【コラム】ヒーローの変遷に見る日本の生き方――歴代SFアニメのロボたちが将来を予見する
1 :
あやめφ ★:
新年明けましておめでとうございます。昨春より書き始めたこのコラムも、おかげさまで
1年が経ちました。毎回、読者の皆様には多数のコメントを頂戴し、ありがとうございました。
とても参考になります。
私たちの生み出した商品やサービスをひもとき、裏に隠れていて見過ごされがちな日本人特有の
気質とかコミュニケーションスタイルとの関係性を分析してまいりました。時には多少強引な
こじつけ風に感じられる場合もあったかもしれませんが、本コラムは、日本のエンジニアリングの
将来を前向きに考えることを念頭に、今年も3つのモットーを掲げて考えていきたいと思っています。
1. 日本人の作るものには、きっと素晴らしい文化的背景が潜んでいる……に違いない!
2. 弱みに思える特徴でも、逆に強みとしてとらえて戦略を考えられる……はずである!
3. 一見嘆かわしいくらいのものほど次世代を牽引するチャンスが潜んでいる……と信じよう!
さて、本日はまだ松の内でもありますし、お正月特別編、やわらかい話をしたいと思います。
特に製品を取り上げて分析という話ではなく、全体的な技術潮流のお話です。
このコラムでは折に触れて、製品の設計思想の裏に透けて見える「日本のマンガやアニメから
得られる示唆」のお話をしてきました。今回はSFアニメのロボットたちの変遷を考えてみたいと
思います。
■ アニメロボットには各時代の世の社会観や技術観が反映されている
ホンダの「アシモ」が登場したのは1996年。当時、学会ですら疑問視されていた二足歩行機。
いきなり一民間企業が実用化したニュースは関係者に大きな衝撃を与えたものでした。今や
技術は急速に普及し、家電量販店に行くとロボットのコーナーがあり、10万円前後で手に入る
時代となりました。テレビ番組でも、そのような市販品をチューンアップした試作ロボ同士を
対戦格闘させるゲームが見られるようになっています。
技術系と思われる40代のお父さんたちが自宅でこしらえたロボを持ち込み、中学生くらいの
娘さんがパイロットとして手元コントローラーを握りしめ、巧みに操り格闘しているシーンを
見ていると、往年のアニメシーンがダブって見えます。
鉄人28号やマジンガーZ、ガンダム、エヴァンゲリオンも、みんな父親の博士たちが作った
巨大ロボに息子たちが搭乗して戦場に出向いていったのです。当時、手に汗を握ってテレビの前で
ロボの活躍を見つめていた良い子たちは、40年の時を経た今、TVスタジオで博士の方の立場に
なっています。全く隔世の感があり、この科学の進歩には感慨深い限りです。
NBonline
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20071214/143146/ 続き
>>2-4
2 :
あやめφ ★:2008/01/07(月) 13:04:24 ID:???
スーパーロボたちは、戦後高度成長期に入って以降、約半世紀にわたって、日本列島や地球を
守り続けてきました。この数十年間、この島に平和が訪れたことはなく、常に国難の連続でした。
やってくる理不尽な敵とは、ある時は異星人、ある時は悪の地下組織でした。自衛隊などの
通常戦力は歯が立たず、もはやこの国も根絶やしか……という局面でスーパーロボが立ち上がり、
危機から救ってくれました。
それぞれのロボが活躍した時代に応じて、世の社会観や技術観がアニメロボには反映されています。
ある時は世相の反映であり、時には世相の先を行くコンセプト提示の役割も果たしていると思います。
そこに登場する人物や、ロボットに使われているメカニズムの分析をするのもまんざら酔狂でも
ないでしょう。
我々は科学をどのようにとらえ、今後どのように道具とつき合おうとしているのか、を考える時、
ロボットは最もパワフルな分析対象物です。なぜならば、それは人間と同じような顔かたちを
していて、同じような機能を持っているものだからです。およそヒトが考えつくあらゆる機能を
盛り込む冗長性を持ったもの、それがSFロボットです。
いろいろな切り口がありますが、今回は登場人物の視点で見てみます。ロボット自身とパイロット、
そしてロボット製作者の3人について時代の変遷を追ってみましょう。題材としては日本のマンガに
登場したアニメロボットの歴史を語るうえで、エポックメーキングだった傑作品5体を取り上げます。
鉄人28号(1956年)、マジンガーZ(1972年)、機動戦士ガンダム(1979年)、新世紀エヴァンゲリオン
(1995年)、ぼくらの(2004年)です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20071214/143146/pop.html 話がややこしくなるので、あえてアトムのような人工知能で自立的に動くものは除外し、操縦型に
