漫画を“日本発の文化”として、世界に積極的にアピールしていく政府の取り組みが相次
いでいる。日本の漫画に対する海外の関心は、日本人が想像する以上に高いようだ。
漫画という新しいスタイルを通じて、日本のイメージアップを図っていくことも出来るだろう。
外務省は今春、漫画通で知られる当時の麻生外相の発案で、外国人漫画家を顕彰する
「国際漫画賞」を創設した。
経済産業省は、第1回「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」の一環として10月に東京・
秋葉原で開かれるMANGAフェスティバルを共催する。
日本の漫画の海外普及は、1980年代後半の米国進出から始まる。その後、多くの作品
がヨーロッパや中南米、アジアにも広がり、アニメ作品と共に人気を集めてきた。
今では漫画を契機に、日本への関心を深めたり、日本語を学び始めたりする人も少なくない。
日本のサッカー漫画「キャプテン翼」を見て育ったという一流のサッカー選手も、世界各地にいる。
複雑なストーリーや繊細な描写が、日本漫画の特色だ。
海外でのブームは、かつて西洋絵画に衝撃を与えた浮世絵の人気と比較されることも多い。
最近では、日本的手法で描かれた作品は、外国人の作品であっても、米国流のコミックなどとは
区別して、すべて「MANGA」と呼ばれるようになった。
外務省が創設した国際漫画賞は、「MANGA」の本家本元としての日本の立場をアピールする
狙いもある。26の国と地域から応募があり、「孫子兵法」を描いた香港の漫画家、李志清さんに
最優秀賞が贈られた。
李さんら受賞者は、7月に都内で開かれた授賞式で、子供のころから憧(あこが)れていた大家
の漫画家たちに激励され、今後の活動へ思いを新たにした様子だった。
一過性のイベントに終わらせてはならないだろう。
日本の漫画の源流は、12〜13世紀ごろに描かれた国宝の「鳥獣戯画」などに見られる。近代の
漫画は、幕末から始まった。長期的ビジョンに立って、過去の作品の収集を進めていくことも課題だ。
国立国会図書館は、一般の書籍と同様に、漫画本の収集・保存に取り組んできたが、戦前の作品
はそろっていない。
全国初の公的漫画図書館として昨年開館した京都国際マンガミュージアムは、近代以降の作品の
収集を進めている。
日本の漫画の伝統の奥行きの深さが理解されるならば、海外の人々の関心も、さらに深まって
いくに違いない。
(2007年9月5日1時23分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070904ig91.htm 依頼
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1186100544/267