【鉄道】鉄道は、みんなを「まちづくり」の当事者にする点火スイッチ 『がんばれ!銚子電鉄』その3

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1コロッケそばφ ★
経営危機に陥った銚子電鉄を救うために、多くの人が行動してくださいました。
それには、新聞やテレビ、そしてインターネットが連動する「クロスメディア」の力が
大きかったということを、前回お話しました。

地方の小さな鉄道会社や、小さな町が生き残っていくためには、テレビや新聞、
インターネットを通じた露出が不可欠です。外部の人に知っていただいて、
足を運んでもらうようにならなければ、地方鉄道も地方都市も活性化することは
ないと思います。

しかし、1度や2度紹介されたからといって、事態がすぐに好転するとは限りません。

>>2へ続く

日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080131/146039/
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080131/146039/ph1.jpg
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080131/146039/ph2.jpg
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080131/146039/ph3.jpg
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080131/146039/ph4.jpg
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080131/146039/ph5.jpg
日経BP書店|商品詳細 - がんばれ! 銚子電鉄
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P46400.html
銚子電鉄の日記帳
http://blogs.yahoo.co.jp/choshidentetsu/
向後功作の銚子散歩
http://blog.livedoor.jp/kugkusk3/
潮風とロマンのふるさと-銚子電気鉄道-
http://www.choshi-dentetsu.jp/
関連
【鉄道】「敗北宣言」が呼び込んだ奇跡の復活 『がんばれ!銚子電鉄』その1
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1201181175/
【鉄道】「ぬれせんべい」が『鉄子の旅』につながったのはなぜ? 『がんばれ!銚子電鉄』その2
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1201706288/
2コロッケそばφ ★:2008/02/07(木) 23:50:10 ID:???
■悲鳴を上げればうまくいく、わけはない

メディアでの露出と同じくらい重要なのは、自らの手で情報発信することです。
そのためにインターネットを活用できることは、この連載ですでに述べました。
テレビや新聞で興味を持った人が、さらに情報を得るためにインターネットで
検索するのは、いまや常識です。当事者がインターネットで情報を公開することで、
興味を持ってくれた人が行動に移すきっかけを作ることができるのです。

そのような情報発信を続けていけば、定期的にメディアで取り上げられるようになり、
定期的に訪れてくれる人も増えていきます。ただし、そこで問題なのは、
「何を発信するのか」です。伝えたいことがなければ、人を引きつけることができません。

伝えたいこととは、結局のところ、「自分たちがどのような取り組みを行っているのか」
につきると思います。現状を嘆くだけでは、初めは注目を集めるかもしれませんが、
人を巻き込むことはできません。問題をどうとらえているのか、どのような活動をして
いくのか、どのような目標をすえているのかを伝えれば、感心を持ってくれた外部の人が
「では、自分はこのように関わりたい」という意思表示をしてくれるようになります。

自分たちが行っている取り組みについて伝えるのは、それほど難しいことではありません。
インターネットのホームページや、ブログなどで、等身大のありのままの言葉で
書くだけです。それよりも大切なのは、取り組みの「内容」です。

例えば、企業や自治体の広報部門が、自分たちの決定した取り組みを発表するとします。
それは、ニュースとして取り上げられたり、一般の人の関心を引くこともありますが、
たいていはすぐに忘れられてしまうものです。それに、ニュースリリースのような
ものを読んで一般の人が「自分も関わりたい」と思うでしょうか。

■車への移行より、地域の人口減が衰退の主因

それよりも、個人レベルでの情報発信のほうが有効だといえます。企業の社長や担当者が
ざっくばらんに語るブログのほうが、親近感をおぼえるからです。そのようなやり方で
ファンを増やしている企業も最近は増えてきているようです。

地方鉄道と地方都市では、どのような取り組みをして、どのように
情報発信していくべきなのでしょうか。

銚子電鉄は、ぬれせんべいの販売で窮地を脱しましたが、本業の鉄道で安定した収入を
得なければ、万全とはいえない気がします。しかし、乗降客数が落ち込んでいるのは、
根が深い問題です。

