【対談】KEI氏と熊谷氏(クリプトン)が語る、電子の歌姫『初音ミク』― キャラクターと歌声が出会った日

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1 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★
DTM(Desk Top Music)。それは、一台のコンピューターがあればバンドやフルオーケストラに匹敵する
音楽を奏でることができる、電子の楽器。作曲を支援するDTMソフトが唯一、創り出すことができなかっ
たのが“歌声”でした。しかし近年、「DTMで自在に歌うボーカル」という多くのDTMファンにとっての“夢”
が、技術の向上により現実的なものとなりつつあります。

その進化の過程で生まれた一人の“歌姫”――その名は『初音ミク』。高性能なボーカルエンジンに、
キュートなキャラクターイラストをまとわせたそのソフトウェアは、DTMの革命であると同時に、キャラク
ター表現の世界にも新しい展開をもたらす可能性に満ちています。その奇跡の歌姫の誕生秘話を、
キャラクターデザイナー/イラストレーターのKEIさんと、開発・発売元であるクリプトン・フューチャー・
メディアCPS推進室の熊谷友介さんに語っていただきました。ぷらちなも“みっくみく”にされています!?
http://www.p-tina.net/interview/18/img/title.gif

■ハジメテノコト
――DTMソフトとしての『初音ミク』の機能については他のメディアで沢山語られていますので、ここでは
キャラクター『初音ミク』を含むプロダクトデザインのコンセプトと可能性に注目したいと思います。まずは、
『初音ミク』の話に入る前に、キャラクターデザイナーであるKEIさんのお話から伺わせてください。2005年
にエンターブレイン「えんため大賞」で佳作に入選されていますがイラストレーターとしてのプロデビューは?

KEI その前に電撃文庫さんから声をかけてもらったのがデビューになりますね。

――電撃文庫から声がかかったのは、Webサイト経由ですか?

KEI コミックマーケットです。2004年夏に初めてサークル参加したんですが、その時たまたま同人誌を
買ってくれた電撃の編集さんから、後日メールをいただいたという経緯です。

――イラストそのものは、コミケに参加する以前から描かれていたんですよね?

KEI そうです、今やってるホームページ『KEI画廊』が、明日(2007年11月10日)でちょうど10年目になるん
ですよ。

――それはすばらしいタイミングですね(笑)。お仕事ではライトノベルの挿絵を描かれたり、「マジキュー」
や「E☆2」といった雑誌にイラストを掲載されていますけれど、今回の『VOCALOID』のキャラクターデザイ
ンはずいぶん特殊なお仕事のケースだと思うんですが、最初に依頼されたときはどのように思われましたか?

KEI 最初は、頂いたメールの内容を読んでも何を言っているのかわからなかったです(笑)。

熊谷 そうですよね(苦笑)。

KEI 『VOCALID』といわれても何のことか全然わかんなくて、とりあえずパソコンのソフトのパッケージの
イラストを描くんだなぁくらいの気持ちでしたね。

――クリプトンさんから、KEIさんに依頼されたのはいつごろですか?

熊谷 今年の3月か4月くらいですね。

――その時点で、クリプトンさんの中では『初音ミク』のコンセプトはばっちり決まっていたのでしょうか?

熊谷 いえ、そんなことはなかったですね。

KEI まだ名前も決まってない状態から絵を描いてましたからね。

>>2-3へ続く

ぷらちな
http://www.p-tina.net/interview/18/01.html
2 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★:2007/11/28(水) 18:22:43 ID:???
――では、キャラクターの外見の漠然としたイメージもなかった?

