2007年1月、韓国に本格進出を果たした韓国任天堂。この時に販売開始した「Nintendo DS Lite」は、
9月末時点で販売台数が58万台を突破するなど好調だ。日本でも人気の高い、「脳トレ」や
「New スーパーマリオブラザーズ」は韓国でも不動の人気で、同時期までにそれぞれ
約20万個ずつを売り上げている。
以前は電車やバスの中で、SCE Koreaの「PlayStation Portable(PSP)」を手にゲームを楽しむ人が
圧倒的に多かったが、最近はPSP派とDS Lite派に人気が二分されているようだ。
しかし、こうした快進撃の裏で、韓国任天堂は大きな問題を抱えている。不法な複製ゲームだ。
不法な複製ゲームは、韓国任天堂が同国に進出する前から多く出回っている。正規ルートを
通さずに韓国市場に入ってくるハードと、違法な複製ゲームは、
一部のゲーム専門販売店やインターネット上で大変簡単に入手できる。
ちなみに韓国のデジタル機器の販売方式には、正規ルートを通さずに入ってきたものというカテゴリが
確立されている。メニューが韓国語化されていなかったり、電源の形が輸入してきた国のままであるなど
不便な点はあるものの、正規品よりも安い。メーカー公認の店舗で修理してもらえないが、購入した店舗や
そこと契約した修理屋などが請け負ってくれる。一方のソフトは複製されたものが安く販売され、
それがウェブストレージやP2Pなどを通して、より多くの人同士で共有されている。
違法な複製ゲームをDS Liteで駆動させるためのアイテムの1つとして、韓国では「R4」という拡張カード
が広く出回っている。DS Liteのゲームカードと同様の大きさで、ここにゲームなどが入ったmicroSDカード
を指し込んで利用する。こちらも既にオンライン、オフラインで広く販売されている。価格は、
とある大型ショッピングモールでは約3〜4万ウォン台となっていた。複雑な設定なしにDS Liteに
差し込むだけで手軽に利用でき、マニアだけでなく一般の人たちにも利用が広がっている。
http://japan.cnet.com/story_media/20362295/r4.jpg こうした事実は、韓国任天堂にとって歓迎すべき事態ではない。2007年9月中旬、同社では
不法複製ゲームを提供する業者を相手取り、刑事処罰を要請する告訴状を、ソウル中央地方検察庁へ
提出している。「これまで不法物の削除や取引行為中断を強く要請してきたものの、
適切な措置がとられず、不利益をこうむった」というのが韓国任天堂の言い分だ。
不法複製ゲームも利用できることから、R4も問題視されている。これは最近、韓国メディアに
時折取り上げられるようになっているが、ZDNet Koreaの記事では、任天堂がR4の販売者に対し、
自社ゲームやゲーム機器を販売しない方針をとっているとされている。
同記事によると、あるゲーム販売者は「韓国任天堂に、R4を販売しないという署名文を提出した。
これを守らなければ機器の供給が止まるので、販売者はR4の販売を自制している」とのこと。
こうした取締りの動きは、同業者のSKC Koreaにも見られる。同社ではPSPのシステムソフトウェアを
改造した利用者に対しては、アフターサービスを行わない方針を明らかにしている。こ
れまでにも使用説明書に同様の旨を明記してきたものの、これが厳格に守られてはいなかった。
方針決定に伴い11月からは、この方針を明言するステッカーをPSPのパッケージに貼り付けている。
http://japan.cnet.com/story_media/20362295/psp.jpg 11月後半、社団法人韓国ゲーム産業協会などが、各種文化団体、政治家、芸能人、文化人などを
集めて「文化産業強国作り決議のための集まり」なるものを開いた。ここで映画人会の
イ・チュンヨン理事は「韓国はロシアや中国とともに不法複製の多い国であり、
大変恥ずかしい思いをしている」と述べていた。
同じ席で歌手イ・ムンセ氏は「ウェブストレージやP2Pにも実名制
(本人確認ができて初めて書き込みやダウンロードなどができる制度)適用を」と、
政治家や文化機関に要請した。
http://japan.cnet.com/story_media/20362295/mct.jpg とはいえこうした集まりで意見を交わしても、すぐに現状は変わるものではない。
複製ゲームは相変わらず、流通し続けている。いたちごっことも思える現状だが、
韓国任天堂やSKE Koreaは対応を続けるのみの現状だ。
CNET Japan
http://japan.cnet.com/column/korea/story/0,2000067066,20362295,00.htm