絞ります。最後の1体「ぼくらの」に登場する「Zearth」については、異論反論あると思いますが、
ポストエヴァンゲリオンの候補作の1つとしてマニアの間では評価の高い作品ですので取り上げました。
この表には年代順にロボ自身と、パイロット、開発者の属性情報をまとめて記載してあります。
パイロットの年齢には一部推定が入っています。この半世紀の3者の変化の具合を順に
まとめてみましょう。
ロボット自身の変遷
◆ 搭乗形態:遠隔リモコンから搭乗型になり、エヴァでは胎児のように液中に浸かる方式になった
◆ 操作方法:手足の操縦だけではなく超能力的な精神の作用での操縦が重要になりつつある
◆ ロボの自立性:完全な操縦型から時には自らの意思でも動くものへ進化しつつある
◆ ロボとパイロットの関係性:徐々にマシンとパイロットは一心同体の共生体になりつつある
鉄人の時代にはリモコン操作による手だけの操縦だったものが、マジンガー以降は自動車のように
乗り込んで手足で運転する方式になりました。以後その搭乗形態は定着しエヴァに至っては、
子宮内の胎児のように液中に身を沈める方式にまで進化します。この頃には手足の操作も
さることながら、ニュータイプとかチルドレンと呼ばれる選ばれた者にしか動かせないようになって
きます。レバー操作以外にテレパシーのような特殊な神通力で動かすタイプに移行しているのです。
2004年の「ぼくらの」に出てくる超大型ロボ「Zearth」では、操作パネルすらなく、念じるだけで
動く究極のインターフェースになっています。そのロボの内部の駆動原理は徐々に「生もの化」
している様子です。最近のロボは表層は鎧で覆われていますが、中身は動物のような細胞組織が
入っている雰囲気です。これに伴って、操縦者との関係性は親子のような一体感〜共生感が
生まれ始めており、心身ともに一心同体になっています。
この50年間で現実の科学技術の進歩が著しかったのがバイオ領域です。ゲノムやたんぱく工学の
進歩はもちろん、マン・マシンのインターフェース技術も、脳直結と呼ばれるテレパシーのように
頭に思い浮かべただけで機器を操作できる身障者用の技術が現実化しています。むしろ現実を
追いかける形でSFロボの方もおっかけ進化しているような様相です。
3 :
あやめφ ★:2008/01/07(月) 13:04:35 ID:???
パイロットの変遷
◆ 年齢:幼年化している。実年齢はもとよりキャラクターの未成熟化・幼児化が進んでいる
◆ 性格:軟弱になりつつある。体育会系スポ根少年から、臆病な引きこもり系に
◆ 性別:女性化している
◆ 特異性
* 念力を生まれながらに持っている「選ばれたヒト」でないと動かせないタイプが増えている
* 当人はその選ばれたことが誇りではなく迷惑と受け止めるようになっている
実年齢もそうですが、パイロットの精神年齢が幼児化しつつあります。昔は元気はつらつで
運動神経抜群な明るい少年が多かったのですが、年を追って軟弱なキャラに移行しています。
操縦法がサイコ念力型に変化し、運動神経が直接的に必要なくなったことと関係しているようです。
パイロットに選ばれて人類を救う役目を担うことが、ノブレスオブリージュ(選民の責任)だった
時代から、迷惑と受け取るようになってきました。操縦者指定型のロボになってきているので、
ご指名でしかたなく乗せられるストーリーです。選ばれて当然の文武両道なエリート宇宙飛行士の
ようなキャラから、何で普通のヒトなオレなの? という構図になっているのです。
このように性格がヘタレ系になるのと呼応するように、搭乗者の女性化が着実に進行しつつ
あります。今や戦場に駆り出されるのは青年ではなく少女の時代というのは、ある意味、かなり
ショッキングな状況に思えます。
ロボット製作者の変遷
◆ パイロットとの関係性:半世紀間ずっと変わらず血縁者で、父親や祖父
◆ 性格:昔風にはマッドサイエンティスト、今風の表現にすると「オタク」で半世紀間変わらない
◆ 行動パターン:超科学のロボを作りっぱなしで無責任、後の運用などは他人任せ
スーパーロボを製作したエンジニアたちの人物像はこの50年間ほとんど変わっていません。
鉄人の金田博士、マジンガーの兜十蔵博士、ガンダムのテム・レイ、エヴァの碇ゲンドウと続く
エンジニアの系譜は、昔風な表現で言えばマッドサイエンティスト、今風に翻訳すればオタク
そのものの人たちです。
人づき合いが下手で、自室にこもって超革新的なロボを生み出します。父親として自ら操縦し、
悪と戦うつもりは毛頭なく、息子に世界の運命を託してしまいます。往々にして作りっぱなしで、
その後のメンテナンスやパイロットである息子のケアは他人任せ。ここからはそんな科学者とか
