滑り出しは成功といえるだろう。
11月、野球日本代表「侍ジャパン」の初陣だった台湾代表との強化試合に3戦全勝。
小久保裕紀監督は「結果が得られたので満足している」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
ことし3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表は3連覇を逃した。
世界一奪還に向け、日本野球機構(NPB)は構想のあった「侍ジャパン事業部」を創設。
指導歴のない42歳の監督を抜擢(ばってき)し、若手中心のメンバーで台湾遠征に臨んだ。
放映権料など約2億4千万円の黒字を出し、2017年のWBCまでのビジネスプランでは
グッズ収入やスポンサー料など約48億円の収入を見込んでいる。
常設化で期待されるのは、少子化の影響で先細りが予想される野球の競技者人口と
ファンの獲得。WBC2次ラウンドの日本−オランダ戦は視聴率34・4%(ビデオリサーチ
調べ、関東地区)を記録するなど、代表への関心は高い。
侍ジャパン事業部長の沼沢正二事務局次長は「プロ野球ファンは40〜50代の中高年
層が中心。日の丸を背負った代表の試合は若い世代でも応援してくれる」と話す。若者を
対象にしたネットビジネスの強化もすでに始まっている。
国際サッカー連盟(FIFA)は代表チームの年間の国際試合開催日を設定しているが、
野球で代表チームを「常設化」している国はない。スポーツビジネスに詳しい帝京大の
大坪正則教授は「常設化の国が1つではビジネスにはならない。世界戦略が必要だが、
見えてこない」と危惧する。今後は各国への働きかけと、代表試合をいかに組むかが
大きな課題となる。
来オフ検討している日米野球では、主力選手の派遣を渋る球団が出ることも予想される。
注目度アップには最強チームの結成が不可欠。計画を“机上の空論”で終わらせないため
にも、12球団一体となった取り組みは欠かせない。
産経新聞:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131229-00000066-san-spo