コーエーのソフトウェア事業部ソフトウェア4部ソフトウェア4部長シニアマネジャーの藤重
和博氏は、”一騎当千の爽快感をオンラインへ”と題する講義を行った。
藤重氏は『真・三國無双BB』の初期にはディレクターとして、現在は開発プロデューサーとして
関わっており、『信長の野望 Online』や『大航海時代 Online』などのオンラインゲームを担当
するソフトウェア4部を統括する立場でもある。講義は、『真・三國無双BB』の開発における
課題と対応、そしてコーエーのオンラインゲームの歴史と今後の取り組みについて、藤重氏の
体験談をもとに進められた。
藤重氏はまず、『真・三國無双BB』のテーマを”一騎当千の爽快感をオンラインへ”と説明。
この言葉は講義名にも使われているが、講義中に何度となくくり返された。藤重氏によれば、
そのゲームの”らしさ”となるテーマを掲げて、コンテンツ追加などに関してもそこからぶれずに
続けていくことが重要とのこと。一騎当千の爽快感はご存じのとおり、『真・三國無双』シリーズが
掲げるテーマでもある。このシリーズの特徴は、1対多数の戦闘で、たったひとりでも劣勢な
戦局を覆すことが可能な戦場シミュレーションを取り入れたことにある。だが、それをオンライン
ゲームとして実現できるのか、開発当初は不安も大きかったそうだ。
まずは、前述のテーマを含めてどういったゲームにするのかをしっかりと設定し、そこからひとつ
ひとつハードルを超えていく必要がある。『真・三國無双BB』は、『無双』らしさである一騎当千の
爽快感をあくまでも追求することに決定。そして、もうひとつこだわったのが、対戦の要素だという。
オンラインで多人数が参加するゲームの形として対戦と協力がありえるが、開発当初どちらで
進めるか相当な議論が重ねられたようだ。実際、協力のほうが開発がしやすいのではないか、
という意見もあったそうだが、「協力型で作ってしまうと、そこから対戦に戻すことはできないと
判断しました。検証をしていく上で企画を変更することはよくありますが、ハードルは高いけれども
対戦ベースでゲームをデザインしておけば、問題があったときに協力にシフトできると思ったん
です」(藤重)。
開発においていちばんの課題となったのは、通信環境の問題。『真・三國無双』シリーズは秒間
60フレームにこだわっており、アクションゲームとして作る以上開発チームが妥協できない点
だったのだという。60フレームを保った上で、日本全国各地でオンラインにつなげてプレイした
場合にどれくらいの遅延が発生するのか?
『真・三國無双BB』は2006年5月にテクニカルテストを実施したのだが、「当時は日本の通信
インフラ環境がどれくらいのパフォーマンスを持っているのかわからなかった」と藤重氏。その
ために、ソフトバンクとがっちり組んで、当初はインターネットサービスプロバイダをYahoo!BBに
限って導入することにした。検証の結果、3フレームまでの遅延ならアクションゲームとして
成立すると結論。サーバーを全国に分散すればこの範囲内でいけるのではないかと目処が
立ち、現在はプロバイダを限定しない形になっている。
ファミ通.com
http://www.famitsu.com/game/news/1210825_1124.html 続き
>>2