地方鉄道の乗降客数が減少しているのは、モータリゼーション、つまり社会が車中心に
なったことが原因だという人もいます。ただし、通勤に電車を使わずに車を使う人が
増えたことが、乗降客数が減ったことの決定的な要因とは思えません。それよりも、
少子高齢化が進み人口が流失していることで、鉄道を利用する人が少なくなったこと
のほうが、大きく影響しているのではないでしょうか。

現在、小さな地方都市は、どこも少子高齢化と人口の流出が悩みの種です。地方鉄道は、子
どもが減って通学客が減り、定年を迎えた人や若者を中心に大都市に移り住む人が増える
ことによって通勤客が減っているのです。これは、地方鉄道を抱えるどの地方都市でも
共通の問題です。

このような状況で、鉄道の利用者が急激に増えるというのは、考えにくいことです。
それでは、観光客を誘致するのはどうでしょう。観光資源を開発したり、旅行会社と協力
してツアーを企画すれば、うまくすると訪れる人が増えるかもしれません。ただし、一時的
なブームではなく、継続的に人を呼び込むには、もっと根本的な取り組みが必要です。

>>3へ続く
3コロッケそばφ ★:2008/02/07(木) 23:50:17 ID:???
いま、地方の町が活気を失っています。駅前の商店街は、店を閉める店舗が増え、
「シャッター通り」と化しています。一方で、郊外に大型のショッピングセンターができ、
社会が車中心になっていることが表れています。

このような状況を打破するために必要なのは「まちづくり」です。まちづくりこそ、
地方の町と地方の鉄道を活気づかせるものだと、私は考えています。

まちづくりというと、何か新しい名物や施設を作り、それを目玉として宣伝するという
ことかと思う人がいるかもしれませんが、そうとは限りません。古くからある建物や伝統を
残すための運動が、まちづくりへと発展し成功を収めた例もたくさんあります。

■「まち」が復活してこそ本当の再建が果たせる

ですから、古くて利用者が減ってきた地方鉄道を、まちづくりの中心にすえることも
可能なのです。沿線でイベントを開催したり、沿線の観光資源を紹介して人を呼び込めば、
電車に乗る人も増え、町が活気づきます。

このようなまちづくり活動の中心になるのは、市民団体です。銚子でも、2007年1月に
「銚子電鉄サポーターズ」が結成され、銚子電鉄を応援してくれています。このような団体が、
結果として銚子の町全体を応援してくれているのです。また、個人レベルの情報発信をと先ほど
言いましたが、銚子電鉄サポーターズもブログやホームページを利用してメッセージを伝えています。

まちづくりが重要な理由はもう一つあります。それは、高齢化が進むと、現在のような
車中心の社会では暮らしづらいからです。

商店街で毎日買い物するのではなく、週末に郊外のショッピングセンターに車で行って
一週間分の買い物をするというのが、現在定着しつつあるライフスタイルです。
しかしこれでは、車を運転しない年配の方には明らかに生活しづらいのです。

商店街の衰退が進んだ1990年代には、このような車社会の問題に対処するために、
「コンパクトシティ」という考え方が登場しました。コンパクトシティとは、車社会で
取り残される高齢者などのために、市街地を小さく保って都市の機能を中心部に集め、
住みやすいまちづくりを目指そうというものです。

そして、コンパクトシティを実現するためには、狭い範囲を効率よく移動するための
公共交通手段が重要だと考えられています。欧米の都市では、そのための「ライトレール
(軽量軌道交通)」が発達しています。銚子電鉄はライトレールではありませんが、
そのようにも活用できるでしょう。そして、これが当てはまる他の地方鉄道もあると思います。

鉄道を中心にすえたまちづくりで、町と鉄道を活気づかせる――これこそが、
銚子電鉄を始めとする地方鉄道を再生するための方法ではないかと私は考えます。

■長浜市の再生例

まちづくりの成功例として有名なのが、滋賀県長浜市です。長浜は人口が約6万人なので、
ほぼ銚子市と同じ規模の都市と考えていいでしょう。長浜も、1990年代前半より、
郊外の大型ショッピングセンターとの競争から、市街地の商店街は大打撃を
受けていました。そして、人も周辺の大きな都市に流出していました。

