なかなか注目されないサッカーJ2で、不思議な現象が起きている。
第9節が17日各地で行われ、JFLに優勝し今季J2に昇格したばかりの長崎は、アウェーで横浜FCに2
−1で勝利。4連勝で3位に浮上した。元日本代表で、かつては横浜FCを率いたこともある高木琢也監督(4
5)は「夢をみているみたい」と笑いが止まらない。
昨季までは“アマチュア”だった長崎の年俸総額は約2億円というから、かなりの費用対効果だ。実は、ここ
まで3勝6分けと9戦負けなしで4位につける岡山の年俸総額も、4億円に満たない。どちらも、日本代表MF
香川真司(24)=マンチェスター・ユナイテッド=1人分の年俸4億2000万円にも及ばない。
反対にJ2で4季目となる古豪の千葉は、毎年10億円以上注ぎ込みながら、今季も開幕ダッシュに失敗して
10位に甘んじている。横浜FCの場合は約5億円前後だが、2勝4敗3分けの18位と低迷が続く。
J2では、J1昇格を目指すクラブとJ2生き残りをかけるクラブに分かれる。当然ながら前者は千葉や横浜
FCで、後者は長崎などだ。選手の技術や戦力にも差があるとされるが、この日は逆転。さすがに横浜FCのサ
ポーターもふがいなさに激怒、スタジアムに居座りチームにもの申す騒ぎとなった。
ここ数年、昇格するため「ガチガチに守って、得点能力のある外国人FWを使う」(元日本代表OB)という
戦術がまかり通っている。実際、7勝1敗1分けで首位に立つ神戸はJ1時代の戦術を捨て、助っ人がゴールを
量産中だ。横浜FCの山口素弘監督(44)はあえて外国人抜きで編成しているが、「責任はすべて自分にある」
という結果だ。
少ない人件費で奮闘するクラブの美学もあるが、今季は試合の質の低下を指摘する声が多い。確かに、金を払っ
てまで見たい試合は極端に少ない。(夕刊フジ編集委員・久保武司)
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http://www.zakzak.co.jp/sports/soccer/news/20130419/soc1304190710000-n1.htm