熊谷 わりと早い段階からシンセサイザーのデザインを意識したキャラクターだというイメージはありましたが、
それ以外は特にはなかったですね。VOCALOIDシリーズのサウンドエンジンを開発されたのはYAMAHAさん
ですし、初音ミクの開発コンセプトの一つとして上がっていた、近未来的なエッセンスの一つとして、名機として
知られるYAMAHAのシンセサイザー「DX7」のイメージを盛り込んでみようと考えてみました。(中略)

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
|YAMAHA DX7
|1983年に発売されたデジタルシンセサイザー。当時は珍しいものだったFM音源を搭載し、その未来的な
|サウンドが多くのプロミュージシャンやアマチュアに指示され、現在においても名機として称えられている。
|DX7のデザインについてのページは↓
http://www.yamaha.co.jp/design/products/1980/dx7/
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

KEI シンセサイザーとか、全然わからなかったですからね(笑)。クリプトンさんからいただいた資料から色の
イメージをつかむぐらいしかできませんでした。

――とはいえ、色やパーツのデザインなど、実際の『初音ミク』デザインからは、YAMAHAのシンセサイザー
をリスペクトしている気持ちが強く感じられるものになっています。

熊谷 かなり細部にこだわってデザインの注文をお願いしまいたからね。そのぶん直しも多くて、かなりKEIさん
にはご迷惑をおかけしたと思います。

――デザインを詰めていくにあたって、北海道と東京という離れた場所での作業で細かい調整をしていくことは
大変ではありませんでしたか?。

熊谷 そうですね、実際にデザインをお願いしてから、直接お会いするまで一ヶ月くらいありましたから(笑)。
コンセプトを伝えつつ、資料を差し入れたりと、メールで色々細かいやり取りはしていたのですが、やはり
「VOCALOID」というソフトが特殊なものなので、それを説明することが難しくて苦労したというのが正直なところ
です。実際、いきなり「PCが歌うんです」って言われても、ピンとこないですよね。

KEI 「歌う」と言われても、こんなに自然に歌うと思ってなかったんですよ。
いわゆる合成音のイメージで、機械っぽい声が細切れになるのかと思ってて。

■初音ミクが未来から来ない?来た?
――そうしたご苦労の甲斐もあって、『初音ミク』は幅広い層のユーザーから支持されていますが、キャラクター
のパッケージングを施すことで、DTMソフトとしての優れた機能や先進性が、ユーザーにまっすぐ伝わらなくなる
という心配もあったのではないかと思います。あえて『初音ミク』であることを決断された理由は?

熊谷 「VOCALOID」のエンジンが「VOCALOID2」に進歩したことで、より自然に人間に近い声を作り出すことが
できるようになりました。『初音ミク』の前作に当たる『VOCALOID MEIKO』では、実際に歌手として活躍されている
拝郷メイコさんの音声データをモデルにしていましたが、VOCALOIDエンジンの進歩により、より自然に歌わせる
ことが可能となりました。

そこで、500人以上の声優ボイスを色々聞いた中で、初音ミクの開発コンセプトと、藤田咲さんの透明感のある
声の質が見事にマッチングし、お願いをする運びとなったのですが、「VOCALOID」というツールの近未来的な
イメージを表現するために、「フューチャー」や「バーチャル」というコンセプトを膨らませて、「未来からやってきた
歌うアンドロイド」というようなイメージを与えてみてはどうかと考えてみました。

せっかくなので、パッケージも無機質なものではなく、かわいらしいキャラクターを載せて、キャラが実際に歌って
いるというような演出をすることで、ユーザーのみなさんが『初音ミク』というソフトに思い入れをもっていただける
んじゃないかと、最終的には判断しました。

>>3へ続く

3 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★:2007/11/28(水) 18:22:52 ID:???
――声の収録もアニメのキャラクターにアフレコするようなイメージで行われたのですか?

