【CPU】45nm時代到来! Yorkfield XEこと「Core 2 Extreme QX9650 (3GHz)」レビュー

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1 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★
Intelから間もなく登場となるPenryn世代のCPU。45nmプロセスルールで製造される新モデルは,L2キャッシュ
容量の増加など,ゲームパフォーマンスを左右する変更が少なくないが,果たして既存のCore 2ファミリーと
比べて,どれだけの違いがあるだろう? 正式発表前となるこのタイミングで,可能性を探ってみたい。

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▲Core 2 Extreme QX9650

いよいよ,45nmプロセスルールを採用した「Penryn」(ペンリン,開発コードネーム)世代の新しいCore2ファミリー
が登場する。Intelは,2007年第4四半期中に,開発コードネーム「Yorkfield」(ヨークフィールド)と呼ばれていた
デスクトップPC向けクアッドコアCPUの最上位モデル「Yorkfield XE」を発表予定だ。

今回4Gamerでは,「Core 2 Extreme QX9650」(以下,QX9650)と名付けられたYorkfield XEのサンプルを正式
発表に先駆けて入手したので,ゲームにおいてどれぐらいのパフォーマンスアップが望めるのか,そのポテン
シャルをベンチマークにより検証してみたい。

■L2キャッシュは従来比1.5倍に増強 オーバークロックでは空冷で4GHz動作を実現

QX9650は,既存のCore 2 Quadと同様に,2個のデュアルコアCPUダイを一つのCPUパッケージにまとめた
MCM(Multi Chip Module)構成を採用する。それを踏まえて,従来の最上位モデルとなる「Core 2 Extreme
QX6850/3GHz」(以下,QX6850)と比較した表1を見てほしい。最大のポイントは,プロセスルールの微細化と,
デュアルコアCPUダイの共有するL2キャッシュ容量が1ダイ当たり6MBと,従来比1.5倍に強化されていることだ。

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▲「CPU-Z」(Vesion 1.41)の実行結果。Core 2 Quadとして認識されている

表1
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テスト環境は後述するが,グラフ1は,システムベンチマーク&情報表示ソフト「Sandra 2008」に用意される
「Cache and Memory」テストを,CPU以外は同一の環境で実行した結果をまとめたものである。
L1キャッシュ容量を超える256KBでグラフが落ち込み,さらにL2キャッシュの容量を超える16MBでさらに落ち
込むという全体的な傾向は同じ。しかし,16MBのスコアに注目すると,QX9650のほうが高い値を示している。
ちなみにこのときのスコアはQX9650が16228MB/s,QX6850が7662MB/sだが,これは,QX9650のL2キャッシュ
容量が効いていると見ていいだろう。

グラフ1
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>>2-4へ続く

4Gamer
http://www.4gamer.net/games/030/G003078/20071028001/
関連
【CPU】AMD、次期CPU「Phenom」にトリプルコア製品を追加 2008年リリース
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1190107131/
2 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★:2007/10/29(月) 21:40:17 ID:??? BE:261496229-PLT(24893)
表1に戻ると,QX9650では新しい拡張命令セット「SSE4」への対応が果たされている。SSE4は,データフォーマット
のコンバージョンに特化したもので,ムービーなどのエンコードソフトではその恩恵を受けられるものの,ゲーム
用途ではあまり関係がないと思われる。そのほかのスペックはCore 2 Extreme QX6850に準じており,TDP
(Thermal Design Power,熱設計消費電力)も130Wで変わっていない。なお,表には入れていないが,QX9650の
TCaseは64.5℃となる。

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▲モデル名「CM2X1024-9136C5D」 “PC2-9136”(DDR2-1142)動作するハイエンドモデル 実勢価格:5万円前後
  (1GBモジュール2枚セット,2007年10月29日現在)

さて今回は,このQX9650を用いて,DDR2 SDRAM環境とDDR3 SDRAM環境のそれぞれでQX6850とパフォーマンス
比較を行うことにした。テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション4.1準拠だが,スコアがGPU性能に強く
依存した結果となる,解像度1920×1200ドット設定と「高負荷設定」は省略し,1024×768/1280×1024/1600×1200
ドットにおける「標準設定」で測定する。

テスト環境は表2に示したとおりで,マザーボードはいずれもASUSTeK Computer製の「Intel X38 Express」搭載製品
になる。どちらもQX9650を利用するにはBIOSのアップデートが必要で,さらに省電力機能である「Enhanced Intel
SpeedStep Technology」(拡張版インテルSpeedStepテクノロジー,以下EIST)をBIOSレベルで無効化すると,パフォ
ーマンスが向上しないという制限があった点は付記しておきたい。

表2
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※1 オーバークロックテスト時以外はDDR2-800動作
※2 DDR3-1333MHz動作

さらに,今回はQX9650のオーバークロック耐性についても調べてみた。「Maximus Formula Special Edition」を用いて,
動作倍率とベースクロック,CPUコア電圧をBIOSから上げていったが,コア電圧を定格(※マザーボード付属のユー
ティリティ「PC Probe」でチェックする限りは1.22Vだった)から1.3750Vまで引き上げたとき,ベースクロック333MHzの
12倍,動作クロック4GHzで,レギュレーション4.1で採用するすべてのテストが問題なく動作することを確認できたので,
この状態のスコアも並べることにする。45nmプロセスへの微細化で,耐性はかなり向上していると考えてよさそうだ。
ちなみに今回のオーバークロックテストでは,Themalright製CPUクーラー「SI-128 SE」に,Xinruilian Electronics製
120mm角ファン「RDL1225S」(回転数1700rpm)を取り付けた状態のものを利用した。

