自動車で行けない秘境の駅として知られるJR四国・土讃線の坪尻駅=三好市池田町西山=が、
今年に入って列車を撮影する鉄道ファンらでにぎわっている。JRグループのダイヤ改正に伴い、
根強い人気のあるキハ58系気動車が四国からも順次姿を消していくためだ。
坪尻駅は絶好の撮影ポイントとして知られており、
ファンは思い思いのアングルでシャッターを切っている。
山に囲まれた坪尻駅は、坂の途中にある行き止まりの駅で、列車が進行方向を変えて
出入りする、四国でも二カ所しかないスイッチバック駅の一つ。
ファンらが訪れ始めたのは、JRの広報で58系が定期運転から撤退するニュースが流れた
昨年末ごろから。一日の平均乗降客はわずか二人(二〇〇六年度、JR四国調べ)の静かな駅に、
休日には十−二十人が訪れている。雪の降った一月二十日には、雪景色をバックに
58系を収めようと三十人近くがカメラを構えていたという。
坪尻駅のある阿波池田−多度津間には58系で運転される普通列車が午後に三本あり、
中でも阿波池田駅午後四時二十七分発の高松行き上り列車は往年の急行列車を思わせる
四両編成で人気が高い。
58系は蒸気機関車けん引列車の一掃を目指して、一九六一年から六九年にかけて、
千八百二十三両が製造された。旧国鉄の気動車では最多車両数を誇る。
団塊の世代が中学生のころに誕生したこともあって、修学旅行などで乗車する機会も多く、
クリーム色に赤帯の姿が記憶に残っている人は多いはず。日本の高度成長時代を支えて
走り続けたが、老朽化で徐々に車両数が減り、団塊世代の大量退職と時を同じくして
引退することになった。現在一番多く走っているJR四国でも今秋までに車両を切り替える方針。
東京から来たファンは「学生時代から58系によく乗って全国を旅行した。
乗れるだけ乗って、思い出の一枚を撮影して帰りたい」と熱心にカメラを向けていた。
徳島新聞
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_120252111002&v=&vm=1 http://www.topics.or.jp/system/data/news/120252110705.jpg JR四国
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