エンジニアの無責任さに対する皮肉の視線が感じられます。「理系の奴って、原爆とか細菌兵器とか
思いつきで作って、あとはほったらかしだもんねえ、困った連中だ」みたいな空気が何となく
伝わってきます。
まとめてみると……オタクで無責任な父親が天才性に任せて生み出した凄い兵器。作りっぱなしで
運用は人任せ、世界を救う戦いを息子に丸投げしてしまいます。パイロットに指名された息子の方は、
昔のようなスポ根的に正義感に燃えた好青年ではなく、できればそんな大それた仕事など
引き受けたくない軟弱少年です。いや、時代はもはや男児ですらなく、主役は少女の時代。
今や男の子には日本を救う役割は期待されていないようです。父から無理やり押しつけられた
重責ですが、友達にその大役を代わってもらうという選択肢は許されていません。なぜならば、
彼のお父さんの設計では、神秘的な超能力を持った我が息子にしか運転できないような、
人を選ぶ操縦メカニズムになっているからです。そのバイオロボは魂のようなものも持っていて、
パイロットと共生することを望んでいるようです。
わが国の家庭や学校における父親不在の構造が、ロボット科学者の名を借りて描かれているようです。
ここで少し海外の様子を見てみましょう。同じような地球の存亡の危機というシチュエーションでも、
ハリウッドでは「アルマゲドン」に描かれたように、迫り来る隕石衝突の危機に際して、
出動したのは普段冴えない中年オヤジのブルース・ウィルスでした。
4 :
あやめφ ★:2008/01/07(月) 13:04:46 ID:???
彼が守ろうとしたものは家族。愛する妻と娘を守るために、あるいはその後ろに居る世界中の
女子供を守るために、自らを犠牲にして特攻したのです。いざとなったら槍刀を手に取って
出陣する気構えが求められるのは一家の長というのが定番。それに対して、わが国を守るのは
もはや少女という体たらくです。
それを最も尖った形で表現形にしたフィギュアが昨年、2007年の萌え界で大ブレークしました。
「戦闘美少女」と言われる流れを汲むもので「機械化航空歩兵シリーズ」がその典型です。
萌え界では、主役は美少女です。彼女たちは自らの身体を改造したサイボーグ。半分は機械化して
兵器になっています。オタク系の男子にとっては、そのけなげさ、哀れ感が保護本能をくすぐられる
のでしょうか。ピンチの時に出撃するのは屈強な青年ではなく、自らを武器に改造した、いたいけな
少女たちなのです。
2002年にこれもポストエヴァンゲリオンの1つとして位置づけられるアニメが話題を呼びました。
「最終兵器彼女」です。主人公のチセという名の女子高生は、当局に選ばれた特殊なヒト。
題名どおり最強の兵器に人体改造され、押し寄せる敵を片っ端から撃ち滅ぼします。本人は
普通の女の子として学園生活を送りたいのですが、理不尽にも敵が来るたびに出動要請が
発令され駆り出されます。彼女無しでは日本は滅亡するという設定なのです。普通でいたい少女が、
最強の戦闘力を与えられ、我々の未来はすべて彼女の活躍に委ねられているのです。
ここに至って、被虐の構造は究極にまで達した感があります。
■ ロボ博士と娘パイロットという屈折した関係が物語ること
現実の日本の若者像を考えてみましょう。2種類の特徴的に尖った集団がよく話題に上がります。
男子はアキバ系とかオタクと呼ばれる人で、女子は渋谷系とかギャルと呼ばれる人たちです。
男の子が徐々に弱くなり中性化しつつあり、女の子は元気ハツラツなのが対照的ですね。
平和な時間が長く続くと退廃的な都市文化が爛熟し男子が中性化する現象をメトロセクシャルと
呼びます。元禄泰平期に江戸の男衆はモテるために髭や陰毛を毛抜きで丁寧に抜いたと言います。
平成期のイケメンもレーザー脱毛したりしていますね。
古来、男の出番のシーンとは、祭りに災害、戦の時と言います。いずれも非日常のハレの
シーンです。日常生活は女性が支え、いざという時には男が出張るというのがオーソドックス
スタイルのようです。
世界の平和な農村では、男性たちは道端に縁台を持ち出してたむろっています。多くの村落では、
農作業から家事一切を女性が担っている傍らで、男どもは水煙草をふかしたり、将棋をしたり
ダラダラと雄ライオンのような暮らしぶりです。もちろん土地によってレベル感は異なりますが、
基本的に雄という性は単調な繰り返し作業に弱い、というのは生産現場などでもよく言われる話です。
ところが昨今は経済戦争という名目で戦時が常態化しています。資本主義社会が極端に先鋭化し、
強いものが弱いものを呑み込んではさらに強くなり、世界の覇権を狙うというような構造が
あちこちで起きています。工業や商業行為という名の下の戦争状態かもしれません。男どもが
オフィスや研究室で深夜まで残業し、競合を打ち負かすための企画を練り込んでいるという状況。
