――まずは本田圭佑の経営論を聞かせてほしい。
本田:「経営論をここで話したら切りがないよ。しかも経営なんて全然そこまで、まだ語れるほどのレベルじゃないし。ただ、まあ勉強している最中ではあるよね」
――いろんな本を読んだり、人に会ったりとか?
本田:「うん。おもしろいよね、そういう意味では。サッカーを始めた頃を思い出すような」
――本田君はサッカースクールをものすごい勢いで増やしている。なんでそんなに数やスピードにこだわるんだろう。
本田:「スピード感にこだわる理由は、多分、誰もが理解していて、時間は有限やからね。時間はいくらあっても足りるものじゃない。
人間ひとりの人生でやれる仕事なんて限られているわけで。『じゃあ、どこまでやれるかやってみよう』というスピード感でサッカースクールを今やっている」
――当然、その先のビジョンがある?
本田:「それはもちろん(笑)。ゴールを定めずに全力疾走するようなことしないでしょ」
――2018年ロシアW杯までに300校という目標を打ち出していて、さらにその先には世界的なビッグクラブの創設を考えていると聞いている。
そういうゴールから逆算すると、このスピードじゃないと間に合わないと。
本田:「むしろ常に理想には追いついてない、という感覚はあるけどね。それは経営面でも」
ここで本田がロビーで足を止めて、「ずっと言っておきたいことがあった」と切り出した。
本田:「サッカースクールについて1度言っておきたかったことがあって。自分がやっているのは、
普通のサッカー選手がやっているサッカースクールの関わり合いと、多分、違うと思うのね」
――というと?
本田:「おそらく『名前を貸しているだけ』とか、『フランチャイズでやっている』と思っている人が多いと思うんですよ。
俺はお金だけちょっともらって、と思っている人が多いと思う。けど、そうじゃないからね」
――確かに練習メニューまで、本田君本人が考えているそうだね。
本田:「いろんなことにこだわってやっているし、真剣なプロジェクトとしてやっていて、ビジョンにこだわってやっているわけで。
逆に聞きたいけど、サッカースクールって儲かると思っている?」
――儲から……ない?
本田:「だって収入は何? 選手の月謝。それ以外にないよね。どうやって儲かるの。月謝ナンボ取るの」
――月謝には相場があって、『ソルティーロ』より高いところはいくらでもある。
本田:「しかも何十人に給料を払っているの。それぞれのスクールに常駐しているコーチは1人じゃないよ。コートは自前じゃないよ。
まあ、稼いでるふうに思われるのも、ちょっとシャクやなと思っていたんで。お金のためにやっていると思われたら、たまったものではないから」
――そこは誤解されがちかもしれない。ビジネスという意味では。
本田:「お金のためにやっているのはCMやん。当然、ビジネスでしょ。そこはきれいごとではないと思う。むしろそういうもので得たお金を、スクールに投下しているよね。
で、みんなが興味あるのは、なんのためにそれをするの? ということだよね」
――誰もがそこに興味を持つでしょ。
本田:「当然、その話も長くなる」
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