデジタルコンテンツ事業を
切り離したのは、これらを新たなビジネスのフロンティアと定めているためと考えられる。
米国のマンガ出版で常に先駆的な試みを行ってきた同社は、同業他社がまだ手をつけていない
マンガのメディア展開に活路を見出すことになる。
animeanime.jp
http://animeanime.jp/biz/archives/2008/06/tokyopop_1.html Tokyopop
http://www.tokyopop.co.jp/