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無名モデル:
本来モデルはフォトグラファーが育てていくべきものです。
欧米のポートレートやファッション写真に味があるとすれば、
それは単純に彼我の歴史の差だけではなく、
フォトグラファーとモデルたちがいい写真をつくろうと
プライベートの時間までいろいろと努力を積み重ねてきた
みえない時間の蓄積があるからでしょう。
60年代にダイアナ・ブリーランドがVOGUEの編集長だったころ、
カバー写真はバート・スターン、リチャード・アベドン、アービング・ペン、デビット・ベイリーと
当時はやりの若いフォトグラファー2人が同じ日に撮影して、
6枚の写真を壁に並べてその中から1枚を選ぶというなんともぜいたくなことをしていたそうです。
各フォトグラファーにはお気に入りのモデルがいて、
たいていはいっしょに暮らしていたようですね。
プレイボーイで有名なデビット・ベイリーはこういっています。
「モデルはフォトグラファーと寝なきゃだめってわけじゃないけど、
そうしたほうがいいにきまってる。だってそうすれば写真に愛の魔法がかかるからね。」