デジタルコンテンツ協会がデジタルコンテンツの様々な情報を伝える「DCAJ news」が、
5月8日リリースの最新号で、「シンガポールDRM報告 違法コピーは防げるか?」
と題した同国Odex社をレポートしている。
この特集は、デジタル著作権管理や海賊版への取り組みを積極的に進めるシンガポールの現状を、
現地の関連機関や企業への調査として行っているものである。
Odexは、その中のひとつとして特に詳しく取り上げられている。
Odexはシンガポールに本拠を持つアニメ流通企業で、シンガポールのアニメDVD市場の9割を握る。
また、東南アジア各国でビジネスを展開している。東南アジアを代表する日本アニメ関連企業である。
しかし、同社の名前が広く知られるようになったのは、昨年Odexがインターネット上での
日本アニメの違法ダウンロードに対して、法的手段を行ったことからである。
同社の賠償請求の対象が、違法コピーのアップローダーでなく、
ダウンローダーであったことから世界的な注目を浴びた。
レポートはこうしたOdexの動きを中心に、日本のアニメが海外で直面する違法コピーの現状と
その対応策についての問題を取り上げる。Odexを巡る問題は、シンガポールのメディアを通じて
これまで断片的に伝わって来る情報しかなかった。
今回はOdexの事件を時系列で報告した、貴重な内容となっている。
そして、レポートのなかには、これまではあまり現れなかった数字も挙げられている。
例えば、Odexの2007年の売上高は、違法コピーにより2005年の1/10に落ち込んだこと、
違法ダウンロードがシンガポール国内は少なくとも年間30万話であることなどである。
さらに、Odexが行ったISPに対する情報開示請求が、今年春に最終的にOdexには
情報公開請求の権利はないとされOdexが敗訴したことも報告されている。
一方で、「ダウンロードは違法」、「日本の著作権者自身には情報請求権がある」
ことは認められたという。
こうしたアップトウデイトな情報に加えて、シンガポールの政府機関の取り組みや、
他のコンテンツの海賊版の現状などにも触れられ、内容の多いレポートとなっている。
地理的には近いが正確な情報が少ない東南アジア地域のデジタルコンテンツの
海賊版の状況を把握する助けとなりそうだ。
animeanime.jp
http://animeanime.jp/biz/archives/2008/05/odex.html デジタルコンテンツ協会
http://www.dcaj.org/ シンガポールDRM報告 違法コピーは防げるか?
http://www.dcaj.org/dcaj_news/no138/index.html