俳優伊勢谷友介(38)が、釜山映画祭で行われた日韓合作の出演映画「ザ・テノール 真実の物語」
(キム・サンマン監督、11日公開)公式上映に参加した。
日韓関係の改善が叫ばれる中、両国の個人同士の友情を描いた同作を朴槿恵大統領(62)に近い李寿成元首相(75)が観賞。
伊勢谷は「この作品を朴大統領に届けたい」と誓った。
伊勢谷は、事前に李元首相が公式上映を訪れると聞き、目を輝かせていた。
「この映画にとって、何よりも大事なこと。朴大統領にも見ていただいたら、すごくうれしい。(映画を)届けたいですね」
同作は、がんで声を失った韓国の世界的歌手ベー・チェチョルが、親交の深い輪島東太郎(とうたろう)氏の支えを受け、
奇跡の復活を果たした実話の映画化。伊勢谷は輪島氏をモデルにした沢田役のオファーを受け、出演を即決した。
互いを信頼した民間人同士が、国境を超えた友情を結んだ物語に意義を感じたからだ。
撮影でも、気持ちが入りすぎ、本気で泣いてしまうほど役に入り込んだという。
それほどまでに懸けた作品が「日韓合作」として公式上映された。
同映画祭に初参加だったが、2日の開会式で渡辺謙が司会を務め、
夏川りみが平和を祈る歌「さとうきび畑」を歌う姿に、観客がリスペクトの視線を送っていた。
その様を目の当たりにし、思いを強めた。
「(日韓関係の)認識を覆された。両国がののしりあっているようなことは、ニュースがピックアップしたごく一部のこと。
隣同士で殴り合っても仕方ない。朴大統領にどのようにお見せするか、まだ具体案はないけれど、輪島さんと一緒に持っていきたい」
9月19日には、森喜朗元首相が朴大統領とソウルで会談した際、安倍晋三首相の親書を渡すなど、
日本政府は両国関係改善に意欲を見せ始めた。そのムードの中、李元首相が来場して作品を見届けた意義を伊勢谷は強く感じていた。
「文化は政治(の難局)も超えられるし、それが出来るのが役者だし、役者冥利(みょうり)に尽きる」。
これまで、伊勢谷は「未来を良い時代にできるのは、今を生きる自分たちだけ」をモットーに社会貢献活動に取り組んできた。
未来のために役者人生を注ぐ…その思いを胸に、壇上から観客に笑みを送り続けた。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp1-20141004-1377121.html 左からキム・サンマン監督、ユ・ジテ、伊勢谷友介、ナターシャ・タプスコビッチ
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