ソフトバンクモバイルがアニメのキャラクターなどをモチーフにした“キャラケー”と呼ばれる
携帯電話端末で、ファン取り込み作戦を全面展開している。昨年末までに26種類を発売し、
今月中にも4種類を加える予定だ。携帯電話契約数が1億台を突破し市場の飽和傾向が強まる
なかで、新たな需要を開拓するのが狙い。同社は今後、“趣味の1台”にとどまらない実用性の高い
商品の投入も視野に入れている。
キャラケーに登場するのは「機動戦士ガンダム」、「ベルサイユのばら」、「ゲゲゲの鬼太郎」など
20〜30代を中心に人気の高いキャラクターたち。さらに人気ミュージシャンらをモチーフにした
オリジナルデザインもある。26種類のキャラケー全体を1機種として数えると、今回の冬商戦では
全機種間で新規加入数が最も多く、同社の販売戦略の重要な一角を担いつつある。
≪ガンダムは入手困難≫
仕事で使う端末とは別の「趣味で使う端末として購入するケースが多い」(吉田憲司プロダクト・
マーケティング部課長)といい、「シャアザク」の頭部をかたどった充電器で話題を集めた
ガンダム携帯は、すでに入手が困難になりつつある。
キャラケー登場の背景には、熱心なファンを獲得する狙いだけでなく、端末の開発・製造期間の
短縮という目的もある。
キャラケーには現在、東芝が昨年8月に発売した「815T」を主に利用しており、「新規の端末開発には
通常1年半かかるが、既存端末を使うことで発売までの期間を大幅に短縮することができた」(同)。
また既存端末を利用すれば、通常市場に出回る期間が数カ月という短命の端末の延命効果も図れる。
ただキャラケーならではの難しさもある。例えば巨大なシャアザクの頭を梱包したガンダム携帯の
箱の大きさは、通常の携帯電話端末の箱の9倍。他のキャラケーでも付録が付いているため、
数倍大きい。「キャラケー発売に伴った倉庫の新設などは行っておらず、発注処理システムも
十分対応していない」(マーケティング本部の吉田真佑氏)のが実情で、流通部門には大きな
負担となっている。ちょっとした箱の傷もクレームの要因になるため、運搬や保管をさらに難しく
させているという。
≪狙うは1台目≫
ソフトバンクモバイルでは、今後も継続してキャラケーを発売していく計画。ただ「キャラクターを
変えるだけの変更は行いたくない」(吉田憲司氏)考えで、今後は趣味のための購入でなく
「普段使う携帯として選んでもらう」(同)ことを目指すという。ファンにアピールできるキャラケーだが、
機能性が低ければファン以外の購入は見込めない。単なる“既存端末の再利用”といわれない
付加価値を出せるかが問われている。
FujiSankei Business i.
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