じつは、収録に当たって、まだデザインが完全に出来上がっておらず、藤田咲さんには、ある程度キャラを想定
して声を出していただくという非常に難しいお仕事をお願いすることになってしまいました(苦笑)。

――『初音ミク』は年齢や得意な音楽ジャンルなどの簡単な設定が公開されていますが、キャラクターの背景など、
ストーリー的なものは存在していません。これはCGMの世界で人気がでるキャラクターの傾向でもあると思うの
ですが、意識的に設定は少なくされたのでしょうか。

熊谷 初期の段階ではかなり細かいところまで色付けがありました。「歌」が失われた近未来の世界で、歌う技術
を持ったアンドロイド「初音ミク」が発見され、人々が歌うことの素晴らしさを知っていく……というストーリー的な
ものも作ったりしていました。でも色々考えていったときに、もっとニュートラルでもいいんじゃないかと思ったん
ですね。Youtubeやニコニコ動画などに色々な動画が投稿されていますけど、ああいった形でユーザーの皆さん
に肉付けをしてもらうことで、ムーブメントそのものを楽しんでもらえるんじゃないか、という原点的な発想に戻って、
最低限のプロフィールだけでいこう、と。

――実際、投稿された歌の歌詞やイラストのイメージから、ゆるやかに初音ミクというキャラクター像が共有される
ようになったり、なぜか「ネギ」が定番アイテムになったりと、面白い流れがありましたよね。

熊谷 そうですね。やはりそういう皆さんの力があって、牽引されていくのが理想的なのかなと思いますね。

――KEIさんは、自分のデザインしたキャラクターが、ネットや同人イベントなど二次創作の世界で一大潮流を作っ
てる様子をご覧になっていかがですか?

KEI あまりに勢いがあるので、自分と関係のないことみたいに「へぇ、最近こんなキャラが流行ってるんだ」みたい
な感じですよ(笑)。初めの頃は、何人か初音ミクを描いてくれている人がいるのを見て「わぁ、すごいなぁ」って単純
に思っていたんですけど、ある時期から一気に増えすぎちゃって、追うことができないんですよね。

熊谷 かなり早い段階から、イラストや3DCGを発表されている方がいましたからね。

――キャラクターの基本デザインがすごくしっかりしていて、長いツインテールと、肩の出ている衣装、カラーリング
が合っていれば、誰が描いても「初音ミク」だとわかることが大きいと思います。

熊谷 そのあたりはすべてKEIさんのお力ですね。デザインの完成度が本当に高かったので、修正をお願いしたのは、
本当に細かい部分だけなんですよ。

KEI デザインしたときに、描きやすいのが一番いいかな、ということは意識していました。キャラクターのシルエット
など、大まかなデザインは割と早めに決まりましたよね。

熊谷 最初のラフをいただいた段階でグッと来たものがあったので、すぐにその方向性でキャラクターデザインを
お願いしようと思いましたから。

――KEIさんは同人で「ビスケたん」も描かれていますが、『初音ミク』では、いわゆる「擬人化キャラ」としてのアプ
ローチは意識されましたか?

KEI あまりメカっぽくなってもいやなので、擬人化とか、当初のSF的な設定といったものを意識しすぎないで、無難
にやったほうがいいかなと思ってデザインしました。

熊谷 キャラクターに関しては、KEIさんの感性にお任せするのが一番だと思ったので、その部分はKEIさんに全部
お任せして、自由に描いていただきました。(中略)

>>4へ続く

4 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★:2007/11/28(水) 18:22:57 ID:???
■VOCALOIDは止まらない!
――VOCALOID2 CVシリーズ第2弾として『鏡音リン』のデザインも発表されて、発売を待ちきれないユーザーの間
ではすでに色々な盛り上がりを見せていますが、今後の展開についてもお話を伺いたいと思います。
これからもKEIさんとのタッグでシリーズを展開されていくことになるのでしょうか。

熊谷 シリーズ第3弾までの構想は固まっておりますが、それからの展開についてはまた改めて考えていきたいな
と思っています。『鏡音リン』もラフデザインの決定は早かったので、ずっとシルエットでは出ていたのですが、
『初音ミク』が予想外のヒットだったこともあり、いろいろあって完成まで時間がかかってしまいました。

