鉄道ファンから「上州の野武士」と呼ばれる群馬県の上毛電鉄の名物車両「デハ101」が
存続の瀬戸際に立たされている。来年9月、自動車の車検にあたる「全般検査」の期限を迎える。
この検査には数百万円はかかりそうで、果たして採算が合うのか、会社が決めかねているためだ。
http://www.asahi.com/komimi/images/TKY200711070147.jpg 「車両が古く、費用が果たしていくらになるやら」と同社総務部の中野良雄課長はいう。
101型は、来年9月、自動車の車検にあたる全般検査の期限を迎える。
検査はすべての機器を取り外して詳細に調べる大がかりなものだ。
通常は8年に一回のペースだが、101型については4年に一回のペースで行われている。
もし、この検査を受けないと、乗客を乗せて運行することはできなくなる。
問題は、この検査の費用だ。折からの人員削減で検査業務を外注していることもあり、
「101型の場合、普通に検査するだけでも300万円ぐらいはかかる。
部品交換などがあった場合、特注品が多く費用はさらに増える」(同社)という。
前回04年の検査では、腐食していた配線を交換したため、500万円以上の費用がかかったという。
中野課長は「初めからいくらかはっきりしていれば、予算を組めるが、
後から高額な追加費用が出ると資金の用意が難しくなる」と話す。
「歴史を背負って走る車両を数百万円で延命できるなら」という考えもあるが、同社の懐事情が楽観を許さない。
県交通政策課によると、上毛電鉄の年間利用客数は、65年度の958万人をピークに減り始めた。
03年度に200万人を割り込むと、06年度には約176万5800人にまで落ち込んでいる。
98年度からは県や沿線市町村から計約2億円の公的支援を受けている。
同社も、ただ手をこまぬいているわけではない。101型を希望者向けの貸し切り運行や
イベントでの臨時運行など、誘客資源に活用している。
今年10月に、上信電鉄など他の私鉄2社と開いた誘客イベントでは、101型の姿を一目見ようと、
大勢のファンがカメラ片手に集まった。101型は登場する度に、多くのファンが集まる目玉的な存在だ。
ただ、貸し切り運行の場合、1回の費用は7万円。人件費などを考慮すれば、
「ほとんど経営的なプラスにはならない」という悩みもある。
中野課長は「営業的には成り立たない車両なので、そのあたりをどう判断するか。綱渡りの状態だ」と話す。
創業から80年近く走り続けた101型は無事、車検を乗り越えられるだろうか。
asahi.com
http://www.asahi.com/komimi/TKY200711070150.html 上毛電鉄
http://www15.wind.ne.jp/~joden/