1960年の初開催から世界で最も長い歴史を持ち、最大規模を誇るアニメーション映画祭が、
フランス南部の都市で毎年開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭である。世界4大
アニメーション映画祭のひとつとされているが、他の映画祭と較べても世界からの注目度は
群を抜いている。
今年の開催は6月9日から14日に予定されているが、早くも長編映画部門を除く公式出品作が
発表された。
短編映画部門には、日本から3作品が選ばれた。特に注目はクリエーションの最先端を走る
15人のアニメーション監督の集めたNHKアニクリ15から2作品が選ばれていることだ。
ひとつは新海誠監督の『猫の集会』である。わずか1分に、猫の世界が描かれる同監督の
最新作となる。長編アニメ『秒速5センチメートル』で世界のアニメーション映画祭で注目を浴びる
新海監督だが、今度は短編映画となる。もうひとつは木村真二監督の『アタック オブ東町2丁目』
である。こちらはダンボールを利用した素材から、2Dアニメーション感覚と3Dアニメーション感覚が
ブレンドした映像を作り出している。物語はエスプリの効いたコメディタッチとなっている。
また、2006年にも『或る旅人の日記』で公式出品経験のある加藤久仁生さんが『Tsumiki no le』を
出品する。インディーズアニメーション出身の加藤さんは、国際的なアニメーション映画祭では
お馴染みの顔である。
テレビアニメーション部門では、『墓場鬼太郎』の第1話「鬼太郎誕生」が話題となりそうだ。
昨年のアヌシーでは同部門に、『怪? ayakashi?JAPANESE CLASSIC HORROR 化猫』が公式出品
されている。東映アニメーション制作、ノイタミナ放映作品として2年連続の出品となる。
また、東京動画革命が製作を行う『Tokyo Punch! 奈良の大仏』は、フランスの作家フレデリック・
スマーニャさんの作品。フランス作家が日本で制作をし、再びフランスの映画祭に出品する
面白いケースとなる。さらに富岡聡監督の『ウサビッチ』 1話、13話、18話がこれに加わる。
このほかコマーシャル映像では、中澤一登さんが、花王のために制作した『ASIENCE〜髪は女の命』
が出品される。作品は既にロンドン国際広告賞ゴールド賞を受賞している話題のコマーシャルである。
学生部門で公式出品に選ばれた『Recorder』の加藤隆さんは、今年の東京国際アニメファア2008の
クリエイターズワールドに参加する。この場でも多くの人から関心を集めそうだ。
同じくクリエイターズワールドに参加する杉殿育恵さんは、自身の作品『The Dream in the Dream』と
西尾都さんとユニットを組むPECORAPEDの『迷走赤ずきん』の2作品が出品される。
アヌシーの実行委員会は、残る長編映画部門についても、間もなく公表する予定としている。
この長編部門は昨年より大幅なてこ入れが行われ、これまで短編作品中心だった映画祭の
目玉と変わった。
そうしたなか昨年は、日本の劇場アニメ『時をかける少女』が長編映画特別賞を受賞し注目を
浴びている。今回発表された作品に加えて、今後発表される長編映画の出品作も気になる
ところである。
アニメ!アニメ!
http://animeanime.jp/news/archives/2008/03/post_329.html アヌシー国際アニメーション映画祭(英語)
http://www.annecy.org/home/index.php?Page_ID=2