長浜市の中心部には、1890年(明治33年)に建設された大きな土蔵造りの建物があります。
これは百三十銀行長浜支店の建物で、周囲の壁が黒塗りであったことから
「黒壁」と呼ばれてきました。

その歴史的建造物が取り壊されることになると、市民の有志がその存続を訴える運動を
起こしました。そして、地元企業と市が出資して、黒壁の土地と建物を買い取ります。
そのときに、第三セクター(行政が出資した会社のこと)として誕生したのが
「株式会社黒壁」です。あたらしくできたまちづくり会社の目的は、黒壁の建物を
救うだけでなく、それを使って地域の再生しようというものでした。

>>4へ続く
4コロッケそばφ ★:2008/02/07(木) 23:50:23 ID:???
地方鉄道に関する取り組みも紹介しましょう。私は、2007年9月に青森県の津軽鉄道を
訪ねました。津軽鉄道は、五所川原市の津軽五所川原駅から、北津軽郡中泊町の津軽中里駅
までを結んでいます。路線距離20.7キロメートル、全12駅と、銚子電鉄に比べれば一回り
規模が大きいといえますが、やはり累積赤字に悩む地方鉄道です。また、五所川原の駅前通り
を歩いてみると、やはり多くの商店でシャッターが閉まっていました。かつての五所川原は、
津軽平野でとれるお米がたくさん集まってくる場所だったのに、です。

津軽鉄道には、ユニークな試みがたくさんあります。夏には、津軽金山焼の風鈴を客車の
なかに吊るす「風鈴列車」を運行しています。秋には、車内にスズムシのかごを置いて、
その音色を楽しむことができる「鈴虫列車」。そして冬には、これがもっとも有名ですが、
車内をストーブで暖める「ストーブ列車」を運行しています。

■人々が個々に関わるために、ネットは最適

地元住民が中心となって結成された「サポーターズクラブ」が、さまざまな支援活動を
行っています。その企画で、「生ビール列車」や「ホタル列車」といったイベントが
開催されたり、亜細亜大学の先生の指導を受けて、新しい名物となるようなおみやげを
開発したりしているようです。

また、芦野公園駅には、地元NPOの働きかけで、古い駅舎を利用したカフェがあります。
お店の名前は、ずばり「駅舎」。ここでは昭和の懐かしい雰囲気を楽しみながら、おいしい
コーヒーをいただきました。また、津軽鉄道の全駅を実際に自分の足で歩いた女性が
手描きしたマップもあり、大変面白いものでした。

さまざまな活動について見聞きするうちに、いろんな立場の人がそれぞれ津軽鉄道を
支えているという印象を受けました。津軽鉄道サポーターズクラブには、地元の市民は
もちろん、行政に携わっている方も参加しています。サポーターズクラブでは、みんなが
自分の立場をいったん離れて、地元に貢献しようとしているのです。このような姿勢は、
学ぶべきところだと思いました。

銚子のまちづくりも始まっています。それは、観光資源と、市民活動の組み合わせです。

もともと銚子には、たくさんの観光スポットがあります。まず明治7年に建造された犬吠埼灯台。
これは、灯台の父と呼ばれた、日本における灯台建築の第一人者であるスコットランド人の
R・H・ブラントンによってつくられたもので、世界の灯台100選にも選ばれています。

そして、江戸時代から多くの参拝客を集めてきた飯沼観音。これは、銚子電鉄の観音駅
からほど近い円福寺にあります。地元の漁師が、奈良時代に海から観音像を引き上げた
という伝説が残っています。

いまや、銚子電鉄も観光資源のひとつです。銚子電鉄に乗るために
銚子を訪れてくださる方もたくさんいます。

>>5へ続く
5コロッケそばφ ★:2008/02/07(木) 23:50:30 ID:???
■自ら観光資源となり、あたらしい資源も生み出す

この10年で新しく生まれた観光資源も多くあります。その代表が、イルカやクジラの
ウォッチングです。銚子の沿岸には、たくさんのイルカやクジラが棲息しています。
スナメリ、カマイルカ、セミイルカ、ハナゴンドウ、シャチ、マッコウクジラ、
ザトウクジラなどです。それらを見学するために、クルーズ船が出ています。

