ギャラリー フェイク 第XX話
客 「今日フジタさんにお越しいただいたのは・・・これの鑑定をお願いしたい」
フジタ 「こ、これは!」
客 「そうです。幻のパームトップPCと言われる、MorphyOneです。当初800個
の予約を集めながら6年も完成せず、キャンセルが相次ぎ、200個の出荷
後も2/3は初期不良で返品されたため、69個しか流通していない、幻の
PCなのです」
フジタ 「うむ・・・筐体が一部破損していますね。これは補修できますし、寧ろ真作
の証明になるでしょう。贋作の方が丈夫なのです。真作は機材の加工精
度もさることながら、素材の固定や刃物の管理がいいかげんなのでビビリ
による素材のストレスやキズが多く、脆いのです。もっとも、これによる破損
の多さが希少価値をさらに高めているのですがね」
フジタ 「電源を入れてよろしいですか?」
客 「どうぞ」
フジタ 「・・・BIOSは生きていますし、起動はしますね。しかし、これからが問題だ」
客 「と言いますと?」
フジタ 「希少価値が売りのPCとは言え、起動しないものは流通価格が 1/10 以下
に落ちてしまいます。ここに贋作が陥りやすい罠があるんですよ。見ていて
ください」
客 「configをいじるんですか・・・・おおっ!」
フジタ 「真作と贋作の決定的な違いはこれなのです・・・HIMEMが動かない!安易
に技術者を集めて古いPCを再現すると、どうしても『まともなPC』になって
しまう。一見起動するように見えるが実用にはならない、これこそがまさに
MorphyOneの証明なのです。私が保証しましょう。これは真作です!」