【鉄道】「敗北宣言」が呼び込んだ奇跡の復活 『がんばれ!銚子電鉄』その1
■敗北宣言が呼び込んだ奇跡の逆転
銚子電鉄で稼動させている車両は4つあります。2006年12月から順次検査を行わなければ
ならならなかったのですが、その費用がどうしても出せなくなってしまったのです。
決められた期日までに検査を実施しなければ、車両が利用できなくなり、銚子電鉄は
運行することができなくなってしまいます。
ここまで資金繰りが悪化したのは、利用客の減少に加え、2006年8月に銚子電鉄の前社長が
業務上横領で逮捕されたこと、それにより銀行から融資を受けられなくなったこと、
千葉県や銚子市からの補助金が受けられなくなったことなどが原因でした。
途方にくれた我々は、藁にもすがる思いで、インターネット通販でぬれせんべいを
購入してくださいと呼びかけたのでした。誰が応えてくれるかもわからないまま……。
ところが、翌々日になると変化が現れました。
メールボックスが、ぬれせんべいの注文であふれていたのです。
それまで日に10セットもなかった注文が、突然100件になりました。
そして翌日には、200件になりました。
ぬれせんべいの注文は、1週間で5000件を超え、
2週間足らずで1万件を超えたのです。
存続の危機を前にして、すべての策が尽きてしまった私たちには、本当に奇跡のような話でした。
この「臨時収入」で検査費用を支払うメドがついたのです。
いったいどこのどなたが、ぬれせんべいを購入してくださったのでしょうか?
注文メールには、温かい励ましの言葉や応援のメッセージが添えられていました。
銚子電鉄と同じように、廃止の危機に直面している地方の交通機関に勤めていらっしゃる方からの
メールもありました。定年退職された方から、銚子電鉄はまだまだがんばってほしいという
メッセージをいただいたこともありました。まさに日本全国のさまざまな立場の方が、
ぬれせんべいを買ってくださっていたのです。
どのようにしてホームページに掲載した「お願い」が広まったのかは、初めは謎でした。
後でわかったのですが、例の一文をアップした次の日の夜には、掲示板「2ちゃんねる」に、
「銚子電鉄を救おう」という書き込みがありました。そして、ほぼ同時に、
個人が運営するニュースサイトでも銚子電鉄について記事が書かれていたようです。
記事を読んで銚子電鉄の状況を知った人が、ネット上のブログや、ミクシィのような
SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の日記で、銚子電鉄について書く。
それを読んだ人が、ぬれせんべいを注文したり、さらに自分のブログやSNSの日記に
書いたりする。これはまさに、インターネットを通じた「口コミ」の力でした。
インターネットでの盛り上がりを追いかけるように、テレビや新聞といったマスメディアから
取材の申し込みがたくさん寄せられました。ホームページに文章を載せた5日後の
2006年11月20日には「スーパーJチャンネル」で、その翌日の「スーパーモーニング」、
23日の「とくダネ!」といった多くのニュース番組で、銚子電鉄が取り上げられたのです。
私は、2ヵ月ほどの間に、44本もの取材を受けました。
それほど、マスコミの関心は高かったといえるでしょう。
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■「ぬれせんべい」が指し示す可能性
銚子電鉄の「ぬれせんべい騒動」は、社会現象にもなったと言う人もいます。
実際、「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」は、世相を表す言葉として、
新語辞典「現代用語の基礎知識」(自由国民社)にも掲載されることとなりました。
また、検査費用のメドがついたときに、テレビの取材があり、涙を流す私の姿がニュースで
流れてしまい、ネットでは「泣き虫次長」というあだ名がつけられてしまいました。
また、このときの報道で「なぜ鉄道会社がせんべいを売っているんだ?」と思った人も
多いでしょう。実は、銚子電鉄は、収益の3分の2以上を「ぬれせんべい」を始めとする
地元の名産品やグッズの売り上げに頼っています。鉄道事業による収益は1億1000万円ほどですが、
その2倍近い額をぬれせんべい販売などの「副業」で稼いでいるのです。このような地方鉄道の
現状は、マスコミで取り上げられなければ多くの人が知ることにはならなかったでしょう。
この騒動には、同じように赤字経営で苦しんでいるほかの地方鉄道や、商店街がさびれて
シャッター通りになっている地方都市にとって、再活性化のためのヒントになると思います。
また、インターネットを利用したコミュニケーションにおける、