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▲333×12=4GHz動作を実現したQX9650。今回のテスト環境では,12倍設定時にベースクロックを引き上げると,
  一部のテストが完走しなかった

なお,これはお約束だが,オーバークロック設定はメーカーやショップの保証外となる行為であり,4GHzというクロック
も「あくまで筆者が試したテスト環境での結果」に過ぎない。オーバークロックを試した結果,CPUやPCに深刻な
ダメージを負ったとしても,すべては実行した人の自己責任となる。今回の記事を参考にオーバークロックを試みた
結果,何か問題が発生したとしても,Intelや販売店はもちろん,筆者や4Gamer編集部も一切の責任を負わないので,
くれぐれもご注意を。

>>3へ続く

3 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★:2007/10/29(月) 21:40:29 ID:??? BE:305078437-PLT(24893)
■L2キャッシュ容量の増加は確実な性能向上をもたらす

前置きが長くなったが,テスト結果の検証に入りたい。以下グラフ中,「with DDR3」表記のないものがDDR2 SDRAM
環境,あるものがDDR3 SDRAM環境となる。

グラフ2,3は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)のテスト結果だ。前者は総合スコア,後者はCPU Testの結果
だが,いずれにおいてもQX9650のほうがスコアは若干高い。これは明らかにCPUの違いが生んだスコアであり,まず
間違いなくL2キャッシュの容量差による違いだ。

また,DDR2 SDRAM環境とDDR3 SDRAM環境を比較すると,後者のほうがわずかに高いスコアを示している。

グラフ2
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グラフ3
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続いて「3DMark05 Build 1.3.0」(以下,3DMark05)のテスト結果だが,3DMark06と同様の傾向ながら,QX9650とQX6850
の差は縮まっている(グラフ4)。これは,3DMark05のほうが負荷が低く,処理するデータも少ないぶん,L2キャッシュ
容量の違いが影響しにくくなっているというわけだ。

グラフ4
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実際のゲームにおけるパフォーマンス検証に移ろう。まずはFPS「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」(以下,S.T.A.L.
K.E.R.)における平均フレームレートをグラフ5にまとめた。今回のテスト方法において最もCPU性能がスコアを左右しや
すい(=最もGPU負荷の低い)1024×768ドットの値に注目すると,同一クロックで動作するQX9650とQX6850の間に
やや大きめの差がついており,L2キャッシュ容量の影響が見て取れる。
一方,DDR2メモリとDDR3メモリでは,ごくわずかながら後者のスコアが上だが,それほど変わらないともいえそうだ。

グラフ5
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同じくFPS,「Half-Life 2: Episode One」(以下HL2 EP1)の結果をグラフ6に示す。HL2 EP1もS.T.A.L.K.E.R.とほぼ同じ
傾向を示しており,1024×768ドットにおいてQX9650とQX6850の違いは明らかだ。メインメモリの違いによるスコアの
変化はS.T.A.L.K.E.R.よりさらに小さくなっている。(中略)

グラフ7
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>>4へ続く

4 ◆newsSM/aEE @水前寺清太郎φφφ ★:2007/10/29(月) 21:40:35 ID:??? BE:581100858-PLT(24893)
■45nmプロセスルールは伊達じゃない、秀逸なQX9650の低消費電力

一般に製造プロセスの微細化は(トランジスタの動作電圧が下がるので)消費電力の低減につながる。となれば,
45nmプロセスルールを採用するQX9650の消費電力低減には期待できそうだが,表1で示したとおり,同製品のTDP
はQX6850から変わらずの130W。この点が気になっている人もいると思う。
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そこで今回も,システム全体の消費電力から,CPUの消費電力を比較してみたい。

OS起動時30分間放置した直後を「アイドル時」,MP3エンコードソフトベースのCPUベンチマークソフト「午後べんち」
を30分間実行し続けた直後を「高負荷時」として,システム全体の消費電力をワットチェッカーで測定した結果をまと
めたものがグラフ10である。なお,アイドル時については,EISTの有効/無効それぞれでスコアを取得している。

結果は一目瞭然,QX9650の消費電力は明らかに低い。EIST有効時こそ大きくは変わらないが,EISTを無効化した
アイドル時に30W,高負荷時には40Wの違いが生じている。CPUコア電圧を引き上げ,さらに4GHzまでオーバークロ
ックした状態がQX6850の定格動作時とほぼ同じというのは,かなり衝撃的だ。

なお,DDR3 SDRAM環境では――マザーボードの違いがあるため一概にはいえないものの――総じて消費電力が
低くなる傾向が見て取れる。(中略)

グラフ10
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■QX9650が現時点の最速モデルなのは疑いない Yorkfield/Wolfdale世代の低価格モデルにも期待

以上,45nmプロセスへと移行した新Core 2ファミリーの可能性を探るべくテストを行ってきたが,L2キャッシュ容量の
増加は,ゲームパフォーマンスに明確なメリットをもたらすと断じてよさそうである。とくに最新世代の“重い”3Dゲーム
タイトルにおけるスコアの伸びには目を見張るものがある。消費電力&コア温度が低く,これまでよりぐっと扱いやすく
なり,さらにオーバークロック耐性が高い点も魅力的だ。

価格は明らかになっていないので何ともいえないが,最近のExtremeモデルは長らく999ドルなので,おそらくそこを
大きく逸脱することはないのではなかろうか。絶対的なパフォーマンスのためならコストは無視できるという人には,
間違いなくオススメである。

ただ,さすがにこのクラスが万人向けではないのも確か。“XE”の付かない下位モデルのYorkfieldや,Penryn世代の
デュアルコアCPU「Wolfdale」(ウルフデール,開発コードネーム)といった,より安価なモデルの早期デビューにも
期待したいところだ。