世界のゲーム開発者・関係者を対象にした「モントリオール国際ゲームサミット07」が
開催されたカナダ・モントリオールは、世界で有数のデジタルメディア産業が盛んな土地だ。
「ゲーム業界のハリウッド」を目指すモントリオールの現状を探った。
モントリオールには、ゲーム開発会社や支援サービスなど70社以上の企業、5300人を超す
スタッフを抱えるゲーム産業の町だ。世界的ゲーム会社エレクトロニック・アーツなどの
大規模開発スタジオを筆頭に、アクティビジョン、アイドス、3Dグラフィックソフトで有名な
ソフトイマージュなどの開発拠点もある。仏ユービーアイ・ソフトのスタジオでは、欧米で人気の
戦争ゲーム「トム・クランシー」シリーズ、人気アニメ「ナルト」のゲームが制作され、同社の
半数のタイトルを送り出している。
モントリオールがゲーム開発拠点として注目される理由は4つある。
第一にケベック州の支援だ。ケベック州は、ゲームおよびITセクター企業向けの税制優遇措置や
助成制度がある。
第二に、コンピューターサイエンスやマルチメディア関連分野を専攻した大学生が毎年4000人以上
卒業するなど、人材が豊富なことだ。さらに教育では、ITに不可欠な数学に力を入れるなどの
課程も有利に働いている。
第三に、企業や教育機関の密集が生み出すシナジー効果がある。例えば、ゲーム制作者から
3Dグラフィックツールの改良の要望があっても、すぐに反映しやすい。さらに大学教育にも最新の
ゲーム制作ツールを企業が提供、授業に反映させるため、新卒者が即戦力となるのも利点だ。
最後は、フランス語圏というモントリオールならではの文化的理由だ。ケベック州政府経済
通商産業省のレイモン・マークさんは「ケベックは、英語とフランス語圏の文化を併せ持つ土地で、
二つの異なるロジック(論理)がクロスオーバーし、革新的な考え方やアイデアが生まれやすい」
と説明する。
ゲーム産業スタジオの誘致合戦は、人件費の安さを武器にしている中国やインドなどもあるが、
それらと一線を画したカナダの戦略は注目されそうだ。
毎日jp
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20071217mog00m200011000c.html