ある可能性も示しているといえます。
JRや大手私鉄をのぞいた、規模の小さい地方鉄道は、全国で100社近くあります。
そのうち7割以上が、赤字経営で苦しんでいるといいます。
なかには、事態を打開できずに廃線になってしまったところもあります。
2007年3月には、銚子からそれほど遠くない茨城県の鹿島鉄道が廃線となりました。
また、同じ日に、宮城県のくりはら田園鉄道も廃線となりました。
最後の日には、どちらも、廃線を惜しむ人たちがたくさん集まったそうです。
残念でなりません。
ただ、銚子電鉄のぬれせんべい騒動があってからというもの、ほかの地方鉄道が
ニュースで取り上げられることが増え、再生への取り組みが紹介されることが
多くなってきた気がするのです。
>>4へ続く
■アクシデントだった「敗北宣言」
世の中の流れが、「廃線はやむをえない」ではなく、
「なんとか残すことができないだろうか」に変わってきたのではないでしょうか。
例えば、2007年11月に茨城県ひたちなか市の茨城交通湊線が、12月に千葉県大多喜町のいすみ鉄道が、
いずれも経営再建のために社長を公募するというニュースが報じられました。
また、青森県の津軽鉄道では、2006年1月に立ち上がったサポーターズクラブが企画する、
地元と鉄道を盛り上げるさまざまなイベントがニュースになっています。
このように、マスコミに露出することで人々の関心が高まれば、多くの人から支援が寄せられ、
事態が好転する可能性が高くなります。それは、銚子電鉄の例で明らかになっています。
銚子電鉄では、多くの方がぬれせんべいを購入してくれただけでなく、銚子まで
電車に乗りに来てくださったり、ボランティアで駅の清掃をしてくださったり、
銚子電鉄を応援する市民団体を結成して安全対策費用を募ってくださった方がたくさんいました。
マスコミでの露出と同様に重要なのは、自分たちが情報を発信することです。
銚子電鉄では、不器用ながらも「声」を上げ、窮状を訴えました。
いまだから言えることではありますが、「ぬれせんべいを買ってください!」
という一文を掲載したのは、社員みんなで決めたことではありませんでした。
実は、ある社員が、ふと思いついてホームページに載せてしまったのです。
その日、私は出張で、帰ってから「え、あの文章、載せちゃったの?」と動揺したことを
覚えています。ただし、その後は、会社として積極的に情報を出すようつとめました。
また、私個人も、「銚子電鉄の日記帳」というブログを始めました。銚子電鉄を
応援してくださる方にお礼を述べ、私たちがどのような状態にあり、
どのように改善しようとしているのか、報告したかったからです。
「銚子電鉄の日記帳」は、多いときで1日に5000人もの訪問者がいました。
激励のコメントや、再生のためのアイディアを寄せてくださる人もたくさんいました。
いま、ビジネスの世界では、企業の情報公開が求められています。私たちが行ったことは、
そのような大げさなものではありませんが、メッセージを発信すれば必ず誰かに届き、
応えてくれるのだということを、身をもって知りました。
インターネットがなければ、銚子電鉄が盛り返すことは不可能だったかもしれません。
>>5へ続く
■10年前もテレビが取り上げてくれたが…
ホームページに掲載した「お願い」を多くの人が知るところになったのは、
インターネットの口コミの力によるものでした。ネットで盛り上がらなければ、
テレビで紹介されることもなかったかもしれません。また、インターネットを利用した
通販がなければ、そもそも遠くにお住まいの人がぬれせんべいを買うことはできません。
インターネットがあったからこそ、ネット上でみなさんが「銚子電鉄の支援活動」に
ついて話し合うことができ、私たちに連絡することができたのです。
2ちゃんねるの掲示板には、銚子電鉄を応援しようという集まりが、すぐできました。
そして、提案をまとめ、銚子電鉄に連絡してきたのです。まず実現したのは、
車内吊り広告でした。「チーム2ちゃんねる」という名義で、車内吊り広告を
3年間ぶん買い取る契約を結ぶことになりました。
これほど迅速に、支援の提案をまとめ、行動に移してくださったことに驚きました。
同時にインターネットの力というものを感じたのです。
実は、銚子電鉄のぬれせんべいは、10年ほど前にもテレビで紹介されていました。
そのときも、ぬれせんべいの販売が地方鉄道の経営を支えているという内容でした。
翌日から問い合わせの電話が殺到し、駅ではぬれせんべいを買う人が増えました。
ところが、このときのブームはまさに一過性で、すぐに収束してしまいました。
数日たつと問い合わせ電話の数も減り。元に戻ってしまったのです。