市民の間からまちづくりを行おうという活動としては、「外川ミニ郷土資料館」
があります。銚子電鉄の終着駅のある外川は、銚子でもっとも古い歴史を持つ、
漁業の盛んな町です。外川漁港の開港は江戸時代初期ということですから、
400年近い歴史があります。

この外川に、2007年3月、「外川ミニ郷土資料館」が誕生しました。昔の漁師さんが
使っていた道具や、網元の印が入った晴れ着といった、外川の歴史がわかる貴重な
資料が集められています。また、銚子電鉄の歴史にまつわる品々や
写真もたくさん展示されています。

外川ミニ郷土資料館を作った館主の島田政典さんは、外川で島長水産という魚問屋を
経営している社長さんです。島田さんが私財を投じてこのミニ郷土資料館を作った
理由は、外川と銚子の歴史を伝え、町おこしに役立てたかったからでした。

貴重な展示物のほとんどは、地元の人たちが自分の家に眠っていたものを持ち寄りました。
外川ミニ郷土資料館は、いわゆる箱モノとは違う発想で成り立っています。町おこしと
いうと、すぐ立派な新しい建物をつくればいいと考えるのは、行政にありがちな発想です。
資料館の建物は、島長水産の旧家屋を改造して作られ、外川の町にも溶け込んでいます。

銚子電鉄で終着駅まで行かれた方には、ぜひ、ミニ郷土資料館を訪れ、そして、ぐるっと
歩いて外川の美しい街並みを見ていただきたいものです。碁盤の目状になっている
石畳の道路と、それに連なる黒生瓦の家々。駅から緩やかな坂を下ると、海に出ます。
街並み自体から歴史の重みが感じられるはずです。

まちづくりを勉強するために、2003年4月に千葉大学工学部都市環境システム学科に
入学しました。この学科には社会人枠があり、どうしてもまちづくりについて学びたかったので、
一念発起して受験したのです。

■自らも新しい学びを

私は、千葉大学で卒論を書くつもりでいました。卒論は必須ではなかったのですが、
まちづくり勉強の集大成として執筆するつもりだったのです。ところが、卒論に
取り掛かろうとした矢先に銚子電鉄の問題が明らかになり、対応に追われて
書けなくなってしまったのです。

2007年3月に無事卒業した私は、学んだことを実践し、まちづくりに取り組むことを
ライフワークとしていきたいと考えています。そして『がんばれ! 銚子電鉄』
という本を書いたのは、卒論の代わりという気持ちもありました。

地方再生のための取り組みは、まだ始まったばかりです。そのために何ができるのか
考えながら、みなさんにこうして地方の問題を知っていただくための活動を行うのも、
重要なことだと思っています。

この連載や、『がんばれ! 銚子電鉄』を通じて、地方鉄道や地方都市の問題に
一人でも多くの方が関心を持っていただければうれしいです。
6なまえないよぉ〜:2008/02/07(木) 23:59:40 ID:LFesNpmx
がんばれ!
7なまえないよぉ〜:2008/02/08(金) 00:06:37 ID:pa/cXBh+
なげぇww
8なまえないよぉ〜:2008/02/08(金) 00:55:56 ID:+X/t3kXi
つまり要約すると、長浜が活性化したのは新快速が発着するようになったからでOK?
9なまえないよぉ〜:2008/02/08(金) 09:10:25 ID:VRyMbtV7
そんなことより路線バスでなにがいけないのか書けよ
10なまえないよぉ〜:2008/02/08(金) 15:50:57 ID:8GpDA90A
>>9
鉄道が廃線になるほど過疎化が進んでいる場所では路線バスも同等の本数では赤字になること。
それによる減便、あるいは路線そのものの廃止が鉄道に比べ格段に早いこと。
強引に維持したとしても自治体の赤字補填がけっこうな額になること。鉄道維持した場合と変わらん。
実例はぐぐれば腐るほど出てくると思う。
まあ俺としては別に道路さえあればバスも鉄道もいらんけどさ。
11なまえないよぉ〜
【銚子】銚子電鉄支援参謀本部2008【電鉄】
http://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1202530665/l50