シンガポールの裁判所は、同国で日本のアニメ流通を手がけるオデックス(Odex)が
インターネットのプロバイダーに対して行っていた違法配信の利用者の氏名開示要求を
支持する命令を下した。この請求はオデックスが、同国の大手インターネットプロバイダー
StarHubに対して行っていたものである。今回の決定によりStarHubは、インターネットで
日本アニメの違法配信を利用しているおよそ1000名の氏名をオデックスに提供することになる。
オデックスはシンガポール最大の日本アニメ流通会社で、DVDなどの映像パッケージの
ビジネスを行っていた。しかし、近年急激に広がったインターネット上のアニメの違法
配信により、売上高を急激に減らし業績不振に陥っていた。こうしたことから同社は
今年になり、違法なインターネット配信の利用者を法的に訴える動きに出ている。当社は
利用者の特定の困難さなどからその効果は懐疑的とする意見もあった。
しかし現在は利用者やその保護者と和解をし、和解金を徴収するケースも現われている。
今回の裁判所の判断で、オデックスのこうした動きにはずみがつくことになる。オデックスは
今後も別のプロバイダーに対しても同様の働きかけを行うとみられる。
日本アニメ作品の違法配信は、現在世界中に広がっており、日本アニメの流通を行う各国
企業を悩ませる問題となっている。しかし、配信者に対して警告などを行うケースはあるが、
実際に法的な手段を取った例はほとんどない。とりわけ今回のように配信側でなく、
利用者側を訴えるケースは前例がなく、かなり特殊なケースである。それでも、もしこうした
強行策がビジネスに対する一定の効果をもたらすのであれば、他国の企業にもなんらかの
影響を与える可能もあるだろう。
animeanime.jp
http://animeanime.jp/biz/archives/2007/08/post_188.html