10年前と2006年とでは、何が違ったのでしょう。それは、インターネットの存在だと思います。
テレビのニュースは大勢の人が目にするものですが、基本的にその日だけのものです。
時間が過ぎれば、すぐに忘れ去られてしまいます。しかし、インターネットでは、
興味を持った人が、さらに情報を調べることができます。ネットで発信した情報は、
基本的に残っていくからです。テレビのニュースを見て、多くの人はすぐに忘れて
しまっても、興味をもった一部の人はインターネットで銚子電鉄について調べてくれるのです。
だからこそ、インターネットを利用して自分たちの手で情報を発信することが重要なのです。
情報の発信は、思うほど難しいことではないと思います。個人でもできるはずです。
私の経験からは、自らメッセージを発信し、コメントをもらうことで直接コミュニケーションを
とるためには、ブログほど向いているものはないと思っています。
>>6へ続く
■クロスメディアを手作りで
私の「銚子電鉄の日記帳」ブログは、役目を終えたと判断し、終了しました。
半年におよぶ銚子電鉄をめぐる騒動を記録したものとして、閲覧できるようにしてあります。
現在、私は「向後功作の銚子散歩」というブログを書いており、銚子電鉄だけでなく、
銚子のさまざまな魅力を紹介しています。
銚子電鉄と同じように赤字に苦しむ地方鉄道や、そんな地方鉄道を抱える町にとって、
インターネットを利用した情報発信はぜひ取り入れるべきでしょう。
ネットによる情報発信と、テレビや新聞などのマスコミによる報道を連携させるには、
「クロスメディア」をどのように行うかという視点も必要になってきます。そうすれば、
多くの人に情報を届けることができるだけでなく、協力してくれそうな企業を動かして
新たな活動を展開することもできるからです。
次回は銚子電鉄をめぐるクロスメディアの例と、存続のために行った
新たな活動についてお話しします。
7 :
なまえないよぉ〜:2008/01/24(木) 22:30:03 ID:M89LvUTQ
8 :
なまえないよぉ〜:2008/01/24(木) 22:30:09 ID:q1QkbRE4
なげーよ
しかも“その1”ってなんだ
9 :
なまえないよぉ〜:2008/01/24(木) 22:46:02 ID:QjIeqIWC
( ;∀;)イイハナシダナー
10 :
なまえないよぉ〜:2008/01/24(木) 22:50:55 ID:92IYcnaD
東名下りの足柄SAでも煎餅を売ってる。
とりあえず6袋買って、田舎で配ったよ。
俺もいい話だと思う。
市井の一個人が、一個人の視点で実在するものを肯定しているトコがイイ
濡れ煎はレンジで温めてから食べると美味しいです
13 :
なまえないよぉ〜:2008/01/24(木) 22:54:29 ID:fYoPjoFR
メイド服の車内販売でも置いときゃ全国からヲタが来るんじゃね?
14 :
なまえないよぉ〜:2008/01/24(木) 22:56:01 ID:xMxcsV4t
ぬれせんの通販再開してよ。
15 :
なまえないよぉ〜:2008/01/24(木) 23:15:17 ID:kxsm+NJl
ぬれ煎食べたくなってきた
17 :
なまえないよぉ〜:2008/01/25(金) 00:13:46 ID:QCRxoxYx
春になったらまた行ってくるかな
>>1 良い話だが、
このスレ立ては糞だ!
枕は2レス内に納めろ!
納めきれないならソースにリンクはって誘導しろ!
しばらく忘れてたのに思い出しちゃったじゃねーか!
ぬれ煎餅食いたい!買ってこい!
>>1!
20 :
なまえないよぉ〜:2008/01/25(金) 02:45:51 ID:QiVoh+iD
ブログは熊本県の公共のパソコンでは閲覧出来なくなってるよ。
子供向けの閲覧規制にも引っかかるかもしれない。
21 :
なまえないよぉ〜:2008/01/25(金) 10:36:35 ID:ux2jy6sp
ぬれソースせんべいも美味いよね
【鉄道】「敗北宣言」が呼び込んだ奇跡の復活 『がんばれ!銚子電鉄』その2
は13:00頃立てます
千葉に住んでる妹が、ここの濡れ煎買ってきてくれたが
想像より美味かった。
24 :
なまえないよぉ〜:2008/01/25(金) 10:53:50 ID:rOP83zu9
>>1 懐かしいなぁ。
濡れせんべい通販祭り、有志による車内吊り広告カンパ。
西日本在住だから、清掃ボランティアオフ会に参加出来なかったのが残念・・・
デキちゃんはトコトコ走るもかわゆかったw
おまいらえらいな
26 :
なまえないよぉ〜:
また無駄なスレを…
いくらでも好き勝手にスレ立て出来るからって、スレ主は調子にのりすぎなんじゃないのか?
一度痛い目を見ないとわからん様だ