KEI それでまた、最近になって描かなきゃ!って感じになってますけど(笑)。

――KEIさんとしても、コミックRUSHでの漫画連載が発表されていますね。

KEI 『初音ミク』については、不思議な感じでやっていきたいんですよね。自分はオリジナルのキャラクターを描いた
んですけど、ファンのみなさんによって肉付けされた部分も大きいし、個人的にもあまり自分が作った性格を押し付け
たくないので、自分が何かやっていても、これが「公式」なんて構えずに、「こういうのもあります」くらいの気持ちで
見てもらえればいいかなという感じです。

――この年末には、コミケの企業ブースでグッズ販売もされますが、そういった部分でも今後は大きく展開していく
のでしょうか。

熊谷 今の段階では、大々的な商品展開は考えていません。今回はコミケということで、限定でやらせていただく
形です。コミケでは公認ヴォーカルCDの発売も決定しましたが、これも「初音ミクオフィシャルソング」ではなくて、
あくまで私たちなりに『初音ミク』を使った楽しみ方の一つとして、ファンの皆様へご提案出来ればなといった気持ち
から生まれました。KEIさん書き下ろしのイラストも付いてきますので見て、聴いて、楽しんで頂けると嬉しいですね。

――これからもユーザーと共に、キャラクターを育てていくということですね。

熊谷 私達が育てていく、のではなくてユーザーの皆さんに育てていただくというのが理想のイメージですね。
あとは、DTMに限らず、イラストを描いたり、3DCGを作ったりと、『初音ミク』が何かを創ることのきっかけになって
くれれば嬉しいですね。

(2007年11月9日 ルノアール新宿区役所横店会議室にて収録)
5なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 20:12:02 ID:3mf0xCPz
>>これが「公式」なんて構えずに、「こういうのもあります」くらいの気持ちで

なるほど、非公式なのは、こういう事か。
6なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 20:20:45 ID:y1kVH5e7
でもなんかバーチャロンのアレに
7なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 20:32:20 ID:y+20Sgdt
ユーザーの皆さんが育てるか・・・
同人描いてる者として感動した
8なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 20:46:30 ID:fNBOTvu0
なによりこれだけのムーブメントになっているのにクリプトンがどこまでも謙虚に裏方に徹しているのも好感度高い
9なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 20:52:02 ID:PtSkRnuY
電撃の編集部ではコミケで個人用に本を買っても経費で落ちるって本当ですか?
10なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 22:31:26 ID:xNj0qzHY
波って狙って起きるもんじゃねーんだなやっぱ

この一連の流れに
テレビも電痛も一切絡んで無い事に歓喜

今後の同人界や来月のコミケがどうなるのか楽しみだ


しかし何故歌舞伎町でインタビューしたのだろうか
ここって大陸893の抗争事件で死人でたとこだよな確か
ミクのイメージとあまりに違うんでチラ裏
11なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 23:16:50 ID:CZRNQ2NB
>>8
本来の客層が拡大したわけじゃなくて、違う層が大挙して押し寄せてきた、まぐれ当たりみたいなもんだからだろうな
萌え豚はいつ逃げてってもおかしくないってのも分かってるだろうし。
12なまえないよぉ〜:2007/11/28(水) 23:34:20 ID:eiXklT2V
>>10
接待でもしたんじゃない?
13なまえないよぉ〜:2007/11/29(木) 00:45:02 ID:p4GCRgjx
>>12
単にライターがよく使うんだろ…

てかルノアールって喫茶店だよな、貸し会議室なんかあるのか
14オースペ:2007/11/29(木) 10:15:56 ID:Ho5wRBVY





まーた、お前らミク叩きか?嫌なら見なきゃいいのに。

    べつにかまわんけど、作品を作った作者を貶めることはするなよ。





15なまえないよぉ〜
>>10
今は歌舞伎町より六本木の方が