杉田が快進撃の斉藤を下し、江原が内山を破って決勝に進出 [橋本総業 全日本選手権]
http://www.thetennisdaily.jp/upload/contents/ehara.jpg 左が斉藤貴史で右が杉田祐一
http://www.thetennisdaily.jp/upload/contents/201411821555294Pd3.jpg 10月31日から予選がスタートした橋本総業全日本選手権(有明テニスの森)。本戦は11月2日〜9日の日程で行なわれている。
男子シングルス準決勝は、第1シードの杉田祐一(三菱電機)が3-6 6-4 6-1で斉藤貴史(津幡町テニス協会)を下し、
江原弘泰(日清紡ホールディングス)が6-2 6-7(5) 6-4で第2シードの内山靖崇(北日本物産)を倒して決勝進出を決めた。
杉田と江原は国際大会では2011年に2度、全日本でも08年と10年の2度対戦しているが、すべて杉田が勝っている。
杉田と戦った斉藤は、地元石川県を中心とした有志からの「草の根」の支援を受けながら選手活動を続けている選手。
「全日本もフューチャーズも大事な試合の一つ」と斉藤が話すのは、スポンサーを獲得するためのハングリーさゆえのもの。
全日本での活躍も彼にとってはプレッシャーよりもチャンスとして捕らえられているようで、この日の序盤も、全日本の準決勝で、
相手が杉田という状況でも、まったく怯む様子を見せないどころか、逆にのびのびとしたプレーを見せ、杉田を圧倒した。
「正直危ない試合だった。やられていてもおかしくない状態だった」と杉田も振り返ってる。第1セットの斉藤はまったくミスらしい
ミスがなく、早いテンポのストロークで杉田に反撃の糸口を与えず、2度杉田のサービスを破って取って先行した。
第2セットに入ってややペースは落としたものの、それでも押していたのは斉藤だった。4-4で迎えた杉田のサービスゲームで、
2本のブレークポイントを握った斉藤だったが、ここを取り切れなかったのが分岐点となった。「ここでようやく隙を突けるようになった」
と杉田は言う。チャンスを逃した斉藤の集中力がダウンしたのを見逃さず、杉田が畳み掛けて試合をひっくり返した。
続いてセンターコートに登場したのは第2シードの内山と江原。両者ともに初の準決勝の舞台だ。実績では内山の方が上だが、
1年半前からスイスに拠点を移した江原も急成長中。攻守のバランスが整い始めた江原は、元々の勝負強さにさらに磨きをかけていた。
内山の武器は強力なサービスから一気に決めにいけるスピードだが、江原のリターンが深く返り続けたことで、内山は思い通りの
流れを作れず、ラリーでも必死でボールに食いついた江原からなかなかポイントが奪えなかったことで、内山はさらに厳しいところを
狙わされていく。さらに、内山は第1セットを落としたことで、よりリスクを取らざるを得なくなってしまった。
第2セットは5-3と先にリードしながら、第9ゲーム以降の3ゲームを江原に連取されて追い付かれてしまう。タイブレークは何とか
内山が取ったものの、試合の大きな流れを引き寄せるまでには至らず、第3セットもどちらが取るかわからないというムードだった。
「第3セット2-3の時のサービスのときにピキッときた」。序盤から激しいフットワークを繰り出し続けた江原の第3セットは、
左足に痙攣を抱えながらのプレーになったが、「その後、リラックスして攻守のメリハリを付けられた」と江原は言い、
「痙攣が逆によかった」と続けた。思うように走れなくなった分だけ、普段ならつないでしまうような場面でも思いきった攻撃が
できるようになり、ポイントを積み重ねる試合は少なくないが、この試合での江原もそうだった。体力勝負の様相となった試合は、
最後は内山も足に異常が出始める。江原が勝ったのは、ほんとのわずかに江原の方が気持ちで勝ったから、としか言いようがない
結末だった。試合時間は2時間38分。今大会屈指のロングマッチだった。
決勝は杉田と江原の対決になった。「意識しすぎずに臨みたい。杉田さんは格上だし、いい試合わしたこともあるが、自分のできる
プレーを出して、気合いを入れてプレーしたい」と江原。内山の強打をしのぎ切り、大きく振られても手を伸ばし、ボールを返し続けて
勝利を手にしたのが江原だ。杉田といえども簡単な勝利を期待していい相手ではない。決勝にふさわしい激闘を期待しよう。
(TennisMagazine/ライター◎浅岡隆太)
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