もしかしたらこれは健全ではないのかもしれません。男があまり前に出張ってくると、競争色が
強くなります。経済規模が大きくなり、その上IT化によって情報伝達の技術が発達してくることで、
今や秒単位の間断の無い競争環境が生み出されてしまっているのです。
こういうふうに考えると、ロボ博士と娘パイロットという屈折した関係も、これでいいのかも
しれないとも思えてきませんか? むしろ健康的なのかもしれません。
冒頭で述べたように、「一見嘆かわしいくらいのものほど次世代を牽引するチャンスが潜んでいる
……と信じよう!」で考えてみると、この構図にもわが国が世界に提示しようとしている
エッセンスが含まれているのかもしれません。
世界平和を国是として訴え続ける日本という国から発信する生き方とは……一見控えめなのに
存在感のある男の子。ボスキャラのジャイアンや優等生の静香ちゃんなどの中で、ヘタレキャラ
ながらも決める時は決める、ドラえもんの「のび太君」のような男性像。もしかしたら、
のび太君視線でのモノづくりこそが、日本の提案する次世代コンセプトなのかもしれません。
5 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 13:09:44 ID:2vC7+OV3
シラネエナ
6 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 13:10:27 ID:M7IJnLhg
なんか前に見たような記事だな
7 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 13:13:39 ID:WFYjkwix
鉄人28号は搭乗しません、念のため。
8 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 13:14:42 ID:Jt/10tZW
ぼくらのはアニメは07年でしょ
9 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 13:51:50 ID:BynUEMeB
なんかウヨっぽいな
何かいろいろと間違ってるな・・・
12 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 15:05:14 ID:eUMIzJSR
新年早々、とても馬鹿々々しい記事ですね。
具体例を出せて無いのがなんともな。
マジンガーもジーグも嫌々だったじゃねーか
昔の主人公は無駄に万能すぎただけだろう
エヴァまではまあ社会観の反映とかを語るのはわかるが、その次の「ぼくらの」はねーよw
どんだけニッチな社会観なんだよ
15 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 15:12:28 ID:nTbJKzbA
リヴァイアスの主人公かダイガードの機関士くらいしか好感持てるやつがいない
同じ酷い目にあって悩んでも女キャラは可哀想で男キャラはヘタレになるのかよ
エルドランはパイロット全員小学生だったな
小学生がロボを操縦するアニメなんてもう出てこないだろう
>>17 今はどういうアニメを作れば売れるか大体分かっちゃってるから
面白そうでも売れるか売れないかはやってみないと分からんような作品は
難しいだろうね。
主人公の未成熟化はストーリーテリングの問題だろ。
主人公の内面的成長がメインになった結果。
もはやロボはガジェットに過ぎない。
ヒーローとは思えない悪人達が主役のゲッターはどんな位置になるんだ?
◆ 行動パターン:超科学のロボを作りっぱなしで無責任、後の運用などは他人任せ
昔っから博士やドクターや班長やおやっさんらはロボを作りっぱなしなんてしないで
最後までメンテと魔改造にいそしんでて決して無責任でないぞ
メガラフ…
アニメじゃないか。
最強でも何でもいいから正義に燃える主人公がいいなあ
24 :
なまえないよぉ〜:2008/01/07(月) 23:40:03 ID:T5GoPlyG
宇宙の終わりはイデの発動と決まってるし、ソレまでの間楽しめばいいと
25 :
なまえないよぉ〜:2008/01/08(火) 00:31:12 ID:Uk3PatfN
そろそろダイガードの続編を
田丸のパロを
26 :
なまえないよぉ〜:2008/01/08(火) 00:31:28 ID:U8abtHk/
?
>>21 「これを組み込めばガンダムの反応速度はry」
こ、こんな古い物を…
遠隔操作→乗り込む→特定の人間しか操縦できない、と、だんだんパイロットとロボットが
一体になっていってるのが面白いな。
最近の「グレンラガン」というアニメで、パイロットが喋ると、ロボットも一緒に口パクするのがよかった。
ネオゲの隼人がマシに思えるほどだもんな
32 :
なまえないよぉ〜: