米国のポップカルチャー業界情報サイトのICv2の調べによれば、2007年の北米の
日本アニメのDVD売上は前年比20%の減少となった。また、発売タイトル数も
21%減と2006年の19%減に続いてマイナスとなった。
ICv2は、北米の日本アニメDVD市場を2億7500万ドルから3億ドルと試算している。
一方、ICv2は、現在はまだ集計が終わっていないが、2007年の日本マンガ市場に
ついては、成長率は落ちているものの今年も力強い成長を遂げたとしている。
2007年のアニメDVD市場が、一昨年より厳しい状態になっていることは、
これまでも度々メディアが伝えてきたが、今回、あらためてそれが確認された。
しかし、こうしたアニメDVDの市場だが、今回ICv2が合わせて発表した2007年の
注目作品のベスト10を見るとまた異なった一面も伺える。
ICv2のリストの1位は『ドラゴンボール』、3位に『ポケットモンスター』、4位『NARUTO』、
5位『Bleach』となっている。これらの作品は日本であればゴールデンタイムに
放映されるファミリーキッズの長寿番組である。
さらに2位の『ファイナルファンタジー アドベントチルドレン』や、あるいはジブリ作品
といった米国メジャーレーベルが発売する映画作品、米国TV向けの特別番組『アフロサムライ』、
『ロボッテック 影の年代記:Robotech Shadow Chronicles』といった米国向けの作品も
並んでいる。こうした作品群は決して売上が不調でないというわけである。
一方で日本のアニメDVD市場で大きなシェアを占める深夜に放送されるマニア向けの
比較的短いシリーズ作品は顔をだしていない。唯一、OVAとして『鴉 -karasu-』が
10位に入っているが、このシリーズも日本ではテレビ放映されていない。
勿論、販売本数が少ないからこそのマニア向け作品である。しかし、日本ではそうした
なかから『コードギアス』なり、『らき☆すた』なりといった大ヒット作が毎年幾つか
生まれるから、米国のアニメDVD市場は日本とはまた異なった存在である。
ここから見えてくるのは日本アニメのDVD全体の不振でなく、いわゆるマニア向けの
アニメDVDの不振である。つまり、マス(大衆)向けの作品、劇場作品は比較的よく売れている。
こうした状況を念頭に置いて、今後、北米で日本アニメDVDのビジネスを進めるなら、
マス向けや劇場作品(米国公開、未公開に関わらず)に傾斜することはひとつの戦略に
なるだろう。さらにマニア向けについては、DVDだけでなくオンライン配信やVOD、
テレビ放映も含めた収益源の多角化が鍵になると考えられる。
animeanime.jp
http://animeanime.jp/biz/archives/2008/02/2007dvd20ic2_1.html ICv2
http://www.icv2.com/articles/home/12068.html http://www.icv2.com/index.html