アギーレ監督を迎えサッカー日本代表がスタートを切った一方で、次世代を担うユース世代は厳しい現実を突き付けられている。
韓国・仁川のアジア大会では、U−21が準々決勝で韓国に0−1で敗れ大会連覇を逃した。
またU−19選手権では、北朝鮮との準々決勝で1−1からPKの末に敗退し、4大会連続でU−20W杯出場はならなかった。
元J1仙台監督の清水秀彦氏は、ユース世代だけでなく日本サッカー全体に迫る危機を憂い現状に警鐘を鳴らす。
かつて「ワールドユース」と呼ばれたU−20W杯では、日本の若手が活躍した。
1995年の大会では中田英寿、97年大会では中村俊輔、99年大会も小野伸二や稲本潤一ら“黄金世代”で優勝も果たしている。
清水氏は、日本が勝てなくなった理由に関して「他の国も強化して日本に追いついてきたから」だけではないという。
日本に欠け、韓国や北朝鮮にあるものは「勝つことへのこだわり」と指摘する。
「技術レベルも上がっているが、何より“勝つことが大切”という意識。日本に勝つためにはどうしたらいいか、というのを形にしてくる。
たとえば、勝つためならロングボールを入れるのにためらいがない」
なぜ日本にはできないのか。その鍵は昨今、重要視してきた「ポゼッションサッカー」にある。
常にボールを保持し試合の主導権を握ろうとする戦術で、スペイン1部リーグのバルセロナが象徴的な存在だ。
清水氏は「日本のユース世代の選手はテクニックがある」としながら、「スキルがない」という。
一見、同じ意味に思われるが「スキルとは試合の中で判断し、何をするかチョイスする能力。
ポゼッションサッカーは“うまい選手”になれても“強い選手”をつくれていない。
だから、いざ勝負という場面で“こんなはずでは”となってしまう」と断じる。
日本はバルセロナにはなれない。Jリーグの多くのクラブも取り入れ、Jの特徴は薄れてしまったともいわれる。
同じような戦術のチーム相手にサッカーをし、海外に行く機会も減った若手は、厳しいサッカーを学ぶ場も減っている。
問題はU−19やU−21だけにとどまらない。日本は五輪やW杯に連続して出場し、
もはや出るのが当たり前とさえ思われるが、そこに危険な因子が隠れている。
「W杯や五輪に出ているし、U−17やU−15はそこそこやっている。それをもって『大丈夫』とごまかしてきた。
しかし4位になったロンドン五輪代表から何人がA代表に上がった? 南アフリカW杯16強でもブラジルW杯は惨敗したではないか」
これは、日本代表の各世代が一貫性を欠いている結果だという。
U−20W杯出場を4大会連続で逃した事実は「その上の世代までガタッとくる予兆にも思えてくる」と話す。
清水氏は「A代表から育成レベルまで、同じサッカーを貫くということを、今こそ真剣に考えないと本当にあやういことになる」と訴える。
11月15日(土)17時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141115-00000537-san-socc