【アニメ】山本正之が語る、新作「ヤッターマン」

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2あやめφ ★
最初の会議。読売テレビから劇伴音楽の制作と主題歌の使用を依頼される。ただし、劇伴音楽は
私と神保正明先生の他に、新しい若い音楽家の導入を発案される。これについては私もある程度の
同感を持っていたので、了承する。細かい振り分けについては後日。主題歌は、「使用」である。
つまり、あのオリジナルの「ヤッターマンの歌」を、歌手を変えて、新たに録音したいとのこと。
これについても、私はある程度の同感を持っていたし、読売テレビ側の「歌手も、新しい、若い人、
たとえばアイドルなどを起用して、ヤッターマンをまだ知らない、現役の高校生や、いやもっと、
小学生、こどもたち、を虜にしたい」という熱意も伝わり、私は、私の、命の次の次、くらいに大切な、
この「ヤッターマンの歌」を、他者に委ねることを、快諾した。

しかしこの時、もうひとつの別の提案も発表される。「ヤッターマンの歌」は第一期、9話まで。
その後は、誰の作品によるものかは未定という。私、確認、「では10話から後は山本正之以外の
作家が作った主題歌が流れるのですか?」、読売テレビ「そうです。」。私ひとこと、「このお話し、
成立しません。」、しばらく、意見の交換があったあと、テレビ側「わかりました、最後まで山本正之の
作品でいきましょう、新曲を作っていただくか、もしくは、ヤッターマンの歌、をクールごとに歌手を変えて。」、
そして私は了承。

尚、EDについては、極初の段階から、山本正之は無関係、ということ。しかし納得。みなさまもご存知の
ように、近今のテレビアニメ、主題歌は切り売りである。入札に近いセールで、制作費の一端を賄うのは、
しかたがないし理解する。誰かステキな歌手が、笑い夢見たアニメのあと心地を、すっと普段に戻して
くれたら、それでいい。と、想気を放した。、ここで会議終了。そして知らされたこと、実は、すわくんは
チーフプロデューサーであって、実務は若い社員が担当し、すわくんはそれを監修しつつ、私との連絡に
奮働すると。

二度目の総合音楽会議。この日の前日、インターネットに「ヤッターマン主題歌を歌いたい有名人募集!」
の記事が載る。もちろん私は全く関与したらず。このデリカシーの無さに憤り、会議の席上で抗議。
しかし記事は掲載されてしまったもの、戻しようが無い。つまり、単なる抗議。そして、その歌手の、
いつのまにか作られていたデモCDを聞く。「えええええ、え?」が、その時の感想。アコースティック
ギターの演奏に乗って、「ワンとほえりゃー」が流れる。歌声は力強くて可愛くもある、が、ところどころ
メロディーが間違っている。「メロ、まちがってますね」と私、「ええ、なおします」と、現場プロデューサー。
このデモテープの歌手、ロックバンドとしてデビューし、大ヒットしてスターになった年が丁度1977年の
ヤッターマンの年であり、「ヤッターマン」には特に強い思い入れがあるとのこと。

「この歌手でいこうと思います。」と、現場プロデューサー。、あれ?、若い世代を虜にするんじゃ
なかったの?77年デビューだったら私とほとんど同じくらいですよね。、現場プロデューサー
「かねてから山本さんがおっしゃっているように、オールドなファンにも注目していただきたいので」。
、あれあれ?んんんんんーーー、まあ、いろいろ事情があるのでしょう。また、当社ベラ・ボー
エンタテインメントに、入札に参加する予算があるはずもないし、始めから入札のお誘いも無かったし、ね。

さて、この日聴いたこのデモテープを、私は、本当に、デモテープ、だと、思い込んでいたのでした。

続いて、BGMを手伝っていただく「若い音楽家」のデモを渡される。私としては、是非弟子藤原に、
と考えていたが、これも、もう決定されていた。万事がこういうやり方なのだな、と、この時初めて気づく。
が、しかし、このデモ、自宅仕事場に帰り、聞いてみると、結構良い。特にブラスの音と、リズム体の
動かし方、きれいなやさしい音色の選び方、藤原に並ぶくらいに、なかなか良い。即、すわくんに
電話する。「もう決まってることだろうけども、この人でOK、だでね。」、この劇伴音楽の割り振りは、
神保正明先生と会議を持ち、最